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お品書き

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 神は全人類を愛する、と人々は言った。
 それは9割事実だ。神は、個人的な理由で人を否定しない。全人類を平等に捉え、平等に愛する。
 しかし、神にも沸点はある。この世の救いようのない悪人には神もこれはこれはお怒りになられる。
 今宵も神の怒りを買いし者、贖罪を果たすこととなる。

 薔田 武薇 そうだ たけび 28歳 男
 ブラック企業の影響で鬱病にかかるが5年かけて克服。その反動から、人間のことを動く道具と考えるようになり、「なんとなく」という漠然とした理由で強姦や監禁、拷問や殺人も多く行ってきた。
 彼の境遇には同情した神も、1日に1人のペースで人生をめちゃくちゃにする様子を見て怒りを超えた不快感を覚えた。
 神は下人に、贖罪を与えた。

「さーて、今日の遊びはなにかなー……」
 本名薔田武薇。だけど今は警察に追われてる身として、仮名を何十個も使い回てて、誰にどれを使ったかもう覚えていない。
 おもちゃを選ぶ時だけでなく、普通に行動する時は、自慢の顔面ペインティングや闇医者の運営する整形を受けたり、とにかく、俺という存在は毎日コロコロ変わっていく。名前然り、顔然り。
 出費は痛いけど、殺した時についでに金とかクレカとかぶんどれば意外と生活出来る。
 これが俺の生活だ。
「なんだこりゃ?」
 外に出ようとして気づいた。ドアについてる郵便受けの中に、一通の手紙とCDが入っている。
 俺は超頻繁に引越しするし、住所は一切誰にも教えない。チラシはともかく、手紙なんかここ数年全く見ていない。
「ここもそろそろ引越しだなー」
 なんて気楽なことを言いながら手紙を開くと、そこにはまるで冗談な内容が書いてあった。

『罪状:人を人と認識していない罪
 贖罪者:薔田武薇
 課題内容:呪いのCDで誰でも(自分も含め)一人殺害する
 達成失敗:死後、天にも地にもいかず「永遠の無」に閉ざされる
 提出期限:この手紙を送った12/12 0:00から168時間
 CDの使い方
 この2:00のCDを最初から最後まで聞くことで呪いは発動する。途中からの再生や途中での視聴中断では呪いは発動しない』

 100%イタズラだと、普通なら思っただろう。だが、それを否定することが彼にはできた。
 ひとつがいちばん強い。それは圧倒的な雰囲気。理屈ではどう頑張っても否定できない雰囲気がある。
 従わなければマズイ、と本能が告げている。
 ふたつが自分の家と自分の本名をセットで知っている人物が一人もいないこと。
「これはめんどいな……」
 期限は168時間。÷24して……7日。1週間。
「お、いいねぇ、一個案がうかんできたよぉっと。じゃあ……今日のおもちゃは……」
 残り期限167時間
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