初恋

あんず

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みやびサン。

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「ただいま。」



「こんにちは。お邪魔します。」




「はぁい。お帰りなさい。

美波くん?『お邪魔します』ってなぁに?」



「雅さん……ただいま。」



「はい。よくできました。」



ミナの顔が真っ赤だ。
母さんには敵わないや。





父さんと睦月さんも荷物を運んでやってきた。

「ただいま。」



「こんにちは。美波の父の睦月です。

いつも息子がお世話になってます。」




「はい。お帰りなさい。

睦月さんね?

あらっ    美波くんと同じ顔。 

義弥の母のミヤビです。

よろしくお願いしますね。  」



「早く荷物片付けてきてね。

お茶にしましょう?」




母さんはコーヒーを淹れている。

俺は自分とミナのココアをいれた。




リビングに集まり

ココアに口をつける。

「ヨシ?これ、いれてくれたの?

何か    美味しい…」


「そっ?   良かった。   特製ココア。

何かは……企業秘密ね?」


「そっか。    これからはヨシが   ココアいれてくれるの  嬉しいよ?」


「えっ?   ミナのココアも美味しいのに…」

俺たちは笑った。








睦月さんが驚いている。

俺、何か変なコトしたかな?

ミナ、連れて帰らないかな?

俺の頭の中で色んなコトが渦を巻く。




ミナの手が俺の肩を引き寄せた。

「ヨシ?   綺麗な顔が台無しだよ?」




俺はミナを見上げるのが精一杯。

「ヨシ?   大丈夫だよ?
  僕たちはこのままでいいんだよ?

急に色んなコトがあって疲れちゃったね?

栞菜さん、雅さん……ヨシ休ませますね?」


ミナはそう言って俺の手を引き

俺たちの部屋に向かった。





部屋に入ると

ミナは俺のコットンセーターを脱がせ
自分もTシャツを脱ぎ

ベッドに入る。


「ヨシ?   どうしたの?」

黙ったままの俺にミナが声かける。



俺はミナに抱きつき

ミナの肌に頬を擦り寄せた。




「ミナと一緒じゃないとダメなんだ。
俺、汚くなっちゃうよ。」

俺は考えていたコトを伝えられず
結果だけがコトバになってしまった。



「ヨシ?   大丈夫。
父さんは僕を連れて帰らないよ?

僕はヨシのモノだよ?」

そう言いながら俺の髪を撫でてくれる。
ミナは俺の欲しいコトバをくれる。


俺は安心して
ミナの腕の中で眠ってしまった。












「睦月さん?    驚いた?」


「はい。夕べから俺の知らない美波がいて。

自分が何も見てこなかったって思い知らされます。」


「そうね。美波くんやっと感情を出せるようになってきたわよ?

テレビの中の美波くん、別人だったもの…」



「「テレビ?」」


「……それも知らないのね。

美波くん、一昨年と去年と陸上の100メートル走の小学生全国一位よ?

インタビューに答える美波くんの表情は

まるで小学生には見えなかったわ。

綺麗な人形みたいだった。

でも走る姿は

睦月さんたちに見てもらいたいって全身で訴えてたわよ?」



「何も知らなかったです。」



「でしょ?美波くんが感情を出せるのは
ウチの義弥のおかげ。

義弥が警戒を解いて本心を見せるのも美波くんだけ。

あの2人は私たち親でも離すことはできないわ。



だから睦月さん、今まで通り…
今までとは違うわね?

あの子たちを見守って?」


睦月は頷いた。




「あなたも……

あの子たちのスキンシップは周りから見たら

ただのイヤラシイ行為に見えるかもしれない。

だけど   あの子たちにはちゃんと意味がある。

たぶん2人は
セックスしてると思う……」


「雅……」


「ほらっ……そんなふうに反応しないで
義弥を救ってくれたのは美波くんよ。

あの2人にはセックスだって
ただの興味本意じゃないの。

ちゃんと意味があるの。

だから   私たちは見守らなきゃいけないのよ。」




「母さんは   2人をわかってるんだな。

ありがとう。


でも何で…?

まだ中1だぞ…?」




「あなた急かさないで。

あの2人はたぶん

何年も前から自分の存在を否定している。

そんな風に見えるの。

だから   私たちが今、動いても直ぐには何も変わらない。

私たちがあの子たちを理解するのが先よ?


あの2人が出逢えて、

お互い必要と思えたことが奇跡だと

私は思うわ。

ねっ?」


雅は微笑んだ。



「雅……お前、スゴいな。」


「でしょ?」






「美波をよろしくお願いします。」


「はい。もちろん。」







「栞菜さん……雅さんて本当にスゴいヒトですね?」


「だろっ?   俺もビックリ。

 自慢の奥さんだ。」











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