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26話 奴隷って言葉の響きがなんかアレだよね
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「さっさと起きろっ!」
腹に蹴られたような衝撃を受けて目を覚ます。
「チッ!やっと起きたか、カスの癖に手間取らせやがってよ」
寝起き一番に罵倒され、少し混乱したが、冷静になって周囲の状況を確認する。
床はかなり冷たく、そしてほとんど何も見えないほど暗い、手足には縄で縛られている感覚がある。唯一ある仄かな蝋燭の灯りは冷ややかな目でこちらを見つめる男の顔だけを照らす。
「あの、あなたは?」
縛られた手で腹を抑えながら、男に尋ねる。すると、男は不機嫌そうに答えた。
「あ?なんでてめぇに言わなきゃならねぇんだよ、どうせすぐわかるんだから黙ってろ」
うーむ、考えられることは一つか、あの後あいつらにに眠らされて、そのままここに運ばれた。あの時話してた内容から、きっとここは奴隷商とかそんな感じの場所だろうな、っていうかアリスはどこにいるんだ?近くにいるのか?それとも価値によって置く場所を変えてるとかもありそうだな。なんならもう買われてるかもしれないが、とりあえず今はそこはあまり考えないようにしよう。
さて、じゃあどうするか、とりあえず今いるこの場所が奴隷商だったと仮定して、だとしたら多分ここは国とか街とかの可能性が高い。人売るのにも客は必要だしな、つまり、ここから脱出する事ができれば後はどうとでも出来るはずだ。そのためにはここにいる人間のスキルやら戦力やらを把握する必要ありそうだな。
とりあえず、男の方へ指を向け、足元に無属性魔法で硬い糸を張る。これでこいつの戦闘力を測る。意図せずに糸を壊したり、引っかかってもよろけなかったりしたら、こいつは圧倒的に格上ということになり、そしてそんな戦力を持つ人間が俺みたいな価値の低い奴を起こしに来る下っ端として使えるほどの組織だという事になる。
……さぁどうなる?出した糸へ神経を集中させる。カツンカツンと足音がする。そして、糸と足が触れる。
「あだっ」
人体と床がぶつかる音、それにちょっと遅れて男の間抜けな声が響く。転んだ、つまり、少なくともこいつは俺より圧倒的に強いという事はない。
「なんだ?何に引っかかったんだ?」
そう言って灯りを足元へ向ける。慌てて魔法を解除し、証拠を隠滅する。
「んだよ、クソが……」
そう言って、足音がこちらに向かってくる音が聞こえ、男イライラした表情をして目の前に来た。
「クソが!」
ドンッ、と胴体を蹴られるが、あまりダメージは無い。
「うぐっ」
とはいえ、普通に痛かった上に、空気が漏れて声が出た。
そして、俺に唾を飛ばし去っていった。ただ、転んだことに関して問い詰められたりはしなかったという事は、あいつは俺がやったことに気付いていないし、その上蹴りのダメージも少ない。という事は多分、あいつになら勝てるという事だ。もし、ここの奴らがみんなあの程度だとしたら、脱出の可能性は十分にある。
腹に蹴られたような衝撃を受けて目を覚ます。
「チッ!やっと起きたか、カスの癖に手間取らせやがってよ」
寝起き一番に罵倒され、少し混乱したが、冷静になって周囲の状況を確認する。
床はかなり冷たく、そしてほとんど何も見えないほど暗い、手足には縄で縛られている感覚がある。唯一ある仄かな蝋燭の灯りは冷ややかな目でこちらを見つめる男の顔だけを照らす。
「あの、あなたは?」
縛られた手で腹を抑えながら、男に尋ねる。すると、男は不機嫌そうに答えた。
「あ?なんでてめぇに言わなきゃならねぇんだよ、どうせすぐわかるんだから黙ってろ」
うーむ、考えられることは一つか、あの後あいつらにに眠らされて、そのままここに運ばれた。あの時話してた内容から、きっとここは奴隷商とかそんな感じの場所だろうな、っていうかアリスはどこにいるんだ?近くにいるのか?それとも価値によって置く場所を変えてるとかもありそうだな。なんならもう買われてるかもしれないが、とりあえず今はそこはあまり考えないようにしよう。
さて、じゃあどうするか、とりあえず今いるこの場所が奴隷商だったと仮定して、だとしたら多分ここは国とか街とかの可能性が高い。人売るのにも客は必要だしな、つまり、ここから脱出する事ができれば後はどうとでも出来るはずだ。そのためにはここにいる人間のスキルやら戦力やらを把握する必要ありそうだな。
とりあえず、男の方へ指を向け、足元に無属性魔法で硬い糸を張る。これでこいつの戦闘力を測る。意図せずに糸を壊したり、引っかかってもよろけなかったりしたら、こいつは圧倒的に格上ということになり、そしてそんな戦力を持つ人間が俺みたいな価値の低い奴を起こしに来る下っ端として使えるほどの組織だという事になる。
……さぁどうなる?出した糸へ神経を集中させる。カツンカツンと足音がする。そして、糸と足が触れる。
「あだっ」
人体と床がぶつかる音、それにちょっと遅れて男の間抜けな声が響く。転んだ、つまり、少なくともこいつは俺より圧倒的に強いという事はない。
「なんだ?何に引っかかったんだ?」
そう言って灯りを足元へ向ける。慌てて魔法を解除し、証拠を隠滅する。
「んだよ、クソが……」
そう言って、足音がこちらに向かってくる音が聞こえ、男イライラした表情をして目の前に来た。
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そして、俺に唾を飛ばし去っていった。ただ、転んだことに関して問い詰められたりはしなかったという事は、あいつは俺がやったことに気付いていないし、その上蹴りのダメージも少ない。という事は多分、あいつになら勝てるという事だ。もし、ここの奴らがみんなあの程度だとしたら、脱出の可能性は十分にある。
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