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第1章
第21話 テンプレ待ってました! ①
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夕方の混雑した冒険者ギルド。
イルは何もかもが目新しいのか、キョロキョロとあたりを見て嬉しそうに受け付けの列に並んでいる。
だが俺と茜ちゃんは、また別の事に気を取られている。
『友里くんも異世界ファンタジー小説を読んでいたのですね、では今のこの状態はかの有名なテンプレが起こる可能性が高いとワクワクしている私の思いが分かるはず!』
『もちろんだ茜ちゃん。何を隠そうゲームや漫画に続き、高い関心を俺は異世界ファンタジー小説に向け、少ないお小遣いをやりくりしながら購入を続けていた俺にもこの状態は非常に好ましいシチュエーションだよ!』
『『ぬふふふふふふふふ』』
「おい! ガキども! お前らだ! 無視すんじゃねえ!」
『『来たぁぁぁぁぁぁ!』』
子供だけ。それも女の子だけに見えるパーティー。
冒険者ギルドなら場所をゆずれパターンか、ナンパ目的か、それともまだ見ぬパターンで絡んで来るのかと待っていた。
それはもう今か今かと、心待ちにして念話をしていた俺達。
そこへテンプレのごとく乱暴な言葉で話しかけられた。
そんな声にも動じずあたりを楽しそうに見ているイルは放っておいて、待ってましたと振り向いたイルの頭の上の俺と茜ちゃん。
そこには小太りのおっちゃんがいた。
顔を真っ赤にして茜ちゃんの事を見下ろすように睨んでいるし、手にはお酒が入っているであろうカップだ。
「あ、あの、私達の事でしょうか?」
『ぷはっ、茜ちゃん、声がうわずってるし、口の端が上がってるよ、くはっ』
『だ、だって、あまりにも完璧なテンプレおじさんなんだもん……くふっ』
念話をしながらも、殴られるのは嫌なので練っていた作戦通り、物理防御のスキルをイルと茜ちゃんに、今かかっている物の上に重ねてかけた。
この物理防御のスキルは、体を完全に覆い、もう一枚全身タイツを着た感じになるんだけど、木の棒でおもいっきり叩いても、衝撃さえ来ない優れものでゴブリンに会ってから、常にかけるようにしたスキルだ。
それだと言うのに……。
「おう! ガキども、てめえらが並んでるのは依頼を受ける列だ! チラっと見てたんだがてめえらの依頼書は完了してるじゃねえか!」
……あれ? なんだか雲行きが……。
「完了報告はな、この時間はこっから向こうの列に並べ! 分かったかガキども!」
そう言いながら、俺達が並ぶ列の二つ隣の列を指差した……。
「ん? これここ駄目ですの?」
俺と茜ちゃんが小太りのおっちゃんの言葉に唖然としていると、イルがキョロキョロを止め、振り返って、依頼書をおっちゃんに見せるように頭の上でかかげながら、こてっと首を傾げた。
イルは何もかもが目新しいのか、キョロキョロとあたりを見て嬉しそうに受け付けの列に並んでいる。
だが俺と茜ちゃんは、また別の事に気を取られている。
『友里くんも異世界ファンタジー小説を読んでいたのですね、では今のこの状態はかの有名なテンプレが起こる可能性が高いとワクワクしている私の思いが分かるはず!』
『もちろんだ茜ちゃん。何を隠そうゲームや漫画に続き、高い関心を俺は異世界ファンタジー小説に向け、少ないお小遣いをやりくりしながら購入を続けていた俺にもこの状態は非常に好ましいシチュエーションだよ!』
『『ぬふふふふふふふふ』』
「おい! ガキども! お前らだ! 無視すんじゃねえ!」
『『来たぁぁぁぁぁぁ!』』
子供だけ。それも女の子だけに見えるパーティー。
冒険者ギルドなら場所をゆずれパターンか、ナンパ目的か、それともまだ見ぬパターンで絡んで来るのかと待っていた。
それはもう今か今かと、心待ちにして念話をしていた俺達。
そこへテンプレのごとく乱暴な言葉で話しかけられた。
そんな声にも動じずあたりを楽しそうに見ているイルは放っておいて、待ってましたと振り向いたイルの頭の上の俺と茜ちゃん。
そこには小太りのおっちゃんがいた。
顔を真っ赤にして茜ちゃんの事を見下ろすように睨んでいるし、手にはお酒が入っているであろうカップだ。
「あ、あの、私達の事でしょうか?」
『ぷはっ、茜ちゃん、声がうわずってるし、口の端が上がってるよ、くはっ』
『だ、だって、あまりにも完璧なテンプレおじさんなんだもん……くふっ』
念話をしながらも、殴られるのは嫌なので練っていた作戦通り、物理防御のスキルをイルと茜ちゃんに、今かかっている物の上に重ねてかけた。
この物理防御のスキルは、体を完全に覆い、もう一枚全身タイツを着た感じになるんだけど、木の棒でおもいっきり叩いても、衝撃さえ来ない優れものでゴブリンに会ってから、常にかけるようにしたスキルだ。
それだと言うのに……。
「おう! ガキども、てめえらが並んでるのは依頼を受ける列だ! チラっと見てたんだがてめえらの依頼書は完了してるじゃねえか!」
……あれ? なんだか雲行きが……。
「完了報告はな、この時間はこっから向こうの列に並べ! 分かったかガキども!」
そう言いながら、俺達が並ぶ列の二つ隣の列を指差した……。
「ん? これここ駄目ですの?」
俺と茜ちゃんが小太りのおっちゃんの言葉に唖然としていると、イルがキョロキョロを止め、振り返って、依頼書をおっちゃんに見せるように頭の上でかかげながら、こてっと首を傾げた。
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