初恋

ミナじゃないと。

「帰りは電話してね。迎えに来るから。」

母さんは手をヒラヒラさせて去って行った。


久しぶりのミナのウチ。
何にも変わってない。
モデルルームみたいなウチ。


まだ６時だ。



「ヨシ、こっち。」

ミナに手を引かれ
ミナの部屋に入る。

ミナが俺に抱きついてきた。
スゴく哀しそうな顔。



「ミナ……俺、何でだろう……
何で俺、センパイに寄って来られるんだろう。
気持ち悪くて仕方ないよ。
何で俺に触るんだよ。
ザワザワして気持ち悪いのに。
俺、何かしたのかな？
ミナじゃないとイヤだよ。」



「ヨシは何も悪くないよ。
大丈夫だよ。ヨシは僕を護ってくれるんだろう？
僕はヨシがいないとダメなんだよ？
この暖っかい温もりを誰にも渡さないよ？
ヨシは僕のヨシだろう？」



「俺、ミナと一緒にいていいのか？
男に寄って来られるのにミナ、気持ち悪くないか？」



「大丈夫だよ。
僕は何があっても
どんなコトがあっても


たとえ離れるようなコトがあっても
ヨシが一番だ。

ゴメン。
もっと安心させてやりたいんだけど
僕自身が……まだ弱いんだ。」



「ミナ、嬉しいよ。ありがとう。
俺がミナを護るんだから、俺がちゃんとしなきゃ。」



「ヨシ、ありがとう。
でもヨシ……僕も男だよ？」


「そうなんだけど、ミナは何か違うんだよ。
どうしてか分からないけど……」


「ヨシ、
イヤならいいけどセンパイに
何されたか教えてくれる？
僕、心配だよ。」


「ミナに嫌われたくないよ…」



「僕、ヨシを嫌いになんてならないよ？」