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六章:視界

そんな風に見えるの!?

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帰り際にコソッと店長に確認すると、ライブで紹介するコーデは本社が決めていて自分で考える必要はないということだった。


一安心で帰宅する。


「神様!また進展があったんです!」


早速SNSのライブ配信に出られるかもしれないことを報告した。


「ほう、凄いの。ファン2号3号と増えていくと良いな。」


神様まで!


「何故じゃ?自分のファンができるのは嫌なのか?」


「そういうわけではないんですけど…」


まだ入社1年の新人だし…一般人だし…とゴニョゴニョ言っていたら


「今日の感情ノートはこれじゃな。」


と言ってノートタイムが始まった。


『自分のファンと言われると嫌なんじゃなくてテレて否定したくなる。

素直に喜べないのはどうして?

一般人にファンができるとか、調子乗ってそうに感じる?

自分なんかにファンができるはずないって思ってしまう?

店長ほど仕事できて美人でオシャレなら、否定的にならなかったかも。』


「じゃが実際おぬしのことを『可愛い』と、わざわざ会いに来てくれた者がおったんじゃろ?」


そやつの気持ちを否定しておることになるぞ?と言われて、それは確かに申し訳ないと思った。


「そもそもスタッフコーデもSNSのライブ配信も、何のためにするんじゃ?」


「お客様のためです。」


「ではお客がおぬしを見て可愛いと思う。

そして店に来てくれる(もしくはオンラインで買ってくれる)。

という流れを作るのに、おぬしのファンになってもらうというのは大事なんではないか?

むしろ、そのためにやっておることじゃろう?」


否定しておって良いのか?とつっこまれた。

更に、


「一般人にファンができてはいけないという決まりもないじゃろう?」


「そうでした…お客様の参考になりたくて、お買い物を楽しんでほしくてやってたんでした!

私を見て楽しくお買い物をしてくれる方を、一人でも多く作りたいと思います!」


そういう方をファンと呼んでいいんじゃないかな?


そう思うと肩の荷がおりた気がする。


その後、また宿題(自分褒めリスト)が増えていないことがバレて怒られて夜が終わった。


「おはよう!」


「池鶴ちゃん、おはよー!

昨日のライブ配信の話、ビックリしたよね。」


「それでも即答してたじゃん。」


そりゃそうだよ。と躊躇なく言う。


「大好きな服の発信ができるなんて楽しいでしょ?」


さすが、ブレないなあ。


「生配信っていうのは緊張するなあ…。」


というと瑠偉くんも「それは確かに。」と同意してくれた…でも、


「まあ慣れるんじゃない?」


とやっぱりポジティブだ。


オープンして昨日同様、結構入店が多かった。


そんな中、またサイトを見たと言って来店してくれた方がいた。


「ユニセックスで着れる服を探してたんです。今度テーマパークに遊びに行くので。」

彼氏さんとペアルックで行きたいんだそうだ。


「それで色々検索してたら見つけて…男性スタッフさんが載ってたじゃないですか?」


男性ファッションを相談したくて来店してくれたということだった。


「はい、打海さんですね。いますよ?」


と言って接客を瑠偉くんに代わった。


しばらくしてサイズ違いのTシャツを購入して帰られた。


お見送りをしてから瑠偉くんが早歩きで寄って来た。


「さっきのお客様に、池鶴ちゃんと付き合ってるのかって聞かれたよ。」


ええ!?私と瑠偉くんが!?


「そんな風に見えるのかな?」


「男女揃うとそう思っちゃうのかな?」


私の好みを知ってる店長や彰が聞いたら笑いそうだ。(彰は苦笑いか?)
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