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第一章
14 金瞳 ト 日常
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メイドたちは私の身支度を完了させると行儀よく部屋を出て行く。
私は仔犬が収まった箱をそっと開けて中を覗き込む。
静かだったから眠ってると思ったけど、目が開いてる。どうやら起きてたみたいだ。
それでもまだどこか眠そうで、蕩けた視線で私を睨め上げてる。
初めてちゃんと見えた瞳は金茶色かな?
純白の毛並みと相まって窓から差し込む朝日の中では黄金色に煌めいて見える。
「おはよーごじゃましゅ」
リナに教えて貰った通りに皿にオートミールとミルクを注ぎ与えてやる。
ちょっとミルク多めにして流動食っぽくした方が食べやすいかな。
仔犬を箱から出してやると、私の方をチラチラと見ながらオートミールの皿を鼻先で伺っている。
しばらくクンクンと匂いを嗅ぐと徐ろにもそもそと食べ始めた。
しっかり食べている事を確認できたし、私も朝ご飯を食べに食堂に行こう。
朝から結構な量が並ぶなー。
昔の風習ではあるのだけど、貴族家の食事はまずは主人が食事をして、その残りを使用人が食すという文化があった。
その名残で貴族の食事は残す事を前提とした量が供されるのよね。
前世の習慣で、食べれる物はムリにでも詰め込む癖が抜けない私には正直ツラい。
4年も貴族やってんだし、ちゃんと慣れなきゃな...。
実際に今でも食事の際に手を付けなかった皿は使用人の間食になるから、並んだ物に口をつけなくても罪悪感を覚える必要はないんだけどね。下働きはもちろん、貴族の子女子息の家令に至るまで満腹になるほどの配食はないから喜ばれるみたいよ。
という訳で、小さい丸パンと卵とフルーツで満足してしまった私は早々に自室に戻る。
部屋にはオートミールを食べ終えた仔犬がベッドの陰に隠れてこっちを見てる。
うわー、すごい警戒してるー。
「だいじょーぶよ。いじわるしないから」
どうしたらいいか分からなくて仔犬に話しかける。
我ながらイタいなって思う。
でも小動物と接したことなんてないんだもん。
ホントにわかんないって!
根気よく話しかけてると、仔犬がそっと近づいてきてくれる。
(私は無知だから真正面に座り込んで「おいでー」だの「怖くないよー」だの言いながら犬の顔を覗き込んじゃったけど、いい子は真似しないでね。
犬や猫はしっかりと目を見つめられると敵対意思あり!って警戒しちゃうらしいよ。)
仔犬はクンクンと私の匂いを嗅いで、少し警戒を緩めたようだ。
「これから、かてーきょーしのせんせーがくるの。しずかにかくれててくれる?」
内緒で連れ帰って来ちゃったからな。
できれば寝ててくれるとありがたいんだけど、ダメ元で聞いてみる。うん、イタい。
しかし仔犬は大人しく昨夜のベッドにした箱の中にピョンと跳び入るとタオルの中に丸まってしまった。
まあ!賢い子!
お腹いっぱいで眠かったのかな?
コンコンとノックの音が響く。
ジーナ先生がいらっしゃったみたい。
「お嬢様、失礼いたします」
「はい、どーぞ」
部屋の扉が開き、綺麗な姿勢で目を伏せたままのジーナ先生が音もなく入ってくる。
常に立ち振舞がお手本みたいだ。
「おはようございます。
本日はマナーのお勉強と、間もなく行われます5歳の祝福についてお教えします。」
ついにキターーーーー!!
念願のステータス開示イベントっ!
私は仔犬が収まった箱をそっと開けて中を覗き込む。
静かだったから眠ってると思ったけど、目が開いてる。どうやら起きてたみたいだ。
それでもまだどこか眠そうで、蕩けた視線で私を睨め上げてる。
初めてちゃんと見えた瞳は金茶色かな?
純白の毛並みと相まって窓から差し込む朝日の中では黄金色に煌めいて見える。
「おはよーごじゃましゅ」
リナに教えて貰った通りに皿にオートミールとミルクを注ぎ与えてやる。
ちょっとミルク多めにして流動食っぽくした方が食べやすいかな。
仔犬を箱から出してやると、私の方をチラチラと見ながらオートミールの皿を鼻先で伺っている。
しばらくクンクンと匂いを嗅ぐと徐ろにもそもそと食べ始めた。
しっかり食べている事を確認できたし、私も朝ご飯を食べに食堂に行こう。
朝から結構な量が並ぶなー。
昔の風習ではあるのだけど、貴族家の食事はまずは主人が食事をして、その残りを使用人が食すという文化があった。
その名残で貴族の食事は残す事を前提とした量が供されるのよね。
前世の習慣で、食べれる物はムリにでも詰め込む癖が抜けない私には正直ツラい。
4年も貴族やってんだし、ちゃんと慣れなきゃな...。
実際に今でも食事の際に手を付けなかった皿は使用人の間食になるから、並んだ物に口をつけなくても罪悪感を覚える必要はないんだけどね。下働きはもちろん、貴族の子女子息の家令に至るまで満腹になるほどの配食はないから喜ばれるみたいよ。
という訳で、小さい丸パンと卵とフルーツで満足してしまった私は早々に自室に戻る。
部屋にはオートミールを食べ終えた仔犬がベッドの陰に隠れてこっちを見てる。
うわー、すごい警戒してるー。
「だいじょーぶよ。いじわるしないから」
どうしたらいいか分からなくて仔犬に話しかける。
我ながらイタいなって思う。
でも小動物と接したことなんてないんだもん。
ホントにわかんないって!
根気よく話しかけてると、仔犬がそっと近づいてきてくれる。
(私は無知だから真正面に座り込んで「おいでー」だの「怖くないよー」だの言いながら犬の顔を覗き込んじゃったけど、いい子は真似しないでね。
犬や猫はしっかりと目を見つめられると敵対意思あり!って警戒しちゃうらしいよ。)
仔犬はクンクンと私の匂いを嗅いで、少し警戒を緩めたようだ。
「これから、かてーきょーしのせんせーがくるの。しずかにかくれててくれる?」
内緒で連れ帰って来ちゃったからな。
できれば寝ててくれるとありがたいんだけど、ダメ元で聞いてみる。うん、イタい。
しかし仔犬は大人しく昨夜のベッドにした箱の中にピョンと跳び入るとタオルの中に丸まってしまった。
まあ!賢い子!
お腹いっぱいで眠かったのかな?
コンコンとノックの音が響く。
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「お嬢様、失礼いたします」
「はい、どーぞ」
部屋の扉が開き、綺麗な姿勢で目を伏せたままのジーナ先生が音もなく入ってくる。
常に立ち振舞がお手本みたいだ。
「おはようございます。
本日はマナーのお勉強と、間もなく行われます5歳の祝福についてお教えします。」
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