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三章:二人のカウンセラー

神様カウンセリング②

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うーーーん…と考える私を神様はニコニコしながら見つめる。


「なんで笑ってるんですか?」


ちょっと怒った風に言うと「いや、すまん」と笑って


「やっぱりおぬしは素直じゃの。」


「そうですか?」


今まであまり言われたことがないし、自分ではよくわからないなあ。


「今までもこうやって猫に身体を借りて人と話をする機会はあったが、全員が全員まともに聞いてくれるわけではない。

魔法が使えないと知った途端、追い出す者やワシの質問を考えるのが面倒になって匙を投げた者も多いのじゃ。」


真剣に話を聞いて真剣に考える者に、久しぶりに出会った、と。


そうなんだ…結構意外。


「神社に行くくらい叶えたい願いなのに、すぐ諦めちゃうんですか?」


私が神社でお願いしたのは偶然だったけど、あの時ふと出てきた言葉は多分本心だったと思う。


だから神様の話を聞こうって思えるし。


それを他の人たちは自ら足を運んでお願いしてたんだよね?


と、首を傾げると


「そうじゃの、魔法使いみたいに努力なしで叶えてくれると思うたんじゃろうな。」


えー、せっかく神様が悩み相談してくれるのに?


しかも自分好みの姿に変身して聞いてくれるのに?


「そこ、やはりおぬし的に重要なんじゃな?」


と笑われたけど、正直…大きなポイントだと思います…。



「話を戻すとじゃな…何故こんなに質問攻めにするかというと、“根底にある考えに気づかぬと同じことを繰り返す”からじゃ。」



おぬしが自慢したいだけで彼氏を選んでおったのも同じじゃろ?とつっこまれた。


悔しい…けど、確かにその事に気づかなかったらまた同じ基準で選んでただろうな…。


「根底の考えを変えない限り、たとえ魔法で願いを叶えたところですぐに水の泡じゃ。

だが…それこそ神社に足を運んでまで叶えたい願いなら、すぐに消える魔法より永遠に続く叶い方の方がよかろう?」



その方法を教えてやると言ってるのに…全く…とブツブツ言ってる。



神様、結構ストレス溜まってるな?



「そんなわけで久しぶりに骨のある者に出会うて嬉しいぞ。」


とニッコリ笑う顔がちょっと怖い…お、お手柔らかにお願いしたいんですけど…?!


「その、優越感のために付き合えるのか?というとこじゃが。

それができる“成功体験”があったはじじゃ。」


何か思い出さぬか?と言われてまた頭を捻った。



成功体験…?


「神様…私こんなに頭使うの初めてです…。」


思わず眉間にシワが入る。これで老けてしまったら、結婚どころか彼氏すらできなくならない!?


「はっはっは!渋い顔になっておるの!
だがな、ここがわかれば“根底の考え”に気づけるはずじゃぞ?」


人生を遡って考えてみよ。まだ人生短いんじゃ。すぐじゃろ。


なんて言われてもどこまで遡ればいいのかすらわからないんですけどー!?


「初めて付き合うたのはどうじゃった?」


初めて…


「中学生の時で、同級生でした。クラス人気者だったんです。」



そう、たまたま席が隣で話す機会が多かったんだ。


同じアニメが好きで話が盛り上がって、自然と仲良くなったんだよね。


「ということは付き合った理由は自慢ではなかったということじゃな。」


「はい、本当に自然に…でも、クラスの人気者だっただけに女子からの羨望が凄くて。」



それがなんか嬉しかったんだよね。



「では、その彼氏を面と向かって自慢したのは誰じゃ?」



面と向かって自慢した人…?


誰だっけ…?



「………お…母さん…?」
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