ボスルートがあるなんて聞いてない!

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18.俺はいいから!

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「....っ、は...、これが...子種か....?」

「う、うん。そうだよ。こうやって刺激すると出るから。あの、俺...ちょっと...」

早口で説明してすぐにこの場を離れようと思ったのに、ヴァルクに腕を掴まれ、阻止されてしまった。

「ちょっ、ヴァルク離してっ....」

勃っているのを反対側の手で必死に隠しながら腕を引っ張るが、全く外れない。

「サクヤ、俺もサクヤのを触ってみたい」

「はぁっ!?なっ、なんで....」

「理由か....?そうだな....。サクヤがどんな反応をするのか見たい」

咄嗟に出てしまったのか、今理由を考えている。
からかわれてる....とかじゃないよな....。そりゃあ好きな人に触ってもらえるのは嬉しいけど....。ヴァルクはあくまで興味本位で触りたいって言ってるわけで...。なんかもやもやするんだよな....。

返事ができずにぐるぐると考えていると、掴まれていた腕を引かれた。

「うわっ!」

バランスを崩してヴァルクの膝の上に、横向きで乗っかる。こけるかと思って咄嗟にヴァルクの服を掴んだ。胸ぐらを掴んで引き寄せるような感じになってしまったが、そもそもヴァルクが急に引っ張るのが悪い。

「ちょ、危ないだろ....」

「拒否しない、ということはいいんだな?」

「は.....?っぁ、まっ...!」

顔が思ったよりも近くにあって、反対側へ顔を向けた直後、首筋に鼻を押し付けられた。スン、と匂いを嗅がれ、ぞくりと身体が震える。

「もうあの匂いはしないんだな」

「っ、そこで喋んなって...っ。昨日ブルーに浄化してもらったから匂いも消えてる。そんなに気に入ったのか?」

もしかしてヴァルクって匂いフェチ?

「ああ」

「じゃあ今度ヴァルクにも買ってくるよ」

またあの香水屋に行くのはちょっと勇気がいるけど、そんなに気に入ったのならプレゼントしたい。

「いや。サクヤから匂うのがいいんだ」

はい?なんで?意味がわからん。好きな匂いだったらずっと嗅ぎたくならん?
まあ..どう楽しむかは人それぞれだからいいけど...それよりそろそろ離してもらえませんかね?

逞しい胸板を押して、暗に離して欲しいと言っているのに、肩と腰に回された手でがっちりと押さえ込まれており、膝の上から下りることも叶わない。

「ひぁっ!ヴァルクっ、だめっ、待って...!」

腰に回されていた手が、服の上から昂っている熱に添えられた。まだ服の上から触られただけなのに、甘い快感が背中を走り抜ける。

「嫌じゃないなら触らせてほしい」

「なっ....、んっ!ぁっ、でもっ....!」

その言い方はずるい。だって嫌じゃないもん。むしろ嬉しい。でもここが外なのと、まだ朝だということもあって、少し抵抗がある。ヴァルクのを触った後で何言ってんだって感じだけども。あと単純に恥ずかしい。

そんな思考を巡らせて本気で抵抗できないでいると、ズボンとパンツをずらされた。

「あっ、あんま見ないでっ...!」

露わになった、ヴァルクよりひと回り小さな俺の陰茎は、先走りによってぬらぬらとした様がはっきりと見て取れる。
あまりの恥ずかしさに、頭が沸騰しそうだ。

「なぜだ?すごく綺麗なのに」

「はっ!?どこが...んぁっ!ん...んんっ...」

なにを言ってるんだこいつは。ちんこなんて綺麗もくそもないだろ!本気で眼科の設立を考えた方がいいかもしれない。

若干現実逃避をしている間に、ヴァルクの手が俺の陰茎を包み込む。甘い刺激が走るのと同時に、自分のものとは思えない声が漏れてしまい、慌てて口を閉じた。

えっ、うそっ、待って待って!なんでこんなに気持ちいの!?
ヴァルクに触られてるのもあるんだろうが、自分で触るのとは全く違う。予想できない動きにいちいち陰茎が反応し、その度に先走りがとろりと溢れる。片手で口を押さえ、もう片方の手でヴァルクの手を掴んではいるが、ほとんど添えるだけになっている。

「この透明なものはなんだ?」

「んぅっ!?んっ...ふ、んっ...」

鈴口から溢れる先走りを、不思議そうに眺めながら聞いてくる。しかも、ヴァルクは何の気なしにやっているようだが、鈴口に蓋をするように親指で押さえられ、それによってさらに溢れた先走りの糸を鈴口と指の間でニチニチという音と共に何度も作る。

亀頭が弱い俺にとってそれは、強い刺激を与えられたのに、その後弱い刺激しか与えられず焦らされているようにしか感じない。質問には答えられるはずもなく、ただ俯いて首を振ることしかできなかった。

首を横に振ったことで知らないと思ったのだろう。そうか、と呟いてそれ以上は聞いてこなかった。

「サクヤ、顔を見せてくれ」

「っ、は?むっ、むりっ...。ぁっ、むりだって...!や、ぁっ...」

無理だと言っているのに、肩を抱いていた手で顎を掴まれ、そのまま上を向かされる。ばっちりと目が合ってしまい、慌てて両手で顔を覆った。

「駄目か?」

「っ、ダメっていうか...無理っ....」

「そうか...。ならそのかわいい声だけでも聞かせてくれ」

「はっ!?」

かわいい声!?眼科だけじゃなくて耳鼻科の設立も急がないとダメか!?

「い、意味わかんな...あっ!んんっ...!」

顔を覆っているので当然なのだが、見えないのでヴァルクがなにをしようとしているのか全くわからない。話の最中に突然陰茎を包まれ、声が出てしまった。それでも、未だ顎を掴まれ上を向かされているので手を外すことはできない。

「声も駄目か?」

「んぅっ!は...っ...んっ....」

もはや返事などする余裕もなく、必死に声を我慢することしかできない。見えないせいでより敏感になっている気がする。ヴァルクの手が上下に動く度、卑猥な音までよく聞こえてしまい、一層羞恥が増す。

っていうかヴァルクってこれが初めてだよな?自分で扱いたこともないのになんでこんな上手いの?俺がやったのを真似まねてるにしてももうちょっとぎこちないとかあってもよくない?それとも俺がチョロいだけ?

それでも俺の反応がいい亀頭ばかり刺激してくるあたり、とても初めてとは思えない。

「んっ!もっ...、んっ、は...んん~~~っ!」

結局、そのまま執拗に亀頭を責め立てられ、呆気なく達してしまった。顔を隠したまま、射精後の倦怠感でくたりとした身体をヴァルクに預ける。荒くなった呼吸を整えていると、不意に顔を覆っている手の甲に柔らかいものが落とされた。

びっくりして指の隙間から様子を窺えば、ヴァルクの顔がかなり近くにある。

えっ!?い、今キスした...!?...こ、殺す気かー!!意味わかってやってんの!?
わかってなかったとしたらタチが悪い。俺のライフはもうゼロですよ?

「サクヤ、また立っているんだがこれは正常か?」

「へ.....?」

またたった....勃った?え!?なんで!?
恐る恐る見てみると本当に勃っている。え?なんで?

「やはり異常なのか...?」

絶句していると、ヴァルクは悪い方に捉えてしまったようだ。

「異常じゃないよ!むしろ健全だから!」

「そう、なのか...?」

訝しむヴァルクに何度も頷く。
きっと射精した時の気持ち良さをもう一度味わいたいと思ったんだろう。初めてなら尚更だ。

「興奮..したときとかも勃ったりするから...」

「興奮?」

「うん。子供が欲しいのに朝しかできないなんて効率悪いだろ?」

「.....確かに」

納得してもらえたようなので、そろそろヴァルクの膝の上から下りたかったのだが、肩から手が外れる気配がない。脚は自由なので、仕方なく脚だけ下ろしてヴァルクに背を向ければ、まるで離れたくないとでも言っているかのように後ろからぎゅっと抱きしめられた。

「もう一度、やってはくれないか?」

耳元でさ囁かれた言葉を理解するのに、多少時間がかかった。
ただでさえ抱きしめられているという事実も、理解するのに数秒かかったのだ。

「だっ、だめっ。もうダメ!やり方わかっただろ?あとは自分で....」

「なぜ?」

「っ、なんでって...。.....こういうのは本来、好きな人とやることだから....」

「俺は好きだが」

「!?」

"好き"という言葉に心臓がドキリと跳ねる。
ヴァルクが俺を好き....?やばい、めっちゃ嬉しい。........でも、

「俺も好きだよ」

「なら——」

「でも、俺とヴァルクの好きは違うから」

「違う?」

ヴァルクの言う好きは、きっと友達の好きだ。初めて話せる人と会って、初めて友達ができて、特別には思ってくれてるんだろうけど、それは多分恋じゃない。

この先もっと他の人と関わることができれば、ヴァルクだって気づくだろう。"好き"にも種類があることに。
自分で言っておきながら胸にちくりと痛みが走る。けど、勘違いして今よりもっと傷つくよりよっぽどいい。

よくわかっていなさそうなヴァルクに、「とにかくこれで終わり!」と強引に話をたたんだ。


朝食を食べてからドロップアイテムを受け取ると、先週よりもかなり量が多い。地下一階の魔物がほとんどいなくなっていたのだから、当然と言えば当然なのだが....。

あんまり無理しないでね、と伝えて街へ戻った。
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