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第六話

助けてください、賊に捕まりました………

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「ば、馬鹿なんじゃないか、俺……」

優一はついさっき言われた言葉について考えた。

ー『早く僕の物になってよ。』か。………恥ずかしいな、何か、ヤバいな、頭が少女マンガ脳になっている気がする………

てくてくと歩いているとそこに一人の人間が立っていた。

ー誰?何で宿の近くに突っ立ってるの?

危険を感じた優一はその場から全力疾走で逃げた。




ーーーーー
「な、何なの、い、今の、人。はぁ、はぁ、………」

ーてか誰!?………ともかくあの宿には泊まれないな、………リク達と合流しておこう。

優一は自分の身が危ないことにまだ気づかなかった。






ーーーーー
「おい、誘導してきたぞ」
「ああ、ご苦労。それであの黒髪は?」
「あの宿に泊まるつもりだったみたいだ。」
「………“アタリ”だな。」
「どうします?」 
「…………夜中は不味いかもな、仲間と合流されたら元も子もないからな。」
「後は付けておいてます。どうします?」
「………いくぞ、お前ら、」
「「うすっ!」」




ーーーーー
…………そんなことを知らない優一はリク達を探していた。

「何で、いないんだ?」

そりゃもちろんいませんよ、だって逆方向にいますし………

「何処にいるんだよーっ!………いないのか………」

ー付けてた癖に………

※さっきまでのことです。

ー………いないのか、何か寂しいな………

その時、布を持った手が口元に当たった。

「ふぐっ!」
「大人しくしろ、」

ーな、何!?てか、誰!?この人!

優一は口元の手を剥がそうと必死にもがく。

「んんーっ!ん、んーーーっ!」
「暴れるな、黒髪。」

だが、次第に布についていた匂いにやられ優一は力無く眠りについた。




ーーーーー
「ん………」

目を覚ますとそこは運搬用の馬車の中だった。

ーここ、何処だ?………俺………!俺、知らないおっさんに眠らされてっ!

優一は一瞬パニックになりかけた。

「………黒髪、起きたか、」
「………貴方は誰ですか?」
「俺はー………まぁ、賊だよ、賊。」
「賊?」
「お前が欲しいって言っている奴がいる。そいつにお前を“売る”。」
「えっ?」

ー売るって冗談だよな?………嘘だろ?


優一は“賊”に売られる為に誘拐されたのだった。





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