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第三章
第99話 これはもしかして!
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「実はな。ライが一週間前に門の詰所に置いていった奴らから聞き出したのだが、ファイアーアントを使った作戦は、あの三人以外も期間を少しずつずらしながら行う予定だったみたいでな」
父さんは、女王さんを見たまま口だけを動かし、言葉を続けます。
「あの三人が失敗しても、また次の者が作戦に投入される予定だったのだ。だか今回ライが倒してしまったなら? そもそもファイアーアントの巣が全滅なら? 帝国がファイアーアントを使うため、何人巣へ送り込もうが、その作戦はやりようがなくなる」
「そうですよ坊っちゃんお手柄です」
ようやく女王さんから視線が外れ、二人とも僕達の方へ向き直りました。
「うむ。その事で王国は国境の砦へ兵を出すために動き出している。それを止めねばな。出兵はサーバル領を一年は賄えるほどの資金が必要だ。今ならまだその出費をかなり押さえられるからな。よし、カヤッツ私は王城へ登城するから屋敷は任せたぞ」
「はっ」
「あっ。そうだ父さん、ファイアーアントでうちの兵士達に鎧を作れないかな? たくさんあるからみんなの分を作れると思うんだ」
「ほう。それは名案だな、ライ。ありがたくその提案は受け取る。今の魔狼とオークの素材より何倍も強く、そして軽い鎧ができるな。カヤッツそれも頼む」
「はっ。では行ってらっしゃいませ旦那様、少しでもお早い方がよろしいかと」
「うむ。ではな」
父さんはそう言うと小走りに屋敷へ戻り中に入った途端『おーい王城まで連れていって欲しいんだけど』『えーまたぁ』とすぐに母さんに出会えたようです。
「カヤッツ。どれくらいあれば足りるかな? いっそのこと全部わたそうか? そしてこの国中の兵士さんに装備して貰えれば、強くなりますよね? あっ! そうです、お安くで良いから冒険者の方達に売ればサーバル男爵領の儲けにならないかな?」
「ほう。それは良いですな。普通に買うとして大銀貨で数枚はしますからね、その値から少し下げて、いっその事グッと押えて大銀貨一枚で売れば、······相当な儲けになりますよ坊っちゃん。しかし私の収納がまだそこまで入るかどうかですな」
「それなら小分けにして渡していこうか? サーバル領のみんなに配っても余るくらいあると思うし」
「そうですね、うちは領兵が旦那様の人気で多い方ですが、今は一万人ですからね、素材にその倍あれば十分には賄えますので、それからお預かりできますかね」
「うん。じゃあ渡していくね」
カヤッツは部下を連れてきて、分担しながら収納して、なんとか二万匹を収納し終え、『これで鎧ができるんだと』『マジか! カッコいいぞ』『皮鎧は汗くさいからなぁ。正直嬉しすぎるぜ』なんて呟きながら職務に戻っていきました。
喜んでくれているみたいで嬉しいですね。
カヤッツ達を見送ったその後はナインテールの子供達が飛びかかってきてわちゃわちゃにされ、髪の毛はぼわってなってますし、ヨダレでベトベトになりましたがムルムルが僕達を包み込んで一瞬の間に綺麗にしてくれました。そして転移で街道に戻ったのですが、そこにはテントを張った冒険者達が多数。
「何してるのでしょうか? お昼の休憩にしてはテントまで張ってますし、もしかしてナインテールを待ってるの?」
「そうかもね。もう戻っては来ないのですが、教えてあげようかな?」
「ライ、それは言うだけ無駄にゃ。その内諦めるにゃよ。放っておいてリント達は旅を続けるのにゃ」
「そうだね。じゃあ行こう♪」
そして、チラチラ見られましたが、僕達は街道を進む事数日。
二つの村と、一つの町を通り過ぎ、ついにダンジョン街へ到着しました。
「はい。次の方」
「はい。僕達の番が来たよ、プシュケ、リント行くよ」
ダンジョン街の冒険者ギルドで、ダンジョンに入るための登録と、ランクアップができるかどうか聞かないと行けません。
ランクアップは時間がかかるかもと聞いていますので、しばらくダンジョンで楽しまなければいけませんからそんなに急いではいませんし、まだまだ朝ですからこの後すぐにでもダンジョンに向かいたいのでこの朝の順番待ちが物凄く長く感じました。
「おはようございます。ダンジョン――」
「オラどきなガキども!」
「ん? 何か急ぎでしょうか? スタンピードでも起きそうとか?」
五人パーティーですね。その方達は何やら先を急いでいるのか僕達の番のところにそう言ってやって来ました。
「バカかお前は! スタンピードなんざ起きてねえよ! 俺達Cランクパーティーだ。駆け出しのガキは黙って順番を明け渡せば良いんだよ! オラどけ!」
そう言って僕と、プシュケを合わせて殴ろうとしたのか拳を横なぎに振り回してくるじゃないですか!
これは僕が避けるのは余裕ですが、プシュケは驚きの余りリントをきゅって抱き締めて固まっていますから、避けるだけじゃいけません!
迫り来る太い腕を下から蹴りあげて軌道をそらせます!
「シッ!」
ボキン。狙い通り僕達の頭の上を通り過ぎる拳、振り切った後腕は肘のところで垂れ下がりましたので、折れちゃったようです。
「いきなり何をするのですか! 当たったら危ないじゃないですか! あなた達は急ぎの用事があって僕達の前に入ろうとしているのですよね! それなら理由を聞いて納得いくならいくらでも譲ります! 僕達の前に入る理由はなんなのですか!」
「ギャァァー! 俺の腕がぁー!」
少し間を置いてから気付いたのか、今頃になって折れた腕を大丈夫な腕で抱え叫びだしました。
冒険者ギルドでこんな事するの始めてですよ······? 今までありませんでしたね······!
「あっ! もしかしてこれはテンプレ!」
父さんは、女王さんを見たまま口だけを動かし、言葉を続けます。
「あの三人が失敗しても、また次の者が作戦に投入される予定だったのだ。だか今回ライが倒してしまったなら? そもそもファイアーアントの巣が全滅なら? 帝国がファイアーアントを使うため、何人巣へ送り込もうが、その作戦はやりようがなくなる」
「そうですよ坊っちゃんお手柄です」
ようやく女王さんから視線が外れ、二人とも僕達の方へ向き直りました。
「うむ。その事で王国は国境の砦へ兵を出すために動き出している。それを止めねばな。出兵はサーバル領を一年は賄えるほどの資金が必要だ。今ならまだその出費をかなり押さえられるからな。よし、カヤッツ私は王城へ登城するから屋敷は任せたぞ」
「はっ」
「あっ。そうだ父さん、ファイアーアントでうちの兵士達に鎧を作れないかな? たくさんあるからみんなの分を作れると思うんだ」
「ほう。それは名案だな、ライ。ありがたくその提案は受け取る。今の魔狼とオークの素材より何倍も強く、そして軽い鎧ができるな。カヤッツそれも頼む」
「はっ。では行ってらっしゃいませ旦那様、少しでもお早い方がよろしいかと」
「うむ。ではな」
父さんはそう言うと小走りに屋敷へ戻り中に入った途端『おーい王城まで連れていって欲しいんだけど』『えーまたぁ』とすぐに母さんに出会えたようです。
「カヤッツ。どれくらいあれば足りるかな? いっそのこと全部わたそうか? そしてこの国中の兵士さんに装備して貰えれば、強くなりますよね? あっ! そうです、お安くで良いから冒険者の方達に売ればサーバル男爵領の儲けにならないかな?」
「ほう。それは良いですな。普通に買うとして大銀貨で数枚はしますからね、その値から少し下げて、いっその事グッと押えて大銀貨一枚で売れば、······相当な儲けになりますよ坊っちゃん。しかし私の収納がまだそこまで入るかどうかですな」
「それなら小分けにして渡していこうか? サーバル領のみんなに配っても余るくらいあると思うし」
「そうですね、うちは領兵が旦那様の人気で多い方ですが、今は一万人ですからね、素材にその倍あれば十分には賄えますので、それからお預かりできますかね」
「うん。じゃあ渡していくね」
カヤッツは部下を連れてきて、分担しながら収納して、なんとか二万匹を収納し終え、『これで鎧ができるんだと』『マジか! カッコいいぞ』『皮鎧は汗くさいからなぁ。正直嬉しすぎるぜ』なんて呟きながら職務に戻っていきました。
喜んでくれているみたいで嬉しいですね。
カヤッツ達を見送ったその後はナインテールの子供達が飛びかかってきてわちゃわちゃにされ、髪の毛はぼわってなってますし、ヨダレでベトベトになりましたがムルムルが僕達を包み込んで一瞬の間に綺麗にしてくれました。そして転移で街道に戻ったのですが、そこにはテントを張った冒険者達が多数。
「何してるのでしょうか? お昼の休憩にしてはテントまで張ってますし、もしかしてナインテールを待ってるの?」
「そうかもね。もう戻っては来ないのですが、教えてあげようかな?」
「ライ、それは言うだけ無駄にゃ。その内諦めるにゃよ。放っておいてリント達は旅を続けるのにゃ」
「そうだね。じゃあ行こう♪」
そして、チラチラ見られましたが、僕達は街道を進む事数日。
二つの村と、一つの町を通り過ぎ、ついにダンジョン街へ到着しました。
「はい。次の方」
「はい。僕達の番が来たよ、プシュケ、リント行くよ」
ダンジョン街の冒険者ギルドで、ダンジョンに入るための登録と、ランクアップができるかどうか聞かないと行けません。
ランクアップは時間がかかるかもと聞いていますので、しばらくダンジョンで楽しまなければいけませんからそんなに急いではいませんし、まだまだ朝ですからこの後すぐにでもダンジョンに向かいたいのでこの朝の順番待ちが物凄く長く感じました。
「おはようございます。ダンジョン――」
「オラどきなガキども!」
「ん? 何か急ぎでしょうか? スタンピードでも起きそうとか?」
五人パーティーですね。その方達は何やら先を急いでいるのか僕達の番のところにそう言ってやって来ました。
「バカかお前は! スタンピードなんざ起きてねえよ! 俺達Cランクパーティーだ。駆け出しのガキは黙って順番を明け渡せば良いんだよ! オラどけ!」
そう言って僕と、プシュケを合わせて殴ろうとしたのか拳を横なぎに振り回してくるじゃないですか!
これは僕が避けるのは余裕ですが、プシュケは驚きの余りリントをきゅって抱き締めて固まっていますから、避けるだけじゃいけません!
迫り来る太い腕を下から蹴りあげて軌道をそらせます!
「シッ!」
ボキン。狙い通り僕達の頭の上を通り過ぎる拳、振り切った後腕は肘のところで垂れ下がりましたので、折れちゃったようです。
「いきなり何をするのですか! 当たったら危ないじゃないですか! あなた達は急ぎの用事があって僕達の前に入ろうとしているのですよね! それなら理由を聞いて納得いくならいくらでも譲ります! 僕達の前に入る理由はなんなのですか!」
「ギャァァー! 俺の腕がぁー!」
少し間を置いてから気付いたのか、今頃になって折れた腕を大丈夫な腕で抱え叫びだしました。
冒険者ギルドでこんな事するの始めてですよ······? 今までありませんでしたね······!
「あっ! もしかしてこれはテンプレ!」
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