梅雨の一幕

梅雨の一幕

「父ちゃん！雨だよ！雨！」
　ニュースを伝える放送は、東京が梅雨入りしたことを告げていた。
「そうか、もうそんな時期か……」 俺は立ち上がり、バケツを取りに行った。
「しっかし梅雨なぁ……ありがたい反面、めんどくさいんだよなぁ」そう呟きながら、いい感じの位置にバケツをセットする。
　数分もせず、天井から雨水が漏りだした。
「もうガタがきてるのかな」
「父ちゃん父ちゃん！もういいかい？」
「おぅそうだな」
　そう言いながら俺はバケツの中を確認する。水がいっぱいに入っている。
「おし、もう飲んでいいぞ、飲みすぎんなよ」
「ありがと！父ちゃん！」
　そろそろ、この簡易ダンボールハウスともサヨナラしなければならないな。