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七章:意識

いつも通りでいい

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休憩から戻ると店長に「どうだった?」聞かれた。


「なんか…初めてとは思えないくらいスムーズで、説明もわかりやすかったですし。

私が同じことをするのかって思うと自信がなくて緊張してきました。」


すっかり意気消沈する私に、


「何を言ってるの?アドリブで喋るのなんて毎日やってることじゃない!」


と驚いた顔で言われた。


「え…?」


「接客するお客様からどんな質問が飛んでくるかなんてわからないけど、聞かれたことにちゃんと答えられているでしょう?」


ただ対面か画面越しかの違いだけよ。と言われてハッとした。


そうか…質問や相談に答えることなんて毎日やってることと同じだ!


「むしろ紹介する商品が決まってる分、答えやすいと思わない?」


「そうですね!新作だけですもんね!」


紹介するコーデも本社の人があらかじめ決めてくれているから、接客以上に簡単かもしれない…。


ちょっと緊張がほぐれてきたかも。


「それよりも真顔にならないように気をつけてね。」


あ…確かに説明するのに必死になって、真顔になる可能性の方が高いかも。


ある程度決まってることを話すとはいえ、その場で覚えるんだ…気をつけないと!


「本社の方も先に見れていてよかったです。二人とも優しそうな雰囲気で安心しました。」


高橋さんと深見さんという方が出演していたと伝えると、


「ああ!そうなのね!」


二人とも気さくで話しやすい人らしい。


「まあ、本社の人はみんなノリのいい人ばかりだけどね。

要注意人物はいないし、心配する必要はないわよ。」


それから店長も休憩に入ってアーカイブを観ると言ってお店を出た。


店長がお店を出たのを見届けてから瑠偉くんが「ライブ観たの?」と聞いてきた。


「ライブ配信に間に合うように休憩入らせてもらえたの。

本社の人が二人で出演していたんだけど、二人とも優しそうな人で安心したよ。」


「先にどんな人がいるかわかってたら行きやすいよね。俺も休憩入ったらアーカイブ観よう。」


それからシフトの話になった。


「今週末、早速ヘルプのスタッフが入ってくれるんだね。どんな子だろう?」


「あ、神屋さんが言ってたよ。今週はとりあえず本社の人が来てくれるって。

配信に出てた人かもしれないね。まあ俺は土曜日休みだから会えないんだけど。」


配信に出てた人が来てくれるなら、本社に行く前に会えてもっと安心できるんだけどなあ…。


なんて話していると入店が増えて来て、話はそこで終わった。


今日はそのまま退勤時間まで私語ができるタイミングがなかった…まあ、私語ダメなんだけど。


「神様、今日は本社の人のライブ配信を観たんですよ。

ライブ配信の時間に合わせて休憩に入らせてくれたから、リアルタイムで観れたんです。」


「ほう、どうじゃった?」


「初めてとは思えないくらいスムーズ進んでて、自分にもできるか自信なかったんですけど…。

店長話してたら大丈夫!って思えるようになりました!」


うんうん、それならよかったの。と神様も頷いてくれた。


「それで…休憩時間はライブ配信を観ていたので宿題ができていません…。」


素直に言ったのに許してもらえなかった。
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