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決めました

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「ーーーーラメルーシェ、息をして」

    ウィル様の息遣いを間近に感じたと思った瞬間ーーーー私の唇に温かいなにかが触れた。

    ふぅっ……と、息を吹き込まれ、私の全身に温かいそれが駆け巡る。

「……んっ……は、ぁーーーーっ」

   その温かいなにかがウィル様の唇だと理解した時には私の体は酸素を求めて口を開き、生きるために必死に息を吸ったのだった。






「……ウィル、さ、ま……。私、生きて……?」

「大丈夫、生きてるよ。ほら、ゆっくり息を吸って……そう、とても上手だ」

    ちゅっ。と、音を立てて額に唇が落とされる。うっすらと視界が開ければ、ウィル様が優しい微笑みで私を見ていた。

「ーーーーウィル様……。私、わ、私……っ」

    ウィル様の顔を見たら、それまでの事が急に怖くなり涙が滲む。

    生きていた。私は生きていたのだ。

    今はそれが嬉しくて神に感謝した。さっきまで死んだとしても仕方ないと思っていたはずなのに、今はまったく逆だ。

    あのまま死んだら本当にウィル様に2度と会えなくなっていたかもしれなかった。いくら魂が転生しても会えない時があるとあんなに思い知っていたはずなのに。

「ウィル様……っ」

    それまで呼吸が止まっていたせいか息をする度に肺が痛い。だがその痛みも生きている証だと思えば苦ではなかった。だって、目の前に愛しい人がいて私を見つめてくれているのだから。

「……ウィル様、私はあの時の蝶です!そして七色の羽を持つ小鳥です!そのあとも、子猫や花の妖精に生まれ変わって……ずっと、あなたに出会う事だけを願っていたんです……!

   もう、離れるのは嫌……!」

    私はみっともなくも乱れた息のままウィル様にしがみついていた。

    でも魂の記憶を全て思い出してしまった。蝶も小鳥も子猫も花の妖精も、ただひたすらにウィル様に愛される事だけを願っていたのだから。

    自分がこんなにも欲深い人間だったのだと初めて認識したが、自分の魂がウィル様を求めているという事実が嬉しかった。

    私の全ては、魂の欠片すらもウィル様の物。それが嬉しくて仕方ない。

    私は息を途切れさせながら必死に前世の事を思い出したのだと伝えた。

    ずっとずっと、あなただけを愛しているとーーーー。


「大丈夫、わかっているから。今はゆっくりお休み、愛しいラメルーシェ」

    再び優しい口づけが唇に落とされる。

    好き。大好き……。

    私は生きて、彼の側にいる。そう決めたからーーーー。


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