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第二章 誰にも渡しませんわ
第33話 六人目
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「えぇ、これっぽっちも。あの……もしかして知り合いでした? 最近は貴族令嬢として人の顔を覚えようと心掛けてはいたのですが、あまり興味無い人の事となると思い出せなくて」
「マ、マジでか……。我、いや、私なのだぞ?」
恐らく、元のローズがしおらしくなれば同じセリフを言うだろう言葉を不審者に向けて言うと、ガックリと肩を落として落胆している様だ。
その様からはマフラーで口を隠していなければ、顎が落ちんばかりの顔を拝めただろう。
「あの~本当にごめんなさい。その……どちら様ですか?」
『私なのだぞ?』と言われても困るのだが、あまりの落胆振りに可哀想に思いローズは素直に謝った。
だが、この言葉に不審者は落胆から驚きの表情に変わる。
顎は同じように落ちんばかりに開いている事だろう。
謝罪の言葉に驚かれたと言う事は、性悪ローズの事は知っていて、最近の心を入れ替えたローズの事は初めて見た、と言う事だろうとローズは推測した。
「な、なるほど。その変わりよう、オーディックの言う通りだな」
「まぁ、オーディック様のお知り合いの方なのですか!」
不審者の口からオーディックの名前が出て来たのでローズは思わず声を弾ませる。
オーディックの知り合いならそこまで怪しい人物でも無いのだろう、その事からローズは目の前の人物をの呼称を不審者から正体不明の男にランクアップさせる事にした。
「むぅ、オーディックの奴にそこまで声を弾ませるとは……」
正体不明の男は、そう言ってまるで嫉妬したかの様に腕を組んで目を顰める。
「あ、あの……それはどう言う意味ですか?」
「あぁ、気にするな。いや、よく考えれば私の事を忘れていたとしても仕方有るまいか。なんせお前と話すのは十数年振りなのだからな。幼き日、一緒に遊んだであろう? どうだ、これで思い出したか?」
正体不明の男はどうだ思い出したかと言わんばかりに少しふんぞり返っている。
相手から飛び出した『十数年前』と言う言葉にホッと胸を撫で下ろした。
これならば覚えていなくともおかしくないし、今までの態度も有る意味自然な振る舞いと言えるだろうと安心する。
安心したら逆に少々腹が立って来て『そんな小さい頃の事なんて元の世界の私でも覚えているかーーー!!』と心の中で盛大に叫んだ。
なんせ十数年前と言えば、ローズはまだ4~5歳ぐらい。
元の世界なら幼稚園に行くか行かないかの年齢である。
その頃に別れてたきりで十数年後に再会した相手の事なんて覚えている自信なんて無い。
特に野江 水流は常人より数多の出会いを繰り返すなかなか濃い人生を歩んで来た為に、その程度の知り合いは履いて捨てる程居るので思い出す難易度はエクストリーム級だった。
代わって元ローズと言えば、覚える気自体が無いので、それ以上に思い出す事が難しいだろうと現ローズの野江 水流は悟っている。
「と言う事は、幼馴染……でよろしんでしょうか?」
「お……おう。……いや、もういい」
昔遊んだと言うヒントで分かるだろうとドヤ顔をしていた正体不明の男は、ローズのこの態度から思い出されて居ない事を察したのだろう、また落胆の表情を見せた。
「それで、どこのどなたなのでしょうか? 今度こそきちんと覚えますわ」
『こんなイケメン逃す手は無いわ!』とローズは勝負に出る。
この流れで改めて自己紹介をさせれば相手の素性が分かるだろう。
そして、このまま知り合いになれるはずだ。
そして、仲が良くなればこのイケメンを六人目として迎え入れる事が出来るのではないか? と考えていた。
「教えない」
「え?」
正体不明の男はぶっきらぼうにそう言った。
思わず今度はローズが間抜けな声を上げる。
「お前が思い出すまで教えない」
「えぇ! そ、そんな」
相手を怒らせてしまったのだろうか? とローズは一瞬焦ったが、ちょっと待てよ? と思いとどまりよく考える事にする。
そもそも、顔を隠し何処の誰かも喋らない男。
しかも、コソコソと屋敷を伺っていた。
相手は知っていると言うが、ローズがオーディックと知り合いで幼馴染と言う情報は少し調べると誰でも分かる事。
困惑しているローズに上手い事を言って逃げようとしているのではないか?
それに、昨日のフレデリカの言葉ではないが、本当にテオドールのスパイの可能性だって考えられる。
『と言っても、目的は分からないのだけど』とローズは思った。
「や、やっぱりあなたは賊なのですか? お、大声上げますわよ」
「や、止めておけ。ここでお前が騒ぐと、私だけでなくお前だって困るんだぞ」
「私が困る? 何でですか?」
思わぬ言葉に、ローズは素で聞き返してしまった。
相手だけでなく、ローズも困る? 訳が分からない。
『ハッ! もしかして私を襲って手籠めにしようと思ってるの? あの薄い本の様に!! けど、残念でした! あたしはそんなやすやすと襲われて手篭めにされる様な女じゃないわ』
目の前の不審者が自分の事を襲おうとしていると思ったローズは足元に転がっている杭の位置をちらりと確認する。
相手は見たところ武器は所持していない。
不審者なんて杭を木剣代わりにすれば、物の数ではないだろう。
いつ襲って来てもこの杭で迎撃してやるわ! と気合を込めた。
「お前、何か勘違いしているだろ?」
さぁいつでも来いと待ち構えていたローズに、呆れた声で不審者はローズにそう言って来た。
なんだかその様はやつれた感じにも見て取れる。
一瞬『何の勘違いだ?』と思ったが、どうやら少し身構えた事と、目線で杭の位置を確認した事から、自分の考えが読まれたのだとローズは理解した。
不審者の態度からすると、そんな事など毛頭考えていないのだろう。
もしかすると心の中で『ぷぷぷ、自分が襲われると思ってやんの。この自意識過剰女め!』と笑われているかもしれない。
そう思ったら、恥ずかしくなってローズは思わず赤面した。
「まぁ、このままじゃ怪しい奴と思われても仕方無いな。ここに来た目的だけは教えてやろうか。いや、そんな大層な事ではない。オーディックやベルナルド卿達からお前がまるで生まれ変わった様だと言う話を聞いてな。一度見てやろうと思ったのだ」
「は、はぁ、その為だけに私の屋敷に忍び込んだのですか? オーディック様やベルナルド様のお知り合いならば、正式にいらっしゃってくれればよろしいのに」
ベルナルドと言えば、ローズの父であるバルモアが所属する派閥の長であった。
嘘を付いているようには見えないので、どうやら目の前の不審者はその二人と知り合いらしい。
そろそろランクを不審者から正体不明の男に戻そうかしらと思っていると、正体不明の男はフフッと笑い出した。
「いや、それが出来ればこんな事する訳無いだろう。少しばかり理由が合って忍び込んだのだ。お前を一目見ようと思っていただけなのにこんな事になってしまったが、まぁお陰でこうして話す事が出来たのだから良しとするか」
「え、え……」
急に優しげな眼で正体不明の男……イケメンが見詰めながらそう言って来たので、ローズは思わず言葉に詰まってしまった。
このイケメンは、わざわざ貴族の屋敷に忍び込むと言う危険を冒しながら自分に会いに来たのだ。
しかも、話す事が出来て良かったとまで言ってくれた。
『これって愛の告白じゃない?』とローズは有頂天だ。
「まぁ、今日の所は帰るとしよう。お前が姿を現さない事に気付いた使用人が探し出すだろうからな」
そう言って、イケメンは真っ赤になって固まったローズの横を通り、屋敷の塀の方に歩き出す。
そこでやっと我に返ったローズは振り返った。
「あ、あの……。せめてお名前を」
去りゆくイケメンにそう声を掛けると、イケメンは振り返りローズにドストライクな笑顔を見せる。
勿論口元はマフラーで隠しているが目の表情だけでもそれが分かった。
「そうだな……俺の名前は……。オズと呼んでくれたらいい」
「オズ……。オズ様……。あの、また会えますか?」
ローズは乙女の顔をしながらイケメンにそう尋ねた。
一目見る為に来たと言っていたが、その目的が果たされたのだからもう来なくなる事だって考えられる。
それに、知らないと言った事で落胆させてしまったのだ。
呆れてもう会いたくないと思われても文句を言えない。
ローズは心の底から後悔する。
しかし、オズは更に目を細めている。
醸し出される雰囲気からすると、どうやら喜んでいるようだ
「ハハハハ。今日は時間が短かったからな。今度お前が思い出すまでゆっくり喋ってみたいものだ。ではさらば! 我のこん……よ!」
そう言いながらオズは走り出す。
しかし、走る足音の大きさに最後の方は何を言ったのか良く聞こえなかった。
『あ……』とローズは声を出し、去り行くイケメンに向かって名残惜しそうに右手を前に出し宙を掻く。
そうしている間にもオズの姿は見る見る内に遠ざかり、驚く事に屋敷の塀をいとも簡単にするっと上り、その向こうに姿を消した。
ローズは今起こった事がまるで夢の様だとただ立ち竦む。
「もしかして……、本当にあの方は六人目なのかしら?」
隠しルートだけの隠しキャラ。
三桁回数プレイした自分でも知らないオズと名乗った謎の人物。
顔の全貌は分からなかったが、窺い知れた目鼻立ちからイケメンと言うだけでなく、どことなく高貴な雰囲気を醸し出している様に感じた。
「まるで、そう……。白馬に乗った王子様みたいだったわ」
ポツリと零れた自分の言葉に思わず吹き出してしまった。
そんな事有る訳が無いと、自分の乙女具合に少し呆れてしまう。
王子様が人の屋敷に忍び込む? そんな事有る訳無いだろう。
「アレ? けど、ちょっと待って? あの方が六人目と言う事は、エレナの攻略対象でも有る訳よね? そんなの許せない。そうよ、渡せない……。渡せないわ!! 絶対誰にも渡すもんですか!」
ローズは突如現れた六人目(仮)の登場に、主人公に対する闘志を新たに燃やした。
「マ、マジでか……。我、いや、私なのだぞ?」
恐らく、元のローズがしおらしくなれば同じセリフを言うだろう言葉を不審者に向けて言うと、ガックリと肩を落として落胆している様だ。
その様からはマフラーで口を隠していなければ、顎が落ちんばかりの顔を拝めただろう。
「あの~本当にごめんなさい。その……どちら様ですか?」
『私なのだぞ?』と言われても困るのだが、あまりの落胆振りに可哀想に思いローズは素直に謝った。
だが、この言葉に不審者は落胆から驚きの表情に変わる。
顎は同じように落ちんばかりに開いている事だろう。
謝罪の言葉に驚かれたと言う事は、性悪ローズの事は知っていて、最近の心を入れ替えたローズの事は初めて見た、と言う事だろうとローズは推測した。
「な、なるほど。その変わりよう、オーディックの言う通りだな」
「まぁ、オーディック様のお知り合いの方なのですか!」
不審者の口からオーディックの名前が出て来たのでローズは思わず声を弾ませる。
オーディックの知り合いならそこまで怪しい人物でも無いのだろう、その事からローズは目の前の人物をの呼称を不審者から正体不明の男にランクアップさせる事にした。
「むぅ、オーディックの奴にそこまで声を弾ませるとは……」
正体不明の男は、そう言ってまるで嫉妬したかの様に腕を組んで目を顰める。
「あ、あの……それはどう言う意味ですか?」
「あぁ、気にするな。いや、よく考えれば私の事を忘れていたとしても仕方有るまいか。なんせお前と話すのは十数年振りなのだからな。幼き日、一緒に遊んだであろう? どうだ、これで思い出したか?」
正体不明の男はどうだ思い出したかと言わんばかりに少しふんぞり返っている。
相手から飛び出した『十数年前』と言う言葉にホッと胸を撫で下ろした。
これならば覚えていなくともおかしくないし、今までの態度も有る意味自然な振る舞いと言えるだろうと安心する。
安心したら逆に少々腹が立って来て『そんな小さい頃の事なんて元の世界の私でも覚えているかーーー!!』と心の中で盛大に叫んだ。
なんせ十数年前と言えば、ローズはまだ4~5歳ぐらい。
元の世界なら幼稚園に行くか行かないかの年齢である。
その頃に別れてたきりで十数年後に再会した相手の事なんて覚えている自信なんて無い。
特に野江 水流は常人より数多の出会いを繰り返すなかなか濃い人生を歩んで来た為に、その程度の知り合いは履いて捨てる程居るので思い出す難易度はエクストリーム級だった。
代わって元ローズと言えば、覚える気自体が無いので、それ以上に思い出す事が難しいだろうと現ローズの野江 水流は悟っている。
「と言う事は、幼馴染……でよろしんでしょうか?」
「お……おう。……いや、もういい」
昔遊んだと言うヒントで分かるだろうとドヤ顔をしていた正体不明の男は、ローズのこの態度から思い出されて居ない事を察したのだろう、また落胆の表情を見せた。
「それで、どこのどなたなのでしょうか? 今度こそきちんと覚えますわ」
『こんなイケメン逃す手は無いわ!』とローズは勝負に出る。
この流れで改めて自己紹介をさせれば相手の素性が分かるだろう。
そして、このまま知り合いになれるはずだ。
そして、仲が良くなればこのイケメンを六人目として迎え入れる事が出来るのではないか? と考えていた。
「教えない」
「え?」
正体不明の男はぶっきらぼうにそう言った。
思わず今度はローズが間抜けな声を上げる。
「お前が思い出すまで教えない」
「えぇ! そ、そんな」
相手を怒らせてしまったのだろうか? とローズは一瞬焦ったが、ちょっと待てよ? と思いとどまりよく考える事にする。
そもそも、顔を隠し何処の誰かも喋らない男。
しかも、コソコソと屋敷を伺っていた。
相手は知っていると言うが、ローズがオーディックと知り合いで幼馴染と言う情報は少し調べると誰でも分かる事。
困惑しているローズに上手い事を言って逃げようとしているのではないか?
それに、昨日のフレデリカの言葉ではないが、本当にテオドールのスパイの可能性だって考えられる。
『と言っても、目的は分からないのだけど』とローズは思った。
「や、やっぱりあなたは賊なのですか? お、大声上げますわよ」
「や、止めておけ。ここでお前が騒ぐと、私だけでなくお前だって困るんだぞ」
「私が困る? 何でですか?」
思わぬ言葉に、ローズは素で聞き返してしまった。
相手だけでなく、ローズも困る? 訳が分からない。
『ハッ! もしかして私を襲って手籠めにしようと思ってるの? あの薄い本の様に!! けど、残念でした! あたしはそんなやすやすと襲われて手篭めにされる様な女じゃないわ』
目の前の不審者が自分の事を襲おうとしていると思ったローズは足元に転がっている杭の位置をちらりと確認する。
相手は見たところ武器は所持していない。
不審者なんて杭を木剣代わりにすれば、物の数ではないだろう。
いつ襲って来てもこの杭で迎撃してやるわ! と気合を込めた。
「お前、何か勘違いしているだろ?」
さぁいつでも来いと待ち構えていたローズに、呆れた声で不審者はローズにそう言って来た。
なんだかその様はやつれた感じにも見て取れる。
一瞬『何の勘違いだ?』と思ったが、どうやら少し身構えた事と、目線で杭の位置を確認した事から、自分の考えが読まれたのだとローズは理解した。
不審者の態度からすると、そんな事など毛頭考えていないのだろう。
もしかすると心の中で『ぷぷぷ、自分が襲われると思ってやんの。この自意識過剰女め!』と笑われているかもしれない。
そう思ったら、恥ずかしくなってローズは思わず赤面した。
「まぁ、このままじゃ怪しい奴と思われても仕方無いな。ここに来た目的だけは教えてやろうか。いや、そんな大層な事ではない。オーディックやベルナルド卿達からお前がまるで生まれ変わった様だと言う話を聞いてな。一度見てやろうと思ったのだ」
「は、はぁ、その為だけに私の屋敷に忍び込んだのですか? オーディック様やベルナルド様のお知り合いならば、正式にいらっしゃってくれればよろしいのに」
ベルナルドと言えば、ローズの父であるバルモアが所属する派閥の長であった。
嘘を付いているようには見えないので、どうやら目の前の不審者はその二人と知り合いらしい。
そろそろランクを不審者から正体不明の男に戻そうかしらと思っていると、正体不明の男はフフッと笑い出した。
「いや、それが出来ればこんな事する訳無いだろう。少しばかり理由が合って忍び込んだのだ。お前を一目見ようと思っていただけなのにこんな事になってしまったが、まぁお陰でこうして話す事が出来たのだから良しとするか」
「え、え……」
急に優しげな眼で正体不明の男……イケメンが見詰めながらそう言って来たので、ローズは思わず言葉に詰まってしまった。
このイケメンは、わざわざ貴族の屋敷に忍び込むと言う危険を冒しながら自分に会いに来たのだ。
しかも、話す事が出来て良かったとまで言ってくれた。
『これって愛の告白じゃない?』とローズは有頂天だ。
「まぁ、今日の所は帰るとしよう。お前が姿を現さない事に気付いた使用人が探し出すだろうからな」
そう言って、イケメンは真っ赤になって固まったローズの横を通り、屋敷の塀の方に歩き出す。
そこでやっと我に返ったローズは振り返った。
「あ、あの……。せめてお名前を」
去りゆくイケメンにそう声を掛けると、イケメンは振り返りローズにドストライクな笑顔を見せる。
勿論口元はマフラーで隠しているが目の表情だけでもそれが分かった。
「そうだな……俺の名前は……。オズと呼んでくれたらいい」
「オズ……。オズ様……。あの、また会えますか?」
ローズは乙女の顔をしながらイケメンにそう尋ねた。
一目見る為に来たと言っていたが、その目的が果たされたのだからもう来なくなる事だって考えられる。
それに、知らないと言った事で落胆させてしまったのだ。
呆れてもう会いたくないと思われても文句を言えない。
ローズは心の底から後悔する。
しかし、オズは更に目を細めている。
醸し出される雰囲気からすると、どうやら喜んでいるようだ
「ハハハハ。今日は時間が短かったからな。今度お前が思い出すまでゆっくり喋ってみたいものだ。ではさらば! 我のこん……よ!」
そう言いながらオズは走り出す。
しかし、走る足音の大きさに最後の方は何を言ったのか良く聞こえなかった。
『あ……』とローズは声を出し、去り行くイケメンに向かって名残惜しそうに右手を前に出し宙を掻く。
そうしている間にもオズの姿は見る見る内に遠ざかり、驚く事に屋敷の塀をいとも簡単にするっと上り、その向こうに姿を消した。
ローズは今起こった事がまるで夢の様だとただ立ち竦む。
「もしかして……、本当にあの方は六人目なのかしら?」
隠しルートだけの隠しキャラ。
三桁回数プレイした自分でも知らないオズと名乗った謎の人物。
顔の全貌は分からなかったが、窺い知れた目鼻立ちからイケメンと言うだけでなく、どことなく高貴な雰囲気を醸し出している様に感じた。
「まるで、そう……。白馬に乗った王子様みたいだったわ」
ポツリと零れた自分の言葉に思わず吹き出してしまった。
そんな事有る訳が無いと、自分の乙女具合に少し呆れてしまう。
王子様が人の屋敷に忍び込む? そんな事有る訳無いだろう。
「アレ? けど、ちょっと待って? あの方が六人目と言う事は、エレナの攻略対象でも有る訳よね? そんなの許せない。そうよ、渡せない……。渡せないわ!! 絶対誰にも渡すもんですか!」
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