39 / 64
第7章 まさかの仕打ち?
7-1
しおりを挟む
ようやくスターウォッチャーへのチャレンジが始まったおれに、とんだ試練が立ちはだかった。リーラ星賊団のヴィトが、惑星フェニックスに呪いをかけたんだ。「一歩を踏み出せ」と、おれの背中を押してくれたはずの男が、今度は敵となって姿を現すなんて。
「ヴィトは惑星フェニックスを破壊するつもりだ、くそ!」
おれは思わず、煙突望遠鏡のレンズを手のひらでたたく。
「ティム、落ちつくでやんす。こんなときこそ、本のメッセージを思いだすなりよ」
「メッセージ?」
そうつぶやくおれに、ヘンリは本の最後のページを開いて見せた。
「この星は、不死鳥のように強く美しく甦る、……そうか」
「ハリスさんも、きっとこのメッセージを信じて観測したなり。だから、ティムにだってできるでやんす! さあ、もういちど気を取りなおして、観測を再開するでやんす」
ヘンリの言葉にハッとすると、おれはもういちど、赤く燃える星に目をむけた。
★ ★ ★
巨大なふくろうのバーンズが、黄色い目を光らせながら、空中を旋回する。
大きな翼をはばたかせ、バーンズが雲にいる妖精を見つけて飛んでいった。
「ぐへへ、見つけたぜ!」
雲に降りたったバーンズが首をぐるりと回すと、妖精のケイティは叫び声をあげた。
「きゃあっ。あ……あなたは、誰なのっ?」
「ぐへへ、おれ様はな、この星の新しい支配者だよ」
「支配者? こ、この星に、そんな人は必要ないわっ。さっさと出てってよ!」
翼を広げて迫ってくるバーンズに、ケイティは小さな手足をバタバタさせた。
けれど、そんな妖精の小さな抵抗に、バーンズの身体はビクともしない。
「おまえは素晴らしい歌声をもっているそうだな? おれ様に披露してみないか?」
そう言ってバーンズは、自分の翼でケイティをつかみあげてしまったのだ。
「う……わ、わたしは、みんなを幸せにするために歌うの。あなたなんかに、歌うもんですか!」
「ぐへへへ。おまえたちがそう言ってられるのも、今のうちだぜ、ぐへへへ」
「お、おまえたち?」
バーンズの言葉に、ケイティは目を見開く。
「もしかして、ナバービ……お願い、どうかナバービには手をださないでっ!」
「それはどうかな、ぐへへ。おれ様に従う、その準備ができたら考えてやるよ」
すると突然、バーンズの目から、紫の光線が飛びだした。
「きゃあっ」
その光は、あっという間にケイティを包みこんでしまう。そしてケイティのまわりの雲が、みるみるうちに牢屋
となって、なんと彼女を閉じこめてしまったのだ。
「あ、アアっ、アー……」
「ぐへへ、おまえの歌声を奪いとってやったぜ」
喉を押さえたケイティに、バーンズはニヤリとすると、地上へと飛んでいったのだ。
「ヴィトは惑星フェニックスを破壊するつもりだ、くそ!」
おれは思わず、煙突望遠鏡のレンズを手のひらでたたく。
「ティム、落ちつくでやんす。こんなときこそ、本のメッセージを思いだすなりよ」
「メッセージ?」
そうつぶやくおれに、ヘンリは本の最後のページを開いて見せた。
「この星は、不死鳥のように強く美しく甦る、……そうか」
「ハリスさんも、きっとこのメッセージを信じて観測したなり。だから、ティムにだってできるでやんす! さあ、もういちど気を取りなおして、観測を再開するでやんす」
ヘンリの言葉にハッとすると、おれはもういちど、赤く燃える星に目をむけた。
★ ★ ★
巨大なふくろうのバーンズが、黄色い目を光らせながら、空中を旋回する。
大きな翼をはばたかせ、バーンズが雲にいる妖精を見つけて飛んでいった。
「ぐへへ、見つけたぜ!」
雲に降りたったバーンズが首をぐるりと回すと、妖精のケイティは叫び声をあげた。
「きゃあっ。あ……あなたは、誰なのっ?」
「ぐへへ、おれ様はな、この星の新しい支配者だよ」
「支配者? こ、この星に、そんな人は必要ないわっ。さっさと出てってよ!」
翼を広げて迫ってくるバーンズに、ケイティは小さな手足をバタバタさせた。
けれど、そんな妖精の小さな抵抗に、バーンズの身体はビクともしない。
「おまえは素晴らしい歌声をもっているそうだな? おれ様に披露してみないか?」
そう言ってバーンズは、自分の翼でケイティをつかみあげてしまったのだ。
「う……わ、わたしは、みんなを幸せにするために歌うの。あなたなんかに、歌うもんですか!」
「ぐへへへ。おまえたちがそう言ってられるのも、今のうちだぜ、ぐへへへ」
「お、おまえたち?」
バーンズの言葉に、ケイティは目を見開く。
「もしかして、ナバービ……お願い、どうかナバービには手をださないでっ!」
「それはどうかな、ぐへへ。おれ様に従う、その準備ができたら考えてやるよ」
すると突然、バーンズの目から、紫の光線が飛びだした。
「きゃあっ」
その光は、あっという間にケイティを包みこんでしまう。そしてケイティのまわりの雲が、みるみるうちに牢屋
となって、なんと彼女を閉じこめてしまったのだ。
「あ、アアっ、アー……」
「ぐへへ、おまえの歌声を奪いとってやったぜ」
喉を押さえたケイティに、バーンズはニヤリとすると、地上へと飛んでいったのだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
猫のお知らせ屋
もち雪
児童書・童話
神代神社に飼われている僕、猫の稲穂(いなほ)は、飼い主の瑞穂(みずほ)ちゃんの猫の(虫の)お知らせ屋になりました。
人間になった僕は、猫耳としっぽがあるからみずほちゃんのそばにいつもいられないけれど、あずき先輩と今日も誰かに為に走ってる。花火大会、お買い物、盆踊り毎日楽しい事がたくさんなのです!
そんな不思議な猫達の話どうぞよろしくお願いします
魔法使いアルル
かのん
児童書・童話
今年で10歳になるアルルは、月夜の晩、自分の誕生日に納屋の中でこっそりとパンを食べながら歌を歌っていた。
これまで自分以外に誰にも祝われる事のなかった日。
だが、偉大な大魔法使いに出会うことでアルルの世界は色を変えていく。
孤独な少女アルルが、魔法使いになって奮闘する物語。
ありがたいことに書籍化が進行中です!ありがとうございます。
【完結】宝石★王子(ジュエル・プリンス) ~イケメン水晶と事件解決!?~
みなづきよつば
児童書・童話
キラキラきらめく、美しい宝石たちが……
ニンゲンの姿になって登場!?
しかも、宝石たちはいろんな能力をもってるみたいで……?
宝石好き&異能力好きの方、必見です!!
※※※
本日(2024/08/24)完結しました!
よかったら、あとがきは近況ボードをご覧ください。
***
第2回きずな児童書大賞へのエントリー作品です。
投票よろしくお願いします!
***
<あらすじ>
小学五年生の少女、ヒカリはワケあってひとり暮らし中。
ある日、ヒカリのもっていたペンダントの水晶が、
ニンゲンの姿になっちゃった!
水晶の精霊、クリスと名乗る少年いわく、
宝石王子(ジュエル・プリンス)という宝石たちが目覚め、悪さをしだすらしい。
それをとめるために、ヒカリはクリスと協力することになって……?
***
ご意見・ご感想お待ちしてます!
鬼の子ツンツンと桃次郎物語
矢野 零時
児童書・童話
鬼ヶ島から逃げ出した鬼の子ツンツンと桃太郎の弟、桃次郎のお話です。流行病を始めいろいろなことが起こりますが、仲良くなった二人は大活躍をしてくれます。
冒険者ではない、世界一のトレジャーハンターになる!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」宝船竜也は先祖代々宝探しに人生を賭けるトレジャーハンターの家に生まれた。竜也の夢は両親や祖父母のような世界1番のトレジャーハンターになる事だ。だが41年前、曾祖父が現役の時代に、世界に突然ダンジョンが現れた。ダンジョンの中でだけレベルアップしたり魔術が使えたりする上に、現れるモンスターを倒すと金銀財宝貴金属を落とす分かって、世は大ダンジョン時代となった。その時代に流行っていたアニメやラノベの影響で、ダンジョンで一攫千金を狙う人たちは冒険者と呼ばれるようになった。だが、宝船家の人たちは頑なに自分たちはトレジャーハンターだと名乗っていた。
レスト:ランプ
昔懐かし怖いハナシ
児童書・童話
あるレストラン。普通のどこにでもあるものでした。しかし、その客の未来を告げる事が出来る店であった。
また、神出鬼没であり、良くない運命を持つ者の前にだけ現れる。
それを信じるか、またまた、信じずにこの先過ごすか、それはその人次第
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる