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第一章

第76話 夕食会

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「叔父様。この方達の事ですが、自分も鍛えながら新しく学びに来た勇者候補の講師にするのは本気ですか? ミラーノの話によれば、身体強化がなければ勇者装備を扱えないのですよね?」

 セレーナ、それはそうだが本人達の前で言うのは少し酷だぞ。ほら見ろ、項垂れてしまってるじゃないか。

「うむ。その通りだ。だから座学を受け持ってもらいながら、実技は勇者候補と同じように別の講師に師事してもらう予定だ」

 ああ、それなら適任だな。まあ、ガイナス達にはどちらも無理な気はするが。

「この三人は、数少ない年を超えた生き残りの者達だからな、体を作ればすぐに座学、実技の講師になれるだろう。そして後続の講師を育てた後、勇者パーティーとして復帰するか、そのまま講師を続けるかを選んでもらおうと思う」

 確かに勇者パーティーは激務のため、途中で辞退する者と、文字通りやられてしまう者が後を絶たない。だがなるほどな。アイツらも犯罪を犯していなければ······いや。あの性格は治る気配も無かったから無理か。

「そこでだアイテール。お前の元パーティーメンバーの四人も犯罪奴隷のままだが、そこに加えてやろうかと思っているのだがどうだ?」

「え? ガイナス達を? 確かに三年間は勇者パーティーの経験を持っています。ですが教えるとなれば無理だと思いますよ。講師ではなく候補としてなら多少は価値があるのかも知れませんが」

「くくっ、分かっている。もちろん候補生としてだ。やつらも身体強化すれば動きはそれなりにできるのだろ? アイテールが指示した事だけで動くような奴らではないのだからな。お前達、私の提案は受けてくれるかな?」

 三人は顔を上げた後、力強く頷いた。そしてまだ俺の事をテーブル越しに見つめたままのマルガリータと、その横のミラーノを見ながら······。

「マルガリータとミラーノの二人はどうするのですか? 王様、この二人は講師としてその勇者学院に勤めるのですか?」

 それは気になるな。どちらも講師としての実力はありそうだが。

「その事だが、アイテール。お前達のパーティーにと思っているのだが、少し大所帯か」

「そうですね、人数的に五人または六人が良いと思います。エイアとセレーナが抜けれない時、そうか、リーンも公爵様の養子になるのだから公的な付き合いで一緒に冒険できない場合があるよな。そうするとリュールとアンジェラも無理だから、ソロで活動するしかないのか、それでも良いが、二人が良いならその時はお願いしたいかな」

「私達は~ダンジョンに行けるなら喜んで~。それに~お姉ちゃんは~アイテールさんにメロメロですから~、今までですと~数日で元に戻りますから~、その後にお姉ちゃんの意見を聞きたいですね~」

「はは······その状態が数日か、まあ急がないから良い返事がもらえるよう祈っておくさ」

「はぁ、本当なら勇者パーティーとして動いてもらいたいのだが、仕方がないな。よし、食事を用意してくれるか?」

「はい。まずは前菜の――」

 次々と運ばれてくる料理······一度に出ないんだな、それに一つひとつが少ないから、物足りない······美味いが。

 っ! お、おいセレーナ、机で見えないと言っても今はヤバいって――っ!

 セレーナは注ぎ足されたワインを飲みながら俺のズボン上からチンポを刺激し、さらにはベルトを外して手を滑り込ませて来た。

 見ると、セレーナはワインで頬を染めてるのか、興奮して染めているのか分からないが、勃起し始めたちんぽをくにくにと揉み、ムクムクと大きくなってきたところで次の料理、今度はステーキが前に置かれた。

 メイドはビクッとなり、目は俺の股間を見ていたが、何事もなかったようにみんなのステーキを置いていった。

 流石にセレーナも気付いたのか、そっと俺のズボンから手を抜き、ガチガチになったちんぽをズボンの上からサスサスしてから食事に戻った······おい、これってどうすれば······我慢するしかないか。

 そして食事は続き最後にお茶をいただいて解散となり、今日は王城の客室を借りれる事になった。俺達の後にマルガリータとミラーノが付いてきて、その後ろに三人も付いてくる。

「では、こちらが勇者パーティーの男性三人のお部屋です。中にメイドがいますので、何かあればその者にお聞き下さい」

「ありがとうございます」

 そして次の部屋はマルガリータとミラーノの部屋で、その次が先日俺が泊まった部屋だ。

 またセレーナとリーンはエイアの部屋に泊まるそうだが、また来てくれるだろうな。

「あっ、俺はこの前ここに泊まったから説明は大丈夫だ。そうだな、何か飲み物をもらえるかな?」

「はい。ワインをお持ちしますね」

「ああ。すまないな」

 メイドはそう言うと軽く会釈をして部屋を出ていった。俺は装備を外してソファーに座り、傷みがないかダガー胸当てを丁寧に見ていく。

「胸当ては良いが、ダガーはやはりガタがきてるな、明日は武器屋を覗きに行くか」

 ダガーのガタつきの原因である隙間にクサビ型の留め具を差し込んで打ち込み手直しをして、ガタつきがないか軽く振る。

「これはやらかしたな。刀身が曲がってるぞ、こんなの修行途中にしかやらかしてなかったが、買い直し決定だな。魔鉄製の良い物でもあれば良いが――」

 その時コンコンと戸が叩かれたので、ワインが届いたかと思い。

「どうぞ。入って下さい」

 一言そう言って、俺は刀身曲がりを少しでもマシになるように手直しを始めた。

「一人部屋なのですね~。おじゃましますぅ~」

 ん? だいぶ曲がりはマシになったかな、ってあれ? 聞こえてきたのはメイドの声じゃなかった気もするが······。
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