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ボイスレコーダー。
しおりを挟む雅さんは
ヨシの寝ているベッドのカーテンを閉める。
僕はカーテンの中でヨシの手を握った。
雅さんは保健の先生が普段使っている
テーブルに座ったようだ。
「こんにちは。久しぶりね?
みんな元気だった?」
………
「私の顔、ちゃんと見られないみたいね?
でもきちんと話してもらうわよ?」
みんな黙ったままだ。
「じゃっ 親御さん呼んでもらおっか?
あと、弁護士さん。
みんなも弁護士さん呼びたければどうぞ?」
雅さん、穏やかな口調だけど
言ってるコトが怖い。
「おばさん、俺知ってるコト話します。
だから その……」
斎木部長の声だ。
「それは、あなた達次第ね。
申し訳ないけど、今から録音するからね?」
そう言ってボイスレコーダーを取り出したようだ。
そしてスイッチを押して
「今から録音しますね?」
ともう一度伝えた。
「はい」 斎木部長が返事した。
「スミマセン。何で俺らココに呼ばれたんですか?
義弥が倒れたのに病院には行かなくていいんですか?」
「橘くんは何にも知らないの?
あなたでしょ?
最初に義弥に触れたの……」
「えっ?」
「あなた達が義弥にイタズラなんてするから
義弥は壊れてしまったわ。
犯罪よ?レイプは」
雅さんの冷たい声がする。
「レイプって何ですか?
俺、本当に知らないですよ?」
「慎治郎、知らないじゃ済まされないよ?」
「叶望?」
「俺らが6年、ソメとイケが5年の時
バスケの合宿同じ部屋だったよな?
あれってソメとイケがどうしてもって義弥と同じ部屋にしてもらったの知ってるか?
もちろん俺らみんな、義弥が可愛いくて大好きだったよな?」
「叶望?
確かに義弥は俺らのアイドルだったよ。
俺も義弥が大好きだったよ?
部屋割りは……どう決まったか知らない。」
「ソメとイケはキャプテンだった慎治郎の名前出して部屋を強引に決めたんだよ。」
「何で?」
「何で?義弥と同じ部屋で過ごしたかったからだよ?」
「それは…俺らだって義弥のコト可愛いくて一緒に過ごしたかったじゃないか?」
「慎治郎の義弥を好きはどういう好き?」
「えっ? さっきも言ったけど弟みたいで
アイドル的存在の好きだよ?
今でも義弥は可愛いよ?
バスケ部に来てもらいたかったよ?
でも陸上頑張っててスゴいって思ったよ?」
「でも ソメとイケは違うよな?」
「何で?俺と一緒に義弥のコト可愛がってたよな?」
「慎治郎。
ソメとイケにとって義弥は恋愛の対象だったんだよ?分からなかったのか?」
「だって、小学生じゃないか?」
「そうだよ。
小学生だよ。
でもお前だって好きな子いたろ?
あの夏の合宿で風呂に入る時、
慎治郎は俺に見せつけるように義弥を抱えて風呂場に行ったよな?
それで義弥の髪や身体、洗ったよな?」
「否定しないよ?
義弥は本当に可愛いくて弟みたいだった。
それに……お前に俺のコト見て欲しくて
ワザと義弥のコト可愛がっていたよ。
確かにそれは認めるよ。
でもそれが何でレイプなんだよ。」
「橘くんは知らない間に
キッカケになっていたのねきっと……」
やっぱり
こいつらがヨシを苦しめてるんだ。
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