48 / 93
手術。
しおりを挟むノブにイクの搬送先をメッセージで送った。
「今から、手術だから早く来て」
イクの兄さんは『絶対助けるから』と言った。
待つしかない……。
イクの歌声を聴きたい。
イクの笑顔が見たい。
イクの右手を繋ぎたい。
思い浮かぶのは『5歳のイク』。
何であの時、手を離してしまったのだろう…
イクの意識が無い今、後悔の渦に飲まれた。
ノブとミキちゃんが到着した。
「今から手術の説明してくれるって」
「コウ君、一人にさせちゃってゴメンね。」
ミキちゃんが言ってくれた。
こんな時でも優しいミキちゃん。
「大丈夫。先生待ってるから入ろう?」
オレは精一杯の背伸びで答えた。
家族待合室から別の個室の扉を開けた。
「ミナ君……。」
「美月、
お前が郁弥見つけてくれたんだろう?
ありがとな。」
やっぱりミキちゃんそっくりの……
イクの兄さんのミナさんがいた。
途端にミキちゃんは大声で泣き出した。
イクを発見してからミキちゃんはずっと我慢をしているように見えた。
ミナさんはミキちゃんを抱き締めて
優しく髪を撫でた。
「絶対に僕が助けるからね?
待っててくれるか?」
泣きながらも上目遣いでミナさんを見つめるミキちゃん。
小さく頷いている。
「義弥と栞菜さん、翔君にも連絡入れてくれる?」
もう一度、ミキちゃんは頷いた。
「行ってくるね。
ゴメン。シノブ君だよね?
美月を頼むね?」
「はい。」
ミナさんはノブを知っているのか?
ミナさんはミキちゃんのおデコに自分の額をつけて
「行ってくるね。」と言って
手術室に向かって行った。
「コウ君、しばらくかかるからココお願いしてもいい?
僕、連絡しなきゃで電話できる所行かなきゃで…。」
ミキちゃんの頭の中はきっとミナさんに言われたやらなきゃいけない事でイッパイなんだろう。
「ミキちゃん、いいよ。
ノブと行っておいで?」
「ありがと。」
ノブがミキちゃんの手を取り
家族待合室を出て行った。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる