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おじさんの独り言。
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「俺はね、両親の顔を知らない。
施設の出身なんだ。
葉月もそう。
でも葉月は高校の時の少しだけ。
あいつは両親の顔を知ってる。
俺にはね
3コ下の『天使』がいたんだ。
雪の降る日に施設にやって来た。
とっても可愛いくて癒されて
無条件に俺のココロに入ってきた女の子。
可愛くて、大好きで、誰にも取られたくなくて
愛してたんだ。
施設は高校を卒業した3月に退所しなきゃいけなくて
俺はどうしても離れたくなくて
手に入れたくて、まだ中学生の『天使』に
触れてしまったんだ。
こんなコトはいけないという罪悪感と
大好きで触れていたいという気持ちとが
混ざり合っていた時に
葉月が言ったんだ。
『弥生ちゃんは、睦月に仕方なく抱かれてるって。私に相談してきたよ?』
俺は葉月の言うコトをそのまま信じた。
『天使』の本当の気持ちを知るのが怖くて
確認できないまま
施設を退所したんだ。
同じ歳の葉月も退所して
俺たちは2人とも公務員になって
葉月は周りに俺の彼女みたいに自分をアピールしてた。
『天使』を手放してしまった俺は
本当に他はどうでもよく思えていて
葉月の好きにさせてた。
後から知ったんだけど葉月は
職場の上司や施設の園長先生にも
俺と結婚すると報告していたんだ。
知らなかった。
その時は
本当にただの同じ施設出身の友達だったんだ。
『天使』に俺がどれだけ愛しているか
伝えたくて施設を訪ねたら
いなくなってた。
合格した高校へも行かず
いなくなってたんだ。
今でも後悔しているよ。
俺と『天使』は
初めから施設で育ったから
両親がいなくて寂しかったけど
優しい園長先生夫婦に育てられたから
後から施設に預けられた子供とは感覚がだいぶ違かったんだ。
ヒトを思い通りにしようとか思ったコト無かったから
葉月の罠だって気付かなかった。
でも
葉月はきっと俺が好きでとってた行動で
それに気付かない、確かめなかった俺が悪かったんだ。
だから葉月を責めるコトは俺にはできない。
それに大切な美波を生んでくれたし……。」
おじさんの話しを俺は
黙って聞いていた。
ただ
ミナの両親の溝は
ミナの生まれる前からのものだった。
施設の出身なんだ。
葉月もそう。
でも葉月は高校の時の少しだけ。
あいつは両親の顔を知ってる。
俺にはね
3コ下の『天使』がいたんだ。
雪の降る日に施設にやって来た。
とっても可愛いくて癒されて
無条件に俺のココロに入ってきた女の子。
可愛くて、大好きで、誰にも取られたくなくて
愛してたんだ。
施設は高校を卒業した3月に退所しなきゃいけなくて
俺はどうしても離れたくなくて
手に入れたくて、まだ中学生の『天使』に
触れてしまったんだ。
こんなコトはいけないという罪悪感と
大好きで触れていたいという気持ちとが
混ざり合っていた時に
葉月が言ったんだ。
『弥生ちゃんは、睦月に仕方なく抱かれてるって。私に相談してきたよ?』
俺は葉月の言うコトをそのまま信じた。
『天使』の本当の気持ちを知るのが怖くて
確認できないまま
施設を退所したんだ。
同じ歳の葉月も退所して
俺たちは2人とも公務員になって
葉月は周りに俺の彼女みたいに自分をアピールしてた。
『天使』を手放してしまった俺は
本当に他はどうでもよく思えていて
葉月の好きにさせてた。
後から知ったんだけど葉月は
職場の上司や施設の園長先生にも
俺と結婚すると報告していたんだ。
知らなかった。
その時は
本当にただの同じ施設出身の友達だったんだ。
『天使』に俺がどれだけ愛しているか
伝えたくて施設を訪ねたら
いなくなってた。
合格した高校へも行かず
いなくなってたんだ。
今でも後悔しているよ。
俺と『天使』は
初めから施設で育ったから
両親がいなくて寂しかったけど
優しい園長先生夫婦に育てられたから
後から施設に預けられた子供とは感覚がだいぶ違かったんだ。
ヒトを思い通りにしようとか思ったコト無かったから
葉月の罠だって気付かなかった。
でも
葉月はきっと俺が好きでとってた行動で
それに気付かない、確かめなかった俺が悪かったんだ。
だから葉月を責めるコトは俺にはできない。
それに大切な美波を生んでくれたし……。」
おじさんの話しを俺は
黙って聞いていた。
ただ
ミナの両親の溝は
ミナの生まれる前からのものだった。
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