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第一章
第93話 俺の住んでいた場所は
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『ヒュギエイア様、セレーナ様、リーン様をお連れしました』
扉の向こうからの声で三人がやって来たのが分かったが、報告が終われば行くつもりだったのに、待ちきれなかったのか?
「ん? ああ、アイテールがこちらに来てるから会いに来たのか。ふむ、結果は聞いたから、まあ良いか、入りなさい」
王様も公爵様もあきれ顔だが、今まで真剣な顔で話をしていたのに笑顔が出て、入室を許可した。
「お帰りなさいアイテール! 怪我とかないわよね!」
「もうエイア、いくら王女でももうちょい礼儀をわきまえんとあかんで、今は今回の報告しとるんやさかい」
「お帰りにゃ。元気そうで良かったにゃ」
三人は、扉を開けてくれたメイドに軽く会釈をした後口々にそう言いながらなだれ込んできた。
「あはは······ただいま。俺達は全然怪我もしてないぞ。それより、王様と公爵様に挨拶してからだろ? ほら、寂しそうな顔になってるぞ」
エイア達は『あっ!』とか言いながら、慌ててカーテシーをするエイアとセレーナ。それを真似してリーンもぎこちないカーテシーをした。
「はぁ、まったく。ほら、立ってないで座りなさい、話はまだ続くのだからな」
「兄さん。報告はサイラスとヤード、それにドワーフの二人がおれば良くないか? 少し手間はかかるがアイテールには後で話を追加してもらうとしよう」
「俺から話す事はほとんど無いんだが、何せ俺は結界を張る事と、魔道具を待ち運んだだけだからな。ああ、馬達にも身体強化をしたくらいか」
「ふむ。サイラス、それで大丈夫か?」
「はい。アイテール様は簡単に言いましたが、身体強化にしろ、収納もですが宮廷魔道師団の誰にもできない事をやっておりました。それにマルガリータ殿も私達と馬にかけていただいた回復魔法も、素晴らしい物で、教会の司教でもまずできないでしょうね、私達五人と馬十頭にかけ続けたのですから」
サイラス、持ち上げすぎだ。聞いていて恥ずかしくなるじゃないか。
「ん? 回復ならアイテールもたまにやっていたから俺だけじゃないぞ? それに回復魔法も俺と変わらないくらい強力だな」
まあそうだが、どう考えてもマルガリータの方が上だぞ。ってかなぜ俺を褒めながらお前は自慢気なんだよ。
「そうですね~。今回の依頼で~あまり役に立たなかったのは~私だけじゃないかなぁ~、ほとんど戦うことも~ありませんでしてし~」
「いえいえ、ミラーノ殿もアイテール様と一緒に街道出てきた魔物達を、襲歩で走っている馬から飛び下り倒していたじゃないですか! あんな事ができる者はこの国にはいませんから!」
あれは追い付くためにはああするしかなかったんだよな。ミラーノも俺も、マルガリータの回復があるからできただけだし。
「ふむ。まあ良いか、アイテール、マルガリータにミラーノも席を外して良いぞ。補足はほぼ無しで聞けそうだからな。ドワーフ達の今後の事はあまり関係は無いだろうし、娘達を頼む」
「はい、では失礼しますね。サイラス達もお疲れ様、何だかんだで楽しかったぞ、またな」
そう言って応接室を出て、左右にエイアとセレーナが引っ付き、歩きにくいがさらに後ろから三人がぴったりとついて来て、服の裾を摘まんでいるように引っ張られている。
俺が泊まっていた客室に到着し、扉を開けてくれたメイドが俺達の姿を見て微笑ましく見ていたのは置いておこう。
部屋に入り、ソファーに座るとお茶を用意してメイドが出ていった後、エイアから始まりリーン、セレーナ、マルガリータ、ミラーノが示し合わせたかのようにキスをしてきた。
「はぁ、みんな。みんなは俺の奥さんになるって事で良いのか? ここにはいないがアンジェラとリュールもだろう? そうなら一度爺ちゃんと師匠に会ってもらいたいな」
「会いに行きますの? それとも来てもらいますの?」
「私とエイアは何かと公務や、貴族達との付き合いがあるし、リーンは貴族の妻として色々習わなあかんし、あっ、マルガリータとミラーノもやで」
「なら、俺が行って連れてくるか。ちょっとばかり遠いし、険しいからな」
「そうなのかにゃ。どこにいるにゃ?」
「王都の近くにある高い岩山知ってるだろ? あれの麓に住んでるんだ」
俺がそう言うとマルガリータとミラーノ以外の三人が『え?』って顔になった。
「ねえ。それって『魔境』よね? あそこって、岩山にはドラゴンがいて、麓の森にはAランクの冒険者でもキツい魔物がうろうろしてる所やんね? 確か大賢者と剣聖が隠居してるって聞いたことあるんやけど」
「今は爺ちゃんと師匠が住んでるだけかな、近くにいたんだが俺は会ったことはないけど、俺が旅立つ前に四人家族ももうすぐ森から出るって爺ちゃんが言ってたからな。でもちゃんと七人は住んでたぞ」
「なんだ、アイテールは大賢者と剣聖の孫だったのか、俺もミラーノも大聖女と勇者の孫だぞ。爺ちゃんと婆ちゃん達は昔パーティー組んでたらしいぜ。それに父ちゃん達は、パーティー組んで旅して『最強の門』って言うダンジョンに入って帰ってこないんだろ?」
それを聞いてさらに驚きの顔に変わったエイア達······俺もちょっと驚いてるが、身体強化や、回復魔法のやり方が似ていたからそう聞かされると納得してしまうな。
化物みたいな強さの爺ちゃんと師匠の仲間だしな。
「ああ、両親については俺もそう聞いた。あまり心配はしてないが、俺も将来そのダンジョン『最強の門』に挑戦はしたいとは思っている」
俺がそう言うとみんなは――。
扉の向こうからの声で三人がやって来たのが分かったが、報告が終われば行くつもりだったのに、待ちきれなかったのか?
「ん? ああ、アイテールがこちらに来てるから会いに来たのか。ふむ、結果は聞いたから、まあ良いか、入りなさい」
王様も公爵様もあきれ顔だが、今まで真剣な顔で話をしていたのに笑顔が出て、入室を許可した。
「お帰りなさいアイテール! 怪我とかないわよね!」
「もうエイア、いくら王女でももうちょい礼儀をわきまえんとあかんで、今は今回の報告しとるんやさかい」
「お帰りにゃ。元気そうで良かったにゃ」
三人は、扉を開けてくれたメイドに軽く会釈をした後口々にそう言いながらなだれ込んできた。
「あはは······ただいま。俺達は全然怪我もしてないぞ。それより、王様と公爵様に挨拶してからだろ? ほら、寂しそうな顔になってるぞ」
エイア達は『あっ!』とか言いながら、慌ててカーテシーをするエイアとセレーナ。それを真似してリーンもぎこちないカーテシーをした。
「はぁ、まったく。ほら、立ってないで座りなさい、話はまだ続くのだからな」
「兄さん。報告はサイラスとヤード、それにドワーフの二人がおれば良くないか? 少し手間はかかるがアイテールには後で話を追加してもらうとしよう」
「俺から話す事はほとんど無いんだが、何せ俺は結界を張る事と、魔道具を待ち運んだだけだからな。ああ、馬達にも身体強化をしたくらいか」
「ふむ。サイラス、それで大丈夫か?」
「はい。アイテール様は簡単に言いましたが、身体強化にしろ、収納もですが宮廷魔道師団の誰にもできない事をやっておりました。それにマルガリータ殿も私達と馬にかけていただいた回復魔法も、素晴らしい物で、教会の司教でもまずできないでしょうね、私達五人と馬十頭にかけ続けたのですから」
サイラス、持ち上げすぎだ。聞いていて恥ずかしくなるじゃないか。
「ん? 回復ならアイテールもたまにやっていたから俺だけじゃないぞ? それに回復魔法も俺と変わらないくらい強力だな」
まあそうだが、どう考えてもマルガリータの方が上だぞ。ってかなぜ俺を褒めながらお前は自慢気なんだよ。
「そうですね~。今回の依頼で~あまり役に立たなかったのは~私だけじゃないかなぁ~、ほとんど戦うことも~ありませんでしてし~」
「いえいえ、ミラーノ殿もアイテール様と一緒に街道出てきた魔物達を、襲歩で走っている馬から飛び下り倒していたじゃないですか! あんな事ができる者はこの国にはいませんから!」
あれは追い付くためにはああするしかなかったんだよな。ミラーノも俺も、マルガリータの回復があるからできただけだし。
「ふむ。まあ良いか、アイテール、マルガリータにミラーノも席を外して良いぞ。補足はほぼ無しで聞けそうだからな。ドワーフ達の今後の事はあまり関係は無いだろうし、娘達を頼む」
「はい、では失礼しますね。サイラス達もお疲れ様、何だかんだで楽しかったぞ、またな」
そう言って応接室を出て、左右にエイアとセレーナが引っ付き、歩きにくいがさらに後ろから三人がぴったりとついて来て、服の裾を摘まんでいるように引っ張られている。
俺が泊まっていた客室に到着し、扉を開けてくれたメイドが俺達の姿を見て微笑ましく見ていたのは置いておこう。
部屋に入り、ソファーに座るとお茶を用意してメイドが出ていった後、エイアから始まりリーン、セレーナ、マルガリータ、ミラーノが示し合わせたかのようにキスをしてきた。
「はぁ、みんな。みんなは俺の奥さんになるって事で良いのか? ここにはいないがアンジェラとリュールもだろう? そうなら一度爺ちゃんと師匠に会ってもらいたいな」
「会いに行きますの? それとも来てもらいますの?」
「私とエイアは何かと公務や、貴族達との付き合いがあるし、リーンは貴族の妻として色々習わなあかんし、あっ、マルガリータとミラーノもやで」
「なら、俺が行って連れてくるか。ちょっとばかり遠いし、険しいからな」
「そうなのかにゃ。どこにいるにゃ?」
「王都の近くにある高い岩山知ってるだろ? あれの麓に住んでるんだ」
俺がそう言うとマルガリータとミラーノ以外の三人が『え?』って顔になった。
「ねえ。それって『魔境』よね? あそこって、岩山にはドラゴンがいて、麓の森にはAランクの冒険者でもキツい魔物がうろうろしてる所やんね? 確か大賢者と剣聖が隠居してるって聞いたことあるんやけど」
「今は爺ちゃんと師匠が住んでるだけかな、近くにいたんだが俺は会ったことはないけど、俺が旅立つ前に四人家族ももうすぐ森から出るって爺ちゃんが言ってたからな。でもちゃんと七人は住んでたぞ」
「なんだ、アイテールは大賢者と剣聖の孫だったのか、俺もミラーノも大聖女と勇者の孫だぞ。爺ちゃんと婆ちゃん達は昔パーティー組んでたらしいぜ。それに父ちゃん達は、パーティー組んで旅して『最強の門』って言うダンジョンに入って帰ってこないんだろ?」
それを聞いてさらに驚きの顔に変わったエイア達······俺もちょっと驚いてるが、身体強化や、回復魔法のやり方が似ていたからそう聞かされると納得してしまうな。
化物みたいな強さの爺ちゃんと師匠の仲間だしな。
「ああ、両親については俺もそう聞いた。あまり心配はしてないが、俺も将来そのダンジョン『最強の門』に挑戦はしたいとは思っている」
俺がそう言うとみんなは――。
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