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エウダイモニア
84話 パイロンの原点
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「レオです。よろしくお願いします」
ネイビーブルー髪に黒い瞳をした少年が言う。
「ライです。よろしく」
すみれ色の髪に黒い瞳をした少年が言う。
「フィール、よろしく」
紅梅色の髪に赤い瞳をした少年が言う。
「アイシャです。よろしくね」
翡翠色の髪に若草色の瞳をした少女が言う。
「レオ、ライは僕達の子供で、2人は僕が連れてきた子達だ」
「ねぇ、父さんこの子喋れないの?」
ライが怪訝な顔で言う。
「少し緊張しているだけさ。この子はラズリだ。みんな仲良くね」
子供達が返事をする。
子供達はこの後学校があるためその場を後にする。
「ラズリ、緊張した?」
レアがラズリの横顔を覗きながら言う。
「いえ・・・」
緊張とはどんなものなのだろう。
翌日、子供達が病室に遊びに来る。ホルス、パーチミは仕事のためいない。レアは怪我人の面倒を見るため席を一旦外している。
「ラズリ、こんにちは。遊びにきました」
ラズリがいるベットを囲む様にして座る。
「ねぇ、ラズリちゃん、目綺麗だね」
アイシャは同年代の女の子と話せるのが嬉しくて、ウキウキが止まらない。アイシャは持っていて手鏡をラズリの前に出す。
再び見る、自身の目。蘇るあの時の記憶。
『サマエル、これでお前の顔見ろ』
「確かに綺麗ですね」
過去と今の言葉が交互に聞こえる。
『そいつらはお前の親だ』
何の感情もない両親の目がこちらを向いている。
「ラズリちゃん」
アイシャがラズリに触れようとする。
『サマエル』
ソロモンが頭に触れる。
バシ
反射でアイシャの手を弾く。アイシャは驚きのあまり手鏡を離してしまい、床に落ちて割れる。
「どうした!」
丁度こちらに来るタイミングだったのか。或いは仕事は嘘で聞き耳を立てていたのかタイミングよく扉が開く。ホルス、レア、パーチミが入ってくる。
「あっ、えっと・・・」
子供達は驚いて思考が停止し、上手く話せない。状況を理解するために子供達を退室される。レアは子供達と一緒に出ていき子供達から事情を聞く。
パーチミは落ちて割れた手鏡を拾う。
「ラズリ」
ラズリは小さい体をベットの上で縮まらせていた。過呼吸になっているのか呼吸が荒い。
ホルスはラズリ触れずに出来るだけ優しく声をかける。
「ふむ、大丈夫、何が怖かったのか教えてくれるか?」
ラズリは震えながら首を横に振るう。
「ラズリ、誰も責めない。もう君を縛りつけるものはなくなったんだ」
しばしの沈黙ののちラズリは話し始める。
「分からない。ただ記憶が蘇ってきて。あの人達の目がこっちを見ていて、ソロモン様の声が聞こえて・・・」
破片を片付けながらパーチミは思う。
ああ、この子まだ囚われているのか。
「ラズリ、君は人の温もりが苦痛に感じるだろう。だが今はそれでいい。いつか自ら求めてしまうから。その声もいつか忘れる程、楽しい毎日が君を待っている。ゆっくりでいい君のペースで前に進もう」
ホルスは破片を片付け終わったパーチミを連れて部屋を後にする。
後日、来ないと思っていた。子供達が来る。今度はホルス、レア、パーチミも後ろで見守る。
「昨日はごめんなさい」
アイシャが頭を下げ謝罪する。
子供達は昨日、ラズリの生い立ちについて大まかな概要を聞いた。
「いえ、傷付けてすいません」
ラズリは何の感情もない声で言う。
「よし!このことは全て水に流して仲良くしよう」
今度こそホルス、パーチミは仕事行く。
それから子供達はラズリを囲む様にして遊ぶ。お絵描き、迷路、謎々など、だが幼い頃から訓練を受けていたラズリにとってそれらは喋ることより簡単だった。
子供達はラズリを称えるがレアは不安そうな顔した。
夜、仕事終わりの2人を捕まえてレアは相談する。
「細いレベルについては?」
「それは分からないけど、かなりのレベルだと思う」
「ふむレア、これを知っているのは?」
「私達と子供達だけよ」
「このことは他言無用で頼む。これ以上あの子を苦しませたくない」
ラズリが今生かされている理由は利用価値があるからではなく、哀れな子供だと、周りの認識があるからだ。周りがこのことを知ればラズリは危険人物として処分されるか、無期懲役の監禁生活が待っていることだろう。
「子供達にも口止めしておくわ」
「それと・・・」
ホルスは深刻そうな顔する。
「ラズリをそろそろ戦場に出したいそうだ」
パーチミが代わりに言う。
レアの目が大きく見開かれる。レアにとってラズリは優秀な子供でも兵でもなく哀れな子供の認識という認識だった。
ネイビーブルー髪に黒い瞳をした少年が言う。
「ライです。よろしく」
すみれ色の髪に黒い瞳をした少年が言う。
「フィール、よろしく」
紅梅色の髪に赤い瞳をした少年が言う。
「アイシャです。よろしくね」
翡翠色の髪に若草色の瞳をした少女が言う。
「レオ、ライは僕達の子供で、2人は僕が連れてきた子達だ」
「ねぇ、父さんこの子喋れないの?」
ライが怪訝な顔で言う。
「少し緊張しているだけさ。この子はラズリだ。みんな仲良くね」
子供達が返事をする。
子供達はこの後学校があるためその場を後にする。
「ラズリ、緊張した?」
レアがラズリの横顔を覗きながら言う。
「いえ・・・」
緊張とはどんなものなのだろう。
翌日、子供達が病室に遊びに来る。ホルス、パーチミは仕事のためいない。レアは怪我人の面倒を見るため席を一旦外している。
「ラズリ、こんにちは。遊びにきました」
ラズリがいるベットを囲む様にして座る。
「ねぇ、ラズリちゃん、目綺麗だね」
アイシャは同年代の女の子と話せるのが嬉しくて、ウキウキが止まらない。アイシャは持っていて手鏡をラズリの前に出す。
再び見る、自身の目。蘇るあの時の記憶。
『サマエル、これでお前の顔見ろ』
「確かに綺麗ですね」
過去と今の言葉が交互に聞こえる。
『そいつらはお前の親だ』
何の感情もない両親の目がこちらを向いている。
「ラズリちゃん」
アイシャがラズリに触れようとする。
『サマエル』
ソロモンが頭に触れる。
バシ
反射でアイシャの手を弾く。アイシャは驚きのあまり手鏡を離してしまい、床に落ちて割れる。
「どうした!」
丁度こちらに来るタイミングだったのか。或いは仕事は嘘で聞き耳を立てていたのかタイミングよく扉が開く。ホルス、レア、パーチミが入ってくる。
「あっ、えっと・・・」
子供達は驚いて思考が停止し、上手く話せない。状況を理解するために子供達を退室される。レアは子供達と一緒に出ていき子供達から事情を聞く。
パーチミは落ちて割れた手鏡を拾う。
「ラズリ」
ラズリは小さい体をベットの上で縮まらせていた。過呼吸になっているのか呼吸が荒い。
ホルスはラズリ触れずに出来るだけ優しく声をかける。
「ふむ、大丈夫、何が怖かったのか教えてくれるか?」
ラズリは震えながら首を横に振るう。
「ラズリ、誰も責めない。もう君を縛りつけるものはなくなったんだ」
しばしの沈黙ののちラズリは話し始める。
「分からない。ただ記憶が蘇ってきて。あの人達の目がこっちを見ていて、ソロモン様の声が聞こえて・・・」
破片を片付けながらパーチミは思う。
ああ、この子まだ囚われているのか。
「ラズリ、君は人の温もりが苦痛に感じるだろう。だが今はそれでいい。いつか自ら求めてしまうから。その声もいつか忘れる程、楽しい毎日が君を待っている。ゆっくりでいい君のペースで前に進もう」
ホルスは破片を片付け終わったパーチミを連れて部屋を後にする。
後日、来ないと思っていた。子供達が来る。今度はホルス、レア、パーチミも後ろで見守る。
「昨日はごめんなさい」
アイシャが頭を下げ謝罪する。
子供達は昨日、ラズリの生い立ちについて大まかな概要を聞いた。
「いえ、傷付けてすいません」
ラズリは何の感情もない声で言う。
「よし!このことは全て水に流して仲良くしよう」
今度こそホルス、パーチミは仕事行く。
それから子供達はラズリを囲む様にして遊ぶ。お絵描き、迷路、謎々など、だが幼い頃から訓練を受けていたラズリにとってそれらは喋ることより簡単だった。
子供達はラズリを称えるがレアは不安そうな顔した。
夜、仕事終わりの2人を捕まえてレアは相談する。
「細いレベルについては?」
「それは分からないけど、かなりのレベルだと思う」
「ふむレア、これを知っているのは?」
「私達と子供達だけよ」
「このことは他言無用で頼む。これ以上あの子を苦しませたくない」
ラズリが今生かされている理由は利用価値があるからではなく、哀れな子供だと、周りの認識があるからだ。周りがこのことを知ればラズリは危険人物として処分されるか、無期懲役の監禁生活が待っていることだろう。
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「それと・・・」
ホルスは深刻そうな顔する。
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