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第一章
第13話 大きなお風呂がありました
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二人部屋トイレお風呂付き、そうここの宿屋は全ての部屋にお風呂があるのです、その分お高めの一人銀貨一枚、普通の宿ならこの半分の大銅貨五枚で良いお部屋に泊まれます。
でも、お風呂入りたいですよね。
部屋はそこそこ大きなベッドが一つと、二人用のテーブルと椅子があり、トイレはスライム浄化で汚れも匂いもありません、ムルムルとはまた違う種類のクリアスライム、大きさがさらに小さく、大きくても五センチくらいにしか大きくなりませんし、本当に透明な水の玉です、数が多く繁殖も凄く良くて、僕の家にもいました。
お風呂は僕達なら五人は入れそうなくらい大きく、いつでも入れる様に浄化循環していて、ごはんの後に入ろうと思います。
「ティ、ごはんを食べに行きましょう」
「はい、おなかペコペコですわね」
二階の部屋でしたので、ムルムルとテラを肩に乗せ一階に降り、酒場兼の食堂の二人席に座るとすぐに料理が運ばれてきました。
泊まり客の食事は一種類なので、階段を降りてきた瞬間に、厨房でシチューを掬うのが見えました。
テーブルに並べられた物はホロホロっと崩れそうなお肉の入ったシチューとマッシュポテトとパン、見た目は中々のボリュームでしかも美味しそうです。
「いただきます」
マッシュポテトをスプーンで掬い、シチューにくぐらせて一口。
「おお~、美味しいですね」
「はい、大変美味しゅうございます、お肉もスプーンで簡単に切れてしまいますから、良く煮込まれていて料理を作った方に感謝ですわ」
「うんうん、それにパンも美味しいよね、どっしりとした味わいで、シチューにあってます」
ティの笑顔を見ながらの食事は大変楽しいひと時です、テラはテーブルに飾られていた花を見て、「少し元気がないわね、よいしょ」と引き抜き根っこもないのに頭に刺して、「むむむ~」と言ったかと思ったら、花が瑞々しく、今花壇から取ってきましたよってくらいに復活。
「うんうん、こんなところね」
スポッと頭から抜くと、根っこが復活していて、花瓶にそのまま戻していました······うん、放っておこう。
美味しい晩御飯が終わり、お皿はムルムルがピカピカに綺麗にして、「ごちそうさま」と二人声を合わせて、そして部屋に戻り、お風呂に入る事にします。
「ムルムルとテラも一緒に入るよね? ムルムルは良いけど、テラはその服は脱げるの?」
悪戦苦闘しながらも一生懸命服を脱ぐティと、脱いでしまった僕はムルムルを頭に乗せ、テーブルにいるテラに話しかけました。
「私はこのままよ、引っ込めるだけだからね、ほいっと!」
しゅるんっと緑色の服が消え、裸になった。
「あっ! テラ師匠ずるっ子です! それを教えて下さいませ!」
ティはまだドレスのボタンが半分まで外れ、袖を抜いているところでした。
「ん? これは無理ね、私の服は服に見えていて、私の一部だもの、人間には出来ないわよ」
そうなんだ、魔法で作った服なのかと思っていたけれど。
テーブルの上で胸を張り、どや顔のテラをティが羨ましそうに口をとがらせています。
「あはは、それなら仕方がないよね、ティ、手伝おうか?」
「はい、腕が上手く抜けないのです」
ティの服を全部脱がせ、テラをムルムルの上、ムルムルは頭から肩におりてくれました。
皆でお風呂に行くと、手桶でさっと洗い流し、湯船に入りました。
「そうだ、ティ、公爵領に向かえば良いのかな?」
行き先を聞くのを忘れていました。
ティは僕の横でお風呂の縁にもたれて、「はふぅ」と気持ち良さそうです。
「王都の学院に向かうところでしたが、一度お父様に元気な顔を見せに行きたいと思っていますわ」
「そっか、公爵令嬢が人攫いにあったのだからね、一緒に行動していた人達もきっと心配しているだろうし」
「はい、その人達に落ち度はなく、仕方がなかったと弁明してあげませんと、酷いことをされてしまうかも知れませんので」
そう言えば、子煩悩だと隊長さんが言ってましたね、あはは、公爵領なら僕が向かうつもりのフィーアが通う学校がある場所なので良いですね。
「じゃあ、僕がティを公爵領に連れていくね」
「はい♪ あっ、ムルムルさんは浮くのですね」
「本当だね、どうムルムル気持ちいいかい」
ぷるぷる
「たまにはお風呂も良いものね、ホカホカだわ」
「テラは泳ぎも上手いね、僕も泳いでみたいな」
「家のお風呂なら泳げるほど大きいですわよ、家まで送って下さるのですから、お父様にお願いしてみますわ」
「本当! やった!」
「あわわわわ! ライ! 波を立てないでよ! 溺れちゃうじゃない!」
テラを手のひらで救い上げ、ゆらゆら揺れているムルムルに乗せてあげました。
「あっごめんね、僕、前世では体が全然動かせなくて、自分では何も出来なかったんだ、だから泳げるかもって思ったら興奮しちゃって」
「前に言ってたわね、右手と首から上だけ動かせたけどだったっけ?」
「そうそう、正確には右手の指と首から上だけだね」
だから、体を動かすことを赤ちゃんから練習する事も全然苦にならなかったしね。
「まあ、そうでしたのね、確か前世? の記憶がどうとか馬車で仰ってましたわね、お可哀想、分かりましたわ、これはなんとしてでもお風呂で泳ぎをやりましょう! テラ師匠お願いいたします」
「テラ、僕からもお願い、泳いでみたいんだ」
「分かったわ、任せなさい、さあ、そろそろ体を洗って出ないとのぼせるわよライもティも顔が赤くなってきてるからね」
「「はい!」」
洗い方も知らないティを洗ってあげて、洗いにくい背中をティが洗ってくれました。
パジャマに着替え、お布団に入ると僕達は光を調節する前に寝てしまいました。
「うふふ、仕方がないわね、ムルムル、私達も寝るわよ」
ぷるぷる
「ふあぁぁ」
あはは、またティったら布団を蹴飛ばしてしまってますね、腹巻きをしているし、この部屋は暖かいですから風邪は大丈夫だと思いますが。
お布団をかけ直して、横に寝直すと、今度は抱き枕にされました。
まぁ、寝ましょう。
カチャ
真っ暗な部屋の中に二人の黒づくめが入ってきました、ドアの外にも四名。
(テラ、起こしてくれてありがとうね)
(そんな事よりさっさとやっつけるのよ)
(は~い、外の人達も一気にやるよ! ほいっと!)
あのギルドマスターほどの魔力を持っていたようで、一瞬では無理でしたが、偽装したベッドにたどり着く前に、部屋の中の二名も外の四名も気絶して倒れました。
(テラ、表にもいるよ! とりあえずこいつらの持ち物は、収納!)
(縛るのよ! 外の四人も持ち物取り上げて、ヤバい毒薬とか持っているから!)
(了解です! 収納!)
ロープを取り出し、裸にした奴らの手足を縛り、それを六人、五分ほどで作業が終わり、外の奴らを確認します。
「もう宿の中にはいないようですね」
「うん、私の神眼で外の六名がいるだけね」
「分かった、場所は······よし把握できた」
「中々の感知スキルじゃない、さあ、やっつけてきなさい、一つ向こうの通りに衛兵がいるからついでに呼んでくる事も忘れないでね」
「うん、了解、行ってきます」
戸から出て、階段とは逆方向に行くと突き当たりに開けられた窓があり、たぶんそこから侵入したのであろう鉤爪が窓枠に突き刺さって、下に続くロープが垂れ下がっていました。
僕は窓枠に飛び乗ると、一気に隣の屋根に飛び上がると同時に、それを収納して、下にいた奴らの魔力をぐるぐるさせ気絶させる。
屋根から飛び降りると同時に、空に花火、ファイアーボールを打ち上げ、音を立て弾けさせる。
パァーン
着地前に奴らの持ち物を全て収納して、ロープで縛り上げ、宿屋の壁際に集め終えた時に衛兵さん達が駆けつけてきました。
「何事だ! ん? ライ君?」
「あっ、隊長さんが来てくれたのですね、お騒がせしてます、こんな夜中に襲われまして、こいつらと、部屋に押し入ってきた六名も捕まえて縛ってあります」
「ふむ、鑑定! ふむふむ、冒険者の様だが、誰かに雇われたか?」
ん? ん~おっ!
「依頼書を持ってましたね、これですね」
取り上げた物の中に依頼書が入っていましたから、隊長さんにお渡しします。
「おお、それは助かる、どれ······なんだと!」
何やら驚く人が依頼をしたみたいです。
でも、お風呂入りたいですよね。
部屋はそこそこ大きなベッドが一つと、二人用のテーブルと椅子があり、トイレはスライム浄化で汚れも匂いもありません、ムルムルとはまた違う種類のクリアスライム、大きさがさらに小さく、大きくても五センチくらいにしか大きくなりませんし、本当に透明な水の玉です、数が多く繁殖も凄く良くて、僕の家にもいました。
お風呂は僕達なら五人は入れそうなくらい大きく、いつでも入れる様に浄化循環していて、ごはんの後に入ろうと思います。
「ティ、ごはんを食べに行きましょう」
「はい、おなかペコペコですわね」
二階の部屋でしたので、ムルムルとテラを肩に乗せ一階に降り、酒場兼の食堂の二人席に座るとすぐに料理が運ばれてきました。
泊まり客の食事は一種類なので、階段を降りてきた瞬間に、厨房でシチューを掬うのが見えました。
テーブルに並べられた物はホロホロっと崩れそうなお肉の入ったシチューとマッシュポテトとパン、見た目は中々のボリュームでしかも美味しそうです。
「いただきます」
マッシュポテトをスプーンで掬い、シチューにくぐらせて一口。
「おお~、美味しいですね」
「はい、大変美味しゅうございます、お肉もスプーンで簡単に切れてしまいますから、良く煮込まれていて料理を作った方に感謝ですわ」
「うんうん、それにパンも美味しいよね、どっしりとした味わいで、シチューにあってます」
ティの笑顔を見ながらの食事は大変楽しいひと時です、テラはテーブルに飾られていた花を見て、「少し元気がないわね、よいしょ」と引き抜き根っこもないのに頭に刺して、「むむむ~」と言ったかと思ったら、花が瑞々しく、今花壇から取ってきましたよってくらいに復活。
「うんうん、こんなところね」
スポッと頭から抜くと、根っこが復活していて、花瓶にそのまま戻していました······うん、放っておこう。
美味しい晩御飯が終わり、お皿はムルムルがピカピカに綺麗にして、「ごちそうさま」と二人声を合わせて、そして部屋に戻り、お風呂に入る事にします。
「ムルムルとテラも一緒に入るよね? ムルムルは良いけど、テラはその服は脱げるの?」
悪戦苦闘しながらも一生懸命服を脱ぐティと、脱いでしまった僕はムルムルを頭に乗せ、テーブルにいるテラに話しかけました。
「私はこのままよ、引っ込めるだけだからね、ほいっと!」
しゅるんっと緑色の服が消え、裸になった。
「あっ! テラ師匠ずるっ子です! それを教えて下さいませ!」
ティはまだドレスのボタンが半分まで外れ、袖を抜いているところでした。
「ん? これは無理ね、私の服は服に見えていて、私の一部だもの、人間には出来ないわよ」
そうなんだ、魔法で作った服なのかと思っていたけれど。
テーブルの上で胸を張り、どや顔のテラをティが羨ましそうに口をとがらせています。
「あはは、それなら仕方がないよね、ティ、手伝おうか?」
「はい、腕が上手く抜けないのです」
ティの服を全部脱がせ、テラをムルムルの上、ムルムルは頭から肩におりてくれました。
皆でお風呂に行くと、手桶でさっと洗い流し、湯船に入りました。
「そうだ、ティ、公爵領に向かえば良いのかな?」
行き先を聞くのを忘れていました。
ティは僕の横でお風呂の縁にもたれて、「はふぅ」と気持ち良さそうです。
「王都の学院に向かうところでしたが、一度お父様に元気な顔を見せに行きたいと思っていますわ」
「そっか、公爵令嬢が人攫いにあったのだからね、一緒に行動していた人達もきっと心配しているだろうし」
「はい、その人達に落ち度はなく、仕方がなかったと弁明してあげませんと、酷いことをされてしまうかも知れませんので」
そう言えば、子煩悩だと隊長さんが言ってましたね、あはは、公爵領なら僕が向かうつもりのフィーアが通う学校がある場所なので良いですね。
「じゃあ、僕がティを公爵領に連れていくね」
「はい♪ あっ、ムルムルさんは浮くのですね」
「本当だね、どうムルムル気持ちいいかい」
ぷるぷる
「たまにはお風呂も良いものね、ホカホカだわ」
「テラは泳ぎも上手いね、僕も泳いでみたいな」
「家のお風呂なら泳げるほど大きいですわよ、家まで送って下さるのですから、お父様にお願いしてみますわ」
「本当! やった!」
「あわわわわ! ライ! 波を立てないでよ! 溺れちゃうじゃない!」
テラを手のひらで救い上げ、ゆらゆら揺れているムルムルに乗せてあげました。
「あっごめんね、僕、前世では体が全然動かせなくて、自分では何も出来なかったんだ、だから泳げるかもって思ったら興奮しちゃって」
「前に言ってたわね、右手と首から上だけ動かせたけどだったっけ?」
「そうそう、正確には右手の指と首から上だけだね」
だから、体を動かすことを赤ちゃんから練習する事も全然苦にならなかったしね。
「まあ、そうでしたのね、確か前世? の記憶がどうとか馬車で仰ってましたわね、お可哀想、分かりましたわ、これはなんとしてでもお風呂で泳ぎをやりましょう! テラ師匠お願いいたします」
「テラ、僕からもお願い、泳いでみたいんだ」
「分かったわ、任せなさい、さあ、そろそろ体を洗って出ないとのぼせるわよライもティも顔が赤くなってきてるからね」
「「はい!」」
洗い方も知らないティを洗ってあげて、洗いにくい背中をティが洗ってくれました。
パジャマに着替え、お布団に入ると僕達は光を調節する前に寝てしまいました。
「うふふ、仕方がないわね、ムルムル、私達も寝るわよ」
ぷるぷる
「ふあぁぁ」
あはは、またティったら布団を蹴飛ばしてしまってますね、腹巻きをしているし、この部屋は暖かいですから風邪は大丈夫だと思いますが。
お布団をかけ直して、横に寝直すと、今度は抱き枕にされました。
まぁ、寝ましょう。
カチャ
真っ暗な部屋の中に二人の黒づくめが入ってきました、ドアの外にも四名。
(テラ、起こしてくれてありがとうね)
(そんな事よりさっさとやっつけるのよ)
(は~い、外の人達も一気にやるよ! ほいっと!)
あのギルドマスターほどの魔力を持っていたようで、一瞬では無理でしたが、偽装したベッドにたどり着く前に、部屋の中の二名も外の四名も気絶して倒れました。
(テラ、表にもいるよ! とりあえずこいつらの持ち物は、収納!)
(縛るのよ! 外の四人も持ち物取り上げて、ヤバい毒薬とか持っているから!)
(了解です! 収納!)
ロープを取り出し、裸にした奴らの手足を縛り、それを六人、五分ほどで作業が終わり、外の奴らを確認します。
「もう宿の中にはいないようですね」
「うん、私の神眼で外の六名がいるだけね」
「分かった、場所は······よし把握できた」
「中々の感知スキルじゃない、さあ、やっつけてきなさい、一つ向こうの通りに衛兵がいるからついでに呼んでくる事も忘れないでね」
「うん、了解、行ってきます」
戸から出て、階段とは逆方向に行くと突き当たりに開けられた窓があり、たぶんそこから侵入したのであろう鉤爪が窓枠に突き刺さって、下に続くロープが垂れ下がっていました。
僕は窓枠に飛び乗ると、一気に隣の屋根に飛び上がると同時に、それを収納して、下にいた奴らの魔力をぐるぐるさせ気絶させる。
屋根から飛び降りると同時に、空に花火、ファイアーボールを打ち上げ、音を立て弾けさせる。
パァーン
着地前に奴らの持ち物を全て収納して、ロープで縛り上げ、宿屋の壁際に集め終えた時に衛兵さん達が駆けつけてきました。
「何事だ! ん? ライ君?」
「あっ、隊長さんが来てくれたのですね、お騒がせしてます、こんな夜中に襲われまして、こいつらと、部屋に押し入ってきた六名も捕まえて縛ってあります」
「ふむ、鑑定! ふむふむ、冒険者の様だが、誰かに雇われたか?」
ん? ん~おっ!
「依頼書を持ってましたね、これですね」
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