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綺麗な泪。
しおりを挟む美月は雅さんが帰るまで明るく振る舞った。
美月はイクを責めるような事は何一つ言わなかった……。
どれだけ美月は自分を閉じ込めるつもりなんだろうか?
どれだけ美月は傷つくのだろうか?
美月はイクの手を握り
『郁弥は何も悪くないんだよ』
と繰り返し伝えていた。
しばらくして雅さんが戻って来た。
「雅さん、僕たち今日は帰るね。
郁弥……早く良くなるといいね。」
「美月、シノブ君もありがとうね。
気を付けて帰ってね。」
「はい。」
「うん。」
「イク、早く良くなれよ!」
「……郁弥…バイバイ。」
美月と二人でタクシーに乗り込み美月の家に向かった。
タクシーの中で美月は一言も口を開かなかった。
門をくぐり石畳みのアプローチを進む。
俺の後をゆっくりと歩く美月に声をかけた。
「美月……郁弥の事いいのか?」
「信夫……僕……疲れちゃったよ。
僕の好きはきっと恋愛じゃない…よ…。
郁弥とコウ君が好き合っているのに
ただの邪魔者だよ…僕は…
もう……いいや……」
今にも泣き出しそうな美月。
どうしてやればいいのか今の俺には判断できない。
「そっか……美月…俺の前ではむりすんなよ?」
美月は顔を上げて声も出さずに
ただ…ただ…綺麗な泪を溢れさせた。
「信夫……ありがとう…」
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