片想い

ヒビ。

睦月が亡くなった後
救急にいるのがツラくて

整形外科に転科した。
まだ専門医は取れていない。





外来診察日
看護師から
渡された次の患者ファイル


美波。



問診表には
自転車が左手の上に倒れてきたとあり
先にレントゲンを撮る指示を出したそれだった。



ヒビが入っている。
神経はどうだろう？
美波は
どんな気持ちだろう？




美波を診察室に呼び入れ
状況を説明する。
美波はヒドく落ち込み

「バイトは休んでね」と言った私に対し

初めて顔をあげ
いつも店に来る客として
認識してくれた。


「できるだけバイト休みたくないんで
先生できるコトだけやっていいですか？」と
言ってきた。


私は
「無理しないでね。」と言った。






美波と顔を見て
直接話せたのが



こんなにも
嬉しい。



ケガをしている美波には
申し訳ないが、
嬉しい。






あなたは知らないでしょう？
わたしが
あなたを愛してるコト。