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第二章

44 挑戦 ト 成功

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怒られた。

親以上に怒られた気がする。

「後先考えましょうよ。そうじゃなくても予告とか相談とか、心の準備をさせてください。
結構な大きさの炎が現れて、まるでお嬢様の頭がいきなり爆発したように見えたんですよ?!
心臓が喉元まで上がってきましたよ!!」

いや、本当にすまない事をした。
かなり怖い想いをさせたようだ。

この程度で諦めたくはないが、心配もかけたくないな。
どうやったら小さい炎を出すことができるんだろう。

「ごめんなさい。
普通はもっと小さい火を出すんでしょう?
どうやったらいいの?」

「そう言われても私には分かりませんよ。
魔法の才能がなくて火を出すことも出来ないんです。」

「そうなの?」

「はい、物を温めるのがせいぜいですね
見ての通りの髪色ですから魔力がないんですよ」

「魔力?」

そういえばステータスにも魔力の項目があったな。

「はい。髪の色が薄いほど、魔力が強いって言われてますね。」

「そもそも魔力ってなんなの?」

「へ?
魔力は魔力ですよ。強ければたくさん、上手に魔法を使える力じゃないんですか?」

うん、よくわかんない。

それもそうだ。
私は魔法の存在しない世界を知っているから魔法の原理に疑問を覚えるが、リナのような普通の人にとっては普通に存在していた力なのだ。

前世の私に「電力ってなぁに?」とでも聞かれるようなものだ。
そう考えると、あやふやながらもちゃんと答えてくれるウチのメイド超優秀じゃね?

しかしなるほど、魔法を電気、魔力を電力に置き換えてみよう。
だとしたら魔法を使う私自身が電化製品という事になる。

電気ストーブの火力は私が自由に設定できるはずだ。

「ねえ、言葉と現象は照応しているのよね?」

「もちろんです。」

何を今更、という顔で頷かれた。

だったら火力も言葉で調整できるはずだ。
欲しいのはマッチや蝋燭のような小さな炎。
それに照応する言葉とイメージで再挑戦してみる。

蝋燭の灯火キャンドルライト

ポッ

よし、成功!
現れたのは指先に灯る小さな炎。

「ふぁっ!
お嬢様!火が小さくなってます!!」

『へー、現象に対応した言葉で調節できるんだね』

「うん!
上手にできた!!」

しかも先程と違い、一瞬で消えることはなく指先に灯り続けている。

これはいける!!
何となくコツを掴んだぞ!

魔法とはつまり世界の力を行使することらしい。
この世界は魔力を持つ者に優しい。

イメージした現象を発言するために言葉でお願いするのだが、その言葉が丁寧であるほどに現象に還元されるようだ。

これはいろいろ検証したい!
具体的には厨二病全開の面白呪文とかで魔法を展開したらどうなるのか試してみたい。

しかし夢が広がる。
蒼銀の髪を持つ私はコタツとドライヤーを一緒に使ってもブレーカーが落ちない電圧設定という事だ。
もしかしたら夢のエアコンや電子レンジも同時使用にも耐えうるかもしれない!!
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