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第二章
勘違いからの始まり⑥
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笑われたことよりも、イケメンの笑顔の破壊力にやられてしまう。思わず見惚れてしまった。
「ん? なんだ?」
「い、いえ……」
「気になるだろう?」
「いやぁ、イケメンだなぁと思って」
「へ!?」
「職場でもモテモテでしょう?」
「いや」
「嘘だぁ~」
「残念ながら、職場には男しかいないんだ」
「それは……。残念」
自分で言いながらも、残念どころか私にはチャンスじゃないかと思ってしまった。私は何を考えているのだろう。父を亡くして傷心のはずが……
「そういう凪紗こそモテるだろ?」
「私? 私も全然です」
生まれてこの方、彼氏なんていたことがない。先日の湊翔さんとのキスがファーストキスなんです! とは口が裂けても言えないけれど、経験豊富だとは思われていないはずだ。きっと彼は経験豊富で、この前のキスは私に同情しただけだろう。
その後も、海を見ながらポツリポツリと会話を交わす。美容師という職業柄、常にお客様の顔色を伺っている私。沈黙が苦痛ではない空間が、新鮮で心地よい。
楽しい時間は過ぎるのが早いもので、水平線に夕日が沈んでいく。
「さあ、暗くなるし帰ろうか」
「はい」
「送るよ」
「いえ、近いので大丈夫です」
「そうか……」
防波堤から海岸へと戻ってきた。
「じゃあ」
名残惜しいけれど、誘う言葉も見つからない。
「なあ、明後日の夜は空いてるか?」
「へ? はい」
ここにいる限りは、特に予定はない。
「夕方には勤務が終わるから、メシでもどうだ?」
「はい!」
喜んで! と言いそうなぐらいにテンションが上がってしまった。
「じゃあ、連絡先を交換してくれ。車でここまで迎えに来る」
「はい」
スマホを出して、お互いの連絡先を交換した。スマホが彼と繋がったことにテンションが上がる。恋を知らない私でも、これが恋の始まりだと何となくだけど感じた。彼は、何を思って誘ってくれたのだろう。
父が亡くなって以来実家で塞ぎこんでいた私が、ここ数日頻繁に散歩と称して出掛けている姿を見ている母。
「どうしたの?」
「何が?」
「いい事あった?」
「……」
ニヤニヤしながら聞かれても、まだ防波堤で話をしただけの関係だ。笑って誤魔化すしかない。
「ん? なんだ?」
「い、いえ……」
「気になるだろう?」
「いやぁ、イケメンだなぁと思って」
「へ!?」
「職場でもモテモテでしょう?」
「いや」
「嘘だぁ~」
「残念ながら、職場には男しかいないんだ」
「それは……。残念」
自分で言いながらも、残念どころか私にはチャンスじゃないかと思ってしまった。私は何を考えているのだろう。父を亡くして傷心のはずが……
「そういう凪紗こそモテるだろ?」
「私? 私も全然です」
生まれてこの方、彼氏なんていたことがない。先日の湊翔さんとのキスがファーストキスなんです! とは口が裂けても言えないけれど、経験豊富だとは思われていないはずだ。きっと彼は経験豊富で、この前のキスは私に同情しただけだろう。
その後も、海を見ながらポツリポツリと会話を交わす。美容師という職業柄、常にお客様の顔色を伺っている私。沈黙が苦痛ではない空間が、新鮮で心地よい。
楽しい時間は過ぎるのが早いもので、水平線に夕日が沈んでいく。
「さあ、暗くなるし帰ろうか」
「はい」
「送るよ」
「いえ、近いので大丈夫です」
「そうか……」
防波堤から海岸へと戻ってきた。
「じゃあ」
名残惜しいけれど、誘う言葉も見つからない。
「なあ、明後日の夜は空いてるか?」
「へ? はい」
ここにいる限りは、特に予定はない。
「夕方には勤務が終わるから、メシでもどうだ?」
「はい!」
喜んで! と言いそうなぐらいにテンションが上がってしまった。
「じゃあ、連絡先を交換してくれ。車でここまで迎えに来る」
「はい」
スマホを出して、お互いの連絡先を交換した。スマホが彼と繋がったことにテンションが上がる。恋を知らない私でも、これが恋の始まりだと何となくだけど感じた。彼は、何を思って誘ってくれたのだろう。
父が亡くなって以来実家で塞ぎこんでいた私が、ここ数日頻繁に散歩と称して出掛けている姿を見ている母。
「どうしたの?」
「何が?」
「いい事あった?」
「……」
ニヤニヤしながら聞かれても、まだ防波堤で話をしただけの関係だ。笑って誤魔化すしかない。
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