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9話 攻略対象たち
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「ユリカちゃんは自分から信用落としにいくような子ちゃうやろ? なんか妙やで、これ」
「リャ、リャーン様……」
ユリカがうめき声で応える。そうこの男は大商人の跡取り息子リャーン。ユリカが仲良くしている貴公子のうちの一人だ。
リャーンだけではない。青年将校ラルフ、魔法使いシルヴァ、そしてユリカの執事にして魔族ハーフの執事ファル(ケモミミ)……ユリカの取り巻き貴公子連中がそろい踏みである。
聖剣持ちの青年将校ラルフが大げさな身振りで頭を降ってみせる。
「おいおい勘弁してくれよ。魅了か? ……竜ならそれも可能だな。それならお前の騎士たる俺が悪い魔法を解いてやらないといかんよな。……この筋肉でな!」
「ラルフ様……!」
灰色のフードを目深に被ったシルヴァがなにやら呟く。
「……!」
「え? 殺す……そいつ殺す……ですって? シルヴァ様……!」
「そうにゃん、ユリカ様! ユリカ様はファルのお嬢様にゃん! ファルが守るにゃん!」
「ケモミミあざと可愛いファル……!」
ごちゃっとした現場にさらに四人、ごちゃついた貴公子たちが加わった。
しかも皆、白に近い銀髪の青赤オッドアイ青年アルディアノに対し戦闘態勢をとっている。
エドモンド王子がハッとしたようにアルディアノを睨みつけた。
「そうか、様子がおかしいと思ったが……お前がユリカに魔法を掛けたのか! 先代の聖女が亡くなり結界が弱まった隙にこの国に入り込み、聖女を選ばれなくするために聖女候補たるユリカに魅了の魔法をかけ、聖女選定の儀式を滅茶苦茶にするとは……。考えたな、この邪竜め……!」
「おお? なにやら説明口調。よほど俺を悪役にしたいようだな。さきほど恥をかかされた意趣返しかのう、人の王子よ?」
「うるさい、黙れ!」
「だがな……」
オッドアイの青年は面白そうに呟いてから、ティターニアの肩を思いっきり抱き寄せた。
「俺の運命の番はこの娘だと最初から言っておろうに。王子よ、お主もそれは聞いていたはずだ!」
「リャ、リャーン様……」
ユリカがうめき声で応える。そうこの男は大商人の跡取り息子リャーン。ユリカが仲良くしている貴公子のうちの一人だ。
リャーンだけではない。青年将校ラルフ、魔法使いシルヴァ、そしてユリカの執事にして魔族ハーフの執事ファル(ケモミミ)……ユリカの取り巻き貴公子連中がそろい踏みである。
聖剣持ちの青年将校ラルフが大げさな身振りで頭を降ってみせる。
「おいおい勘弁してくれよ。魅了か? ……竜ならそれも可能だな。それならお前の騎士たる俺が悪い魔法を解いてやらないといかんよな。……この筋肉でな!」
「ラルフ様……!」
灰色のフードを目深に被ったシルヴァがなにやら呟く。
「……!」
「え? 殺す……そいつ殺す……ですって? シルヴァ様……!」
「そうにゃん、ユリカ様! ユリカ様はファルのお嬢様にゃん! ファルが守るにゃん!」
「ケモミミあざと可愛いファル……!」
ごちゃっとした現場にさらに四人、ごちゃついた貴公子たちが加わった。
しかも皆、白に近い銀髪の青赤オッドアイ青年アルディアノに対し戦闘態勢をとっている。
エドモンド王子がハッとしたようにアルディアノを睨みつけた。
「そうか、様子がおかしいと思ったが……お前がユリカに魔法を掛けたのか! 先代の聖女が亡くなり結界が弱まった隙にこの国に入り込み、聖女を選ばれなくするために聖女候補たるユリカに魅了の魔法をかけ、聖女選定の儀式を滅茶苦茶にするとは……。考えたな、この邪竜め……!」
「おお? なにやら説明口調。よほど俺を悪役にしたいようだな。さきほど恥をかかされた意趣返しかのう、人の王子よ?」
「うるさい、黙れ!」
「だがな……」
オッドアイの青年は面白そうに呟いてから、ティターニアの肩を思いっきり抱き寄せた。
「俺の運命の番はこの娘だと最初から言っておろうに。王子よ、お主もそれは聞いていたはずだ!」
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