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第三章

第106話 ダンジョン攻略開始です

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「ふほほほ。宝石だらけよ! あっ、ライその緑色の大きいの取ってくれないかしら。そうそれ!」

「キラッキラですね♪ じゃあ私はこの青色のを。きゅふふふ」

「にゅふふ。この赤いにょはリントのにゃ」

 それからしばらく宝石の品定めをしたり、キラキラの腕輪があったので、またムルムルの王冠を取り替えたりして遊んでいたのですが、ふと気になる事がありました。

「ねえテラ。このダンジョンは普段そこには出ない魔物が出てたようです。普通はそんな事はある事なのかな?」

「無いわね。······調べてみた方が良いかも。その前に外の人攫いも捕まえておきましょう。そろそろ夕方だと思うからみんな戻ってきているはずよ。一網打尽にしてしまいましょう」

 一階層に戻り、透明ローブを羽織ってプシュケを背負い直し、表に出ました。

「まったく門を抜けるのに一日かかったぜ。密輸してる奴らがいてよ、それの大捕物だ」

「ふむ。それはうちのではないな、今日は出荷は無かった筈だからな、よし冒険者は預かるから武器や持ち物の買い取りをしよう、そっちのテーブルに出してくれるか」

 ほうほう。こんなに遅くまで門を通るために並んでいたのですね。

 まあ、馬車の冒険者さん達を除いて、ぐるぐるやってしまいましょう。

 テーブルに出された物を品定めしている内に魔力切れになり、その場で崩れ落ちました。

「テラ、壁の内側で、教会じゃない方はいないかな? いないなら、一度にぐるぐるしちゃえるのだけど」

「その方が楽よね。良いわ任せて。んん神眼~。この街の住民が二人。たぶん教会にお祈りにでも来てるのかしらね、奉っている神は実在しないけど、その人の心の支えにはなっているのかもね」

「いないんだ! でも確か、教国の教会だよ。それが作り物の神様なら駄目じゃないの?」

「良くはないわね。偽物の神様に祈る事で心が安らぐなら目もつぶるわよ? これでだいぶ見えてきたわね、この人攫い騒動。これって」

「「教国が絡んでる教国が犯人にゃ」」

「リント。犯人はほぼ確定、人攫いだけじゃなく、麻薬なんかも相当作っていて、ばらまいている方もありそうだわ。帝国も怪しいのは変わりないけど、教国にも目を向けた方が良さそうね。それから、教会を隈無くまなく調べた方が良いかもね、それはお義父様達に任せるとして、その二人を教えるから他の奴は気絶させて、送っちゃえ!」

「うん。じゃあその二人を見付けてからやっちゃうね。テラ案内お願いできる?」

「任せて! って、あの建物から出て来た二人以外よ。探す手間が省けたわね」

「じゃあやっちゃうね。ぐるぐる~」

 ぐるぐるしてから数分後には敷地内で動ける者は僕達だけになり、まとめてお屋敷に転移してカヤッツにお願いしました。協会に戻り、敷地内の建物の中身も収納して空っぽにしたのですが、テラに見てもらうとそれでも沢山の麻薬、お金、何かの取引の書類や、名前が沢山書かれた物が床下などに隠されていましたので、最後は建物ごと収納する事にしました。

「ライ。収納の容量が無限になっているから良いけど、たぶんお義父様達が必要な資料とかもある筈だからもう一度帰った方が良いわよ? まあ、人攫い達は送ったから、それを調べる時間もあるでしょうし、このダンジョンの異変を見てからでも良いとは思うけど」

「う、うん。じゃあさっきの十階層から続けて攻略しちゃおう! 転移!」

 パッ

 ダンジョン十階層に戻った後は、十階層ごとのボスを倒して宝箱を獲得しながら、五十階層のボス部屋で、お泊まりすることにしました。

「今のところ調子良く来てるわね。でもドラゴンまでもこんな浅い階層に出るなんてどうなっているかしら? ダンジョンマスターが、攻略をさせないようにしてる? まあ最下層に行ってみなきゃ分からないわね」

「ダンジョンマスター。異世界で、やってみたい事ランキングにありますよ♪」

「ねえライ。異世界って何?」

「にゃ~。ライは異世界から来たのかにゃ、たまに来てるよにゃ。召喚が流行った時はよく来てたみたいにゃよ」

「え? リントちゃんもなんだか知ってるみたいだし、知らないの私だけ?」

「そっか。テラとムルムルそれにフィーアとティには話したかな。あのね僕は······」

 前世の記憶があり、そこで死んだ事。

 死んだ後神様にあって、この世界で生きる事にした事をプシュケとリントに話しました。

「う~ん。なんとなく分かったような?」

「転生者だったのにゃ。リントは初めて見たにゃ」

「そうね。召喚よりは物凄く珍しい事よ。ありがたく思いなさいね、だから楽しむのよ」

「うん。いっぱい何でも挑戦したくてたまらないし、それが楽しくて仕方がないんだ♪ できればみんなとずっと一緒に色んな所に行ったり、経験したいかな」

「ん~。分かった! じゃあ私もライと冒険を続ければ、ライも楽しいし、私も楽しい! 良いよね?」

「にゃ~。仕方にゃいにゃ~。リントもこの冒険の旅は気に入ってるから、最後までついていくにゃよ」

「うん。うん。ありがとう♪ 無茶苦茶嬉しいですよ!」

「あ~。リントは良いとして、プシュケ。あなた学院に通いなさい。絶対に今後役に立つわよ。ライは家で相当勉強していたみたいだから、そこそこの知識があるけど、プシュケは常識的な事もたまに抜けてると思うの。村の中での知識しか無いわよね?」

「うっ! お勉強苦手かも······」

 そうだね。プシュケは僕よりずっと長生きだから少しずつでも良いかも知れないけど、今の内にお勉強しておけば、さらに良いのかも。······父さんに頼むのは違うよね、よし。僕が稼いでプシュケに学院に行ってもらおう。

(ライ。少し寂しいかも知れないけど、そうする事でプシュケのためになるから、私も協力は惜しまないわよ)

 うん。この事が終わったら、相談してみるよ。

「プシュケもその事は今は置いておきましょう。明日のために寝るわよ!」

 夜中、プシュケは『ううー数字がぁー』とか、勉強をしている夢でも見ているのか、寝言を言ってましたが、その夜は何事もなく、過ぎ朝を迎えました。



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