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1章 影の巣くう遺跡
1. 考古学研究所アジール支部所属、ナイアス・アキツィーズ(14)
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その笑みに、磨弧はなにか言いたげに、かすかに眉をしかめる。
だが、シャドウのせまる気配を察知すると、磨弧はあの銃のような筒を3本つなげ、火薬つきの金属矢を撃った。
金属矢は、ねらいたがわずシャドウの頭部をふっ飛ばす。
だが、すぐにシャドウはなにごともなかったかのように、ゆらゆらと形をもどした。
磨弧は小さく息をつく。
(トラウマにとり憑いたシャドウ相手に、もう、このていどじゃダメか……しかたね)
磨弧がつかう、この銃のようなものは、点火装置もなにもない。本当に、ただの筒に握り手をとりつけただけのものだ。
それを銃たらしめているのが、磨弧の、炎をあやつるこの力。
「――引きはがせ」
磨弧が、かたわらにひかえる炎のキツネに命じる。
キツネは嬉しそうにひと鳴きすると、9本の尾を広げて、シャドウの教化軍団に突進した。
教導士のシャドウたちがつぎつぎと放つ弾丸を、そのからだで燃やしつくして、キツネは炎のかぎづめをシャドウたちに振りおろす。
絹を引き裂くような音とともに、取り込まれていた鳥人ふたりのすがたがあらわになる。
炎のつめに切り裂かれたシャドウたちは、青白い星つぶと化し、ちらちらまたたきながら天井へ昇っていく。
――教導会の教化により、ほとんどの文化が、宗教や神話体系が滅んでいった。
そこではぐくまれてきた、神々、精霊、魔神、妖怪のたぐいも。
つまり、この世に存在する魔法は、教導会の破邪の光のみである。それが、常識。
それなのに――。
呆気にとられる調査隊員たちのそばを、でっかいハンマーをかついで、虎太郎が駆け抜ける。
「シャドウが弱ったわ! 行くわよ、ふーちゃん、スッピーちゃん!」
虎太郎の身につける勾玉が、闇の中であわいみどりに光る。
それらは、鳥人の武器についている勾玉と同じものだ――隊員のひとりが息をのんでつぶやく。
だが、シャドウのせまる気配を察知すると、磨弧はあの銃のような筒を3本つなげ、火薬つきの金属矢を撃った。
金属矢は、ねらいたがわずシャドウの頭部をふっ飛ばす。
だが、すぐにシャドウはなにごともなかったかのように、ゆらゆらと形をもどした。
磨弧は小さく息をつく。
(トラウマにとり憑いたシャドウ相手に、もう、このていどじゃダメか……しかたね)
磨弧がつかう、この銃のようなものは、点火装置もなにもない。本当に、ただの筒に握り手をとりつけただけのものだ。
それを銃たらしめているのが、磨弧の、炎をあやつるこの力。
「――引きはがせ」
磨弧が、かたわらにひかえる炎のキツネに命じる。
キツネは嬉しそうにひと鳴きすると、9本の尾を広げて、シャドウの教化軍団に突進した。
教導士のシャドウたちがつぎつぎと放つ弾丸を、そのからだで燃やしつくして、キツネは炎のかぎづめをシャドウたちに振りおろす。
絹を引き裂くような音とともに、取り込まれていた鳥人ふたりのすがたがあらわになる。
炎のつめに切り裂かれたシャドウたちは、青白い星つぶと化し、ちらちらまたたきながら天井へ昇っていく。
――教導会の教化により、ほとんどの文化が、宗教や神話体系が滅んでいった。
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つまり、この世に存在する魔法は、教導会の破邪の光のみである。それが、常識。
それなのに――。
呆気にとられる調査隊員たちのそばを、でっかいハンマーをかついで、虎太郎が駆け抜ける。
「シャドウが弱ったわ! 行くわよ、ふーちゃん、スッピーちゃん!」
虎太郎の身につける勾玉が、闇の中であわいみどりに光る。
それらは、鳥人の武器についている勾玉と同じものだ――隊員のひとりが息をのんでつぶやく。
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