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第三章

第82話 ランクアップに向けて ②

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「止まったかにゃ?」

「止まったみたいね~」

「うん。魔力も安定したみたいですし島もほぼそのまま。また釣りもできそうですが上は完全に屋根になりましたね」

「うんうん流石私が育てただけあるわね♪ あの子より立派に育って何よりだわ! それにライありがとうね、あの魔力がなければたぶん倒れ、そのまま成長してしまうところだったし」

 僕の手の中のムルムルの上で仁王立ちのテラが僕の服を掴みながらクイクイ引っ張りそんな事を言ってます。

「なあライ。この大きな木はなんなのだ? テラが育てたと聞こえたが」

 そうでした! 父さん達もこの場に来ていた事を忘れていました! それにカヤッツの部下の方と、メイドさんが走ってきました。

「カヤッツ隊長! 住民達が正門前に集まりだしています! どう対処すれば!」

「旦那様、お隣の領主様よりご連絡が。『サーバル男爵! とてつもない木が見えるのだが大丈夫か! 特大トレントか? 兵なら出すぞ!』との事ですがお返事はいかように?」

「ふむ。心配なしと。後でこちらから連絡を入れ詳しく説明すると返しておいてもらえるかな」

「はっ」

「カヤッツ。住民の皆さんはこの池に来てもらってくれ。マシュー、バーベキューの準備だ急げ」

「はっ、では早速。ライ坊っちゃん、オークをお願いできますか? 百匹ほどまずは解体してしまいましょう」

「うん。みんなお騒がせしてしまったのでごめんなさい。マシューそこに出しちゃうから収納できる?」

「わ、私も大変ご迷惑をかけてしまい本当にごめんなさい! 本当はライに教えてもらったゴブリン村があった場所にするはずだったの! それを私が忘れていたから! 本当に、本当にごめんなさい!」

 テラも頭を下げて謝りました。それを見たみんなは、苦笑いではありますが、コクリと頷いてくれました。

「テラ、ライと共に旅をしてくれてるのだ。ライもしっかりしているようで抜けたところも多々ある。お互いが助け合って行くことをお願いするよ」

はい!うん

 みんなは笑顔になってくれました。ですのでバーベキューの準備に取り掛からないとですね。

「マシューじゃあ、オークを出しちゃうね、大丈夫?」

「もちろんでございます。坊っちゃん言われた通り日々ぐるぐるしておりますから」

 オークを出し、マシューが収納。なんだか凄くあわただしくなってきました。

 テラはマシューの言葉を聞き『やっぱりこのお屋敷から古代魔法が復活し始めてるじゃない······』とか呟いていますが、この前は寝てましたから知らないままでしたね、あはは······。

 オークを取り出し、マシューに渡したのですが、足りないと駄目なので追加も百匹出して、護衛依頼の途中と伝えると、父さんに『それならば早く戻りなさい』と言われ、みんなとバーベキューは食べたかったのですが、仕方なく僕達は村に戻りました。

「お昼ごはんを食べ損ねちゃったね、魔物パンに、えっと燻製肉と、野菜を挟んで、完成です♪ はいプシュケのと、リントはパン無しで野菜無しの燻製肉だけで良いの?」

「ありがとう。うんうん美味しそうです♪ あ~ん。ふんうんほひひひぃへふほ♪美味しいですよ♪

「パンは食べれるけどにゃ。野菜は苦手にゃ、ケット・シーはほとんど野菜は食べにゃいからリントはまだ食べてる方にゃよ。あっ、もう村からの荷物を積み始めてるにゃ! 早く食べちゃうにゃ!」

「あっ、本当だ急がないとです!」

 自分の分も作り、急いで食べます。僕達が食べ終わる頃には荷積みも終わったようで、蓋が開いている木箱の中を覗くと野菜が満載に。

「あっ、ぐるぐるの皆さん帰りは一番後ろを走りますので、後方の見張りをよろしくお願いいたしますね、帰りには現金も手にしていますから、盗賊に狙われるとすればこの帰り道ですので」

「はい。では僕達は荷台の木箱の上に失礼しますね」

「はい。後少しで他の馬車も積み終わりますのでそれから出発しますね」

 僕達は荷台に上がり、木箱の上にツノガエルのシートを広げていると。

「ふむ。このツノガエルは相当な大きさだったのでは? 長く商売をしていますがここまでの大きな一枚皮は見たことありません」

「はい、この馬車より大きかったですよ。それが沢山いたので、お肉も美味しいですし、皮もまだありますから譲りましょうか?」

 このツノガエルは産卵のため森の湖に来ていたところをやっつけたのでたぶん百枚は持ってると思います。残りはお屋敷に隠してありますので追加もできますね。

「ふむ。この大きさなら一枚大銀貨でも売れますね、いえもう少し高くなるでしょう。一枚を大銀貨であるだけ譲ってもらえませんか?」

 おおー! 僕の分を少し残しておけば良いですし、売っちゃいましょう♪

「今は手元に百枚はありますからそれをお譲りしますね」

「へ? 百枚? その大きさの物が?」

 ん? 足りないのかな、じゃあお屋敷の分は五百枚はあったはずですし、半分も僕には必要ないと思いますから。

「後で三百枚追加もできますよ。自分の分を二百枚は残しておこうと思いますので」

「え? さらに三百? 残すのも二百あるのですか? あは、あは、あははははは! それは凄い! 加工場に流して色々作りそれを······、ふむふむ買い取りましょう! 合わせて四百枚! 大金貨四枚! 街に戻り次第お支払いたします!」

 商人さんはそれはもう満面の笑顔でそう言いました。

 走りだし、中間地点の水場で馬を休めるのですが、そこに反応がありますね。テラに称号を見てもらいましょうかね。

「ねえテラ、行きにも寄った水場に三十人ほどがいるんだけど、もしかして盗賊かもしれないから見てもらえない?」

「ん? 任せて、えっと、んん神眼~。半分正解ね」

「半分?」

 そう言ってテラの方を向いた時。ちゅ。

 ちょうど唇のところにテラの顔がありました。

「にゃぁぁー! にきゃいめ!二回目!

(お、落ち着きなさい私! 偶々たまたまよ! 偶然よ! あれ······私、さっきサーバル男爵のお屋敷で変な事言ったような······確かお義父さんお義母さんって······)

「ねえテラ? 半分ってどういう事?」

(だ、大丈夫よね! 聞かれてないわよね! そ、そうよ、ライが最近お嫁さんとか言うからその気になって、じゃなくて今は!)

 またムルムルの上でしゃがみこみ、ムニムニと引っ張っていますがいつもの事ですね。それより結果を聞きたいのですが。

「ねえテラ?」

「はっ! そうよ、今はそれどころじゃないは! 盗賊だけど、今回の盗賊の称号にはもう一つ!」

 テラがそこまで言った時、先頭の馬車が休憩予定の水場が見えるようになる最後の直線に入りました。
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