上 下
16 / 58

学園は危険がいっぱい?!

しおりを挟む
    学園の寮に到着し無事に手続きを終えた私は部屋(女子寮だが親から許可の降りてる執事などは入っても大丈夫)を確認する。

 小さめのワンルームくらいあってお風呂とトイレ、ミニキッチン付き。部屋の中にさらに小さな別室があってそこはお付きの執事や侍女が寝起きする部屋だと教えられた。

 つまり、セバスチャンの寝姿を観賞しほうだ……ゲフンゲフン。夜這いかけほ……ゲフンゲフン。

「いかがわしいことやりたい放題ってことね!」

「大丈夫です。ちゃんとアイリ様を鎖で縛ってベットに繋いで身動きとれなくして、私の部屋を施錠してから寝ますから」

 執事スマイルのセバスチャンは荷物をほどき、さっさと並べていく。なんとも手際がよい。

「セバスチャンってそんな性癖だったっけ?どちらかといえば○○○ピー△△△ピーの方が……モガモガモガモガ」

 途中から口を手で塞がれてしまって息が苦しいかったが、とりあえず全部言い切ったとも!

「だから、どこからそんな情報を……」

 裏公式サイトのマニアック情報に乗ってました!あ、セバスチャンの額に怒りのマークが。これは怒ってらっしゃるようだ。いかんいかん、これからセバスチャンと甘い雰囲気を作っていかねばならないのに怒らせてしまっては台無しだ。
 手が離れて大きく呼吸をすると、私はしなりを作って甘えた声を出してみる。

「でも、毎日同じ部屋にいればその内私の事もそんな目で見るようになって、お風呂上がりに裸でバッタリとか着替え中の私を見て淫らな想像しちゃうとかあるかもよ?」

 セバスチャンが冷めた眼差しで私を見る。でもそんな氷点下な眼差しも素敵なのだが。

「ポロリもあるかも☆」

「それは、ポロリできる体型になってからおっしゃって下さい」

 女子から魅惑的なセリフが出たと言うのに、にっこり執事スマイルでスルーされてしまう。おかしい、ラッキースケベ的な方が好きなはずなのに。

「どうすれば私と結婚する気になってくれるのかしら」

「だから、興味を持てるように努力して下さいと言ったでしょう」

「じゃあ、ポロリの練習すればいい?……いひゃい、いひゃいーっ!」

 無言で両頬を引っ張られた。セバスチャンはなぜ怒っているのだろうか?

「まったく……」

 セバスチャンは私の頬から指を離すと右手で私の左腕をつかみ、左手で壁に手をつくと私の体を壁に押し付けるように密着させる。

「……!」

 か、壁ドン!されてる!しかもくっついてる!

 そして私の耳元に超絶イケメンボイスで囁いた。

「そんなことばかり言っていると、お仕置きするぞ……?」

 さらには吸血鬼様モードのイケメンセリフ!こんなご褒美に耐えられるはずもなく、私の腰はまたもや砕けたのだった。

 ヘナヘナと座り込んだ私を、またもやさっと抱き上げてベットにぽいっと転がすと、セバスチャンは何事も無かったかのように部屋を片付けていく。
 すぐ無表情になったセバスチャンの横顔がちょっぴり楽しそうにも見えた。


 しばらくして片付けが終わった頃、ドアがリズムよくノックされる。セバスチャンが対応すると、ルーちゃんが入ってきた。

「アイリちゃん!わたくし隣の部屋になれましたわ。……なんで寝ていますの?」

「あ、ルーちゃん。実は将来結婚してもらおうと思ってる執事を誘惑しようとしたら失敗しちゃって、逆に腰砕けにされたの!」

「まぁ、それは大変でしたのね」

 ルーちゃんは多少ずれてるので私がぶっちゃけ話をしても全然動じない大物だ。さすがはツンデレ悪役令嬢である。そんな私たちをセバスチャンが呆れた目で見てるが気にしません。

 私がセバスチャンを簡単に紹介する。ちなみにルーちゃんにはいつものボディーガードさんがついてきていた。この人は初めて会ったときからまったく見た目が変わらない美魔女ならぬ美魔男だ。

「セバスチャンと申します。いつもアイリ様がご迷惑おかけしてしまい申し訳ありません」

「アイリちゃんはわたくしの親友ですのよ。迷惑なんてとんでもないですわ。それとこちらはわたくしのボディーガードの者です、仲良くしてやって下さいませ」

「よろしくお願いいたします」

 ボディーガードさんが頭を下げる。事情があってボディーガードさんは他の人に名前を教えることが出来ないらしい。だから昔からボディーガードさんと呼んでいる。

「こちらこそ。アイリ様が幼い時からお世話になっているようで、いつもありがとうございます」

 なんだかセバスチャンとボディーガードさんが仲良さげになっている。ルーちゃんのボディーガードさんと仲良くなってくれるのはうれしいが、BL展開だけは阻止しなくてはとブツブツ考えていると、セバスチャンからの冷ややかな視線(執事スマイル)に気づき思わず目をそらした。

 なんだか考えてることが全部バレてる気がする。吸血鬼にそんな能力無かったはずなのだが、執事になりきってるセバスチャンは未知数だ。

「そうだ、ルーちゃん!明日は入学式だし、今のうちに校内を探索しようよ」

 入学式と共にゲームがスタートしてしまうし、フラグはへし折ったけどこのゲームの強制力(イベント)は侮れないので、今のうちに隠れ場所とか闇討ち場所とか確認しておきたい。

「あ、あら、そんなに一緒に行きたいなら行ってあげてもよろしくてよ?」

 相変わらずほんのりツンデレなルーちゃんの反応に悶えそうだ。

「じゃあ、行こう~」

「あ、お待ちくださ」

 セバスチャンが止める間もなくルーちゃんの手を引きながら勢いよくドアを押し開けると、ゴン!と衝撃音が響いた。

「……ドアの正面に誰かが立ってます」

 セバスチャンの冷めた声が聞こえたが、もう少し早く教えてほしかった。恐る恐る外を覗くと足元に人が転がっている。

「まぁ!この方は……!」

 私の後ろから顔を覗かせたルーちゃんがその人物を見て驚いた。もちろん私も驚いた。瞬時にパタンとドアを閉めて視線をドアからそらした。

「…………見なかったことにしよう!」

 それは、まったく会いたくなかった人物。ドアの外に転がっていたのは攻略対象者である、双子王子のどちらかであったからだ。(どっちかはわからなかった)

 入学式は明日なのに、なんで今日ここ(女子寮)に王子が現れるのよ――――?!


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています

葉柚
ファンタジー
婚約者の二股により婚約破棄をされた33才の真由は、突如異世界に飛ばされた。 そこはど田舎だった。 住む家と土地と可愛い3匹の猫をもらった真由は、猫たちに囲まれてストレスフリーなスローライフ生活を送る日常を送ることになった。 レコンティーニ王国は猫に優しい国です。 小説家になろう様にも掲載してます。

比翼連理の異世界旅

小狐丸
ファンタジー
前世で、夫婦だった2人が異世界で再び巡り合い手を取りあって気ままに旅する途中に立ち塞がる困難や試練に2人力を合わせて乗り越えて行く。

6年後に戦地から帰ってきた夫が連れてきたのは妻という女だった

白雲八鈴
恋愛
 私はウォルス侯爵家に15歳の時に嫁ぎ婚姻後、直ぐに夫は魔王討伐隊に出兵しました。6年後、戦地から夫が帰って来ました、妻という女を連れて。  もういいですか。私はただ好きな物を作って生きていいですか。この国になんて出ていってやる。  ただ、皆に喜ばれる物を作って生きたいと願う女性がその才能に目を付けられ周りに翻弄されていく。彼女は自由に物を作れる道を歩むことが出来るのでしょうか。 番外編 謎の少女強襲編  彼女が作り出した物は意外な形で人々を苦しめていた事を知り、彼女は再び帝国の地を踏むこととなる。  私が成した事への清算に行きましょう。 炎国への旅路編  望んでいた炎国への旅行に行く事が出来ない日々を送っていたが、色々な人々の手を借りながら炎国のにたどり着くも、そこにも帝国の影が・・・。  え?なんで私に誰も教えてくれなかったの?そこ大事ー! *本編は完結済みです。 *誤字脱字は程々にあります。 *なろう様にも投稿させていただいております。

中でトントンってして、ビューってしても、赤ちゃんはできません!

いちのにか
恋愛
はいもちろん嘘です。「ってことは、チューしちゃったら赤ちゃんできちゃうよねっ?」っていう、……つまりとても頭悪いお話です。 含み有りの嘘つき従者に溺愛される、騙され貴族令嬢モノになります。 ♡多用、言葉責め有り、効果音付きの濃いめです。従者君、軽薄です。 ★ハッピーエイプリルフール★ 他サイトのエイプリルフール企画に投稿した作品です。期間終了したため、こちらに掲載します。 以下のキーワードをご確認の上、ご自愛ください。 ◆近況ボードの同作品の投稿報告記事に蛇補足を追加しました。作品設定の記載(短め)のみですが、もしよろしければ٩( ᐛ )و

転生悪役令嬢、物語の動きに逆らっていたら運命の番発見!?

下菊みこと
恋愛
世界でも獣人族と人族が手を取り合って暮らす国、アルヴィア王国。その筆頭公爵家に生まれたのが主人公、エリアーヌ・ビジュー・デルフィーヌだった。わがまま放題に育っていた彼女は、しかしある日突然原因不明の頭痛に見舞われ数日間寝込み、ようやく落ち着いた時には別人のように良い子になっていた。 エリアーヌは、前世の記憶を思い出したのである。その記憶が正しければ、この世界はエリアーヌのやり込んでいた乙女ゲームの世界。そして、エリアーヌは人族の平民出身である聖女…つまりヒロインを虐めて、規律の厳しい問題児だらけの修道院に送られる悪役令嬢だった! なんとか方向を変えようと、あれやこれやと動いている間に獣人族である彼女は、運命の番を発見!?そして、孤児だった人族の番を連れて帰りなんやかんやとお世話することに。 果たしてエリアーヌは運命の番を幸せに出来るのか。 そしてエリアーヌ自身の明日はどっちだ!? 小説家になろう様でも投稿しています。

異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!

東導 号
ファンタジー
雑魚モブキャラだって負けない! 俺は絶対!前世より1億倍!幸せになる! 俺、ケン・アキヤマ25歳は、某・ダークサイド企業に勤める貧乏リーマン。 絶対的支配者のようにふるまう超ワンマン社長、コバンザメのような超ごますり部長に、 あごでこきつかわれながら、いつか幸せになりたいと夢見ていた。 社長と部長は、100倍くらい盛りに盛った昔の自分自慢語りをさく裂させ、 1日働きづめで疲れ切った俺に対して、意味のない精神論に終始していた。 そして、ふたり揃って、具体的な施策も提示せず、最後には 「全社員、足で稼げ! 知恵を絞り、営業数字を上げろ!」 と言うばかり。 社員達の先頭を切って戦いへ挑む、重い責任を背負う役職者のはずなのに、 完全に口先だけ、自分の部屋へ閉じこもり『外部の評論家』と化していた。 そんな状況で、社長、部長とも「業務成績、V字回復だ!」 「営業売上の前年比プラス150%目標だ!」とか抜かすから、 何をか言わんや…… そんな過酷な状況に生きる俺は、転職活動をしながら、 超シビアでリアルな地獄の現実から逃避しようと、 ヴァーチャル世界へ癒しを求めていた。 中でも最近は、世界で最高峰とうたわれる恋愛ファンタジーアクションRPG、 『ステディ・リインカネーション』に、はまっていた。 日々の激務の疲れから、ある日、俺は寝落ちし、 ……『寝落ち』から目が覚め、気が付いたら、何と何と!! 16歳の、ど平民少年ロイク・アルシェとなり、 中世西洋風の異世界へ転生していた…… その異世界こそが、熱中していたアクションRPG、 『ステディ・リインカネーション』の世界だった。 もう元の世界には戻れそうもない。 覚悟を決めた俺は、数多のラノベ、アニメ、ゲームで積み重ねたおたく知識。 そして『ステディ・リインカネーション』をやり込んだプレイ経験、攻略知識を使って、 絶対! 前世より1億倍! 幸せになる!  と固く決意。 素晴らしきゲーム世界で、新生活を始めたのである。 カクヨム様でも連載中です!

お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

あーもんど
恋愛
ある日、悪役令嬢に憑依してしまった主人公。 困惑するものの、わりとすんなり状況を受け入れ、『必ず幸せになる!』と決意。 さあ、第二の人生の幕開けよ!────と意気込むものの、人生そう上手くいかず…… ────えっ?悪役令嬢って、家族と不仲だったの? ────ヒロインに『悪役になりきれ』って言われたけど、どうすれば……? などと悩みながらも、真っ向から人と向き合い、自分なりの道を模索していく。 そんな主人公に惹かれたのか、皆だんだん優しくなっていき……? ついには、主人公を溺愛するように! ────これは孤独だった悪役令嬢が家族に、攻略対象者に、ヒロインに愛されまくるお語。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

処理中です...