16 / 69
第1章 婚約破棄の章
〈15〉断罪された男(エドガー視点)
しおりを挟む
あの後、俺は本当に喉を潰され奴隷として鉱山へ連れて行かれてしまった。まさかあんな怪しい薬を本当に俺に飲ませるなんて兄上は人の心を捨ててしまったのかと悲しくなった。
目隠しをされ手足を拘束される。荷馬車に詰め込まれたまま目的地に着くまでの長い距離を揺られ、何度も体をぶつけては呻いて訴えたが、付いてきてくれているはずの兄上はひと言も俺を心配する言葉など発しなかった。
ドサリと荷馬車から投げ捨てるように落とされ、頬に乾いた土を感じる。痛みと共にやっと目的地についたのだとわかった。
「ヴーッ!ヴゥーッ!」
目隠しを取られた。すると目の前に兄上がいて感情の無いような瞳で俺を見下ろしていたのだ。
俺は兄上に潰れた声で必死に俺の無実を訴えた。
「エドガー、よく聞け」
だが兄上は冷めた視線を向ける。それは今まで見たことの無いほどの冷たい目だった。
「お前のせいで、子爵家は終わりだ。いいか?あの馬鹿女の残した負債のせいで子爵家は傾きかけていた。それを伯爵が娘の婚約者の家の為だと支援してくれていたんだ。“これからも周りから辛辣な言葉をかけられるであろう娘を守ってくれるんだからこれくらいたいしたことない”と、税を上げなくて済むように物流の仕事まで回して下さっていた。
ただ、ロティーナ嬢の心の支えにさえなってくれればそれ以上は望まないと、勉強も出来ない後ろ楯もないお前を受け入れてくれたんだ。
それなのにお前は……お前が敬愛している母親はな、2度と子供たちと接触しないという条件で負債を子爵家に押し付けたんだぞ?浪費癖も酷かったが、“自分は子爵夫人だ”と領地での暴挙もさらに酷かった。父上はなんとか心を入れ替えて欲しいと説得したがとても無理で、だからお前が産まれた後すぐに離縁したんだ。
勘違いしないように言っておくがあの女から言ったんだからな?“負債を全て引き受けてくれるなら2度と子供たちなどには会わない”と。
わかったか?お前は母親に借金のカタに捨てられたんだ。そんなお前があの女の毒に染まり今度はロティーナ嬢を傷つけた。
返済はいらないと言われたが、きっと父上は今まで支援された金を返すつもりだ。なにがなんでもな。お前が作った借金に慰謝料も合わせれば途方も無い額になるだろう。
そして、その原因を作ったお前もお前をこんなクズにしたあの女も決して許さない。
だが、お前は運が良いよ。本当ならあの場でアレクサンドルト伯爵に八つ裂きにされていただろうに、伯爵はロティーナ嬢にそんな汚い物を見せたくないから我慢なされたんだ。
いいか?ロティーナ嬢は、いや、ロティーナ様は“聖女”だ。この国よりもはるかに大きい異国の聖女としてお勤めをされるんだ。もうお前のような者が視界にすら入れることは許されないお方になったんだよ。
例え偽りでも、ちゃんと婚約者として振る舞っていればお前は今まで聖女を守っていた騎士として栄誉を与えられていたのに残念だったな。
あの日、父上はその話で呼び出されていたんだ」
え?
兄上が何をいっているのかイマイチ頭に入ってこなかった。
母上が俺を捨てた?多大な負債を子爵家に押し付けた?
いや、だって母上は泣く泣く俺を父上に奪われたって……本当は引き取りたかったって……。
ロティーナが本物の聖女?俺は栄誉ある騎士になれたはずだった?
どうなってるんだ?訳がわからない。
「まぁ、実はお前が伯爵領で暴挙を働いていたと言う証拠や資料を使者の方が持ってきたのでどのみち騎士にはなれなかっただろうが……せめてロティーナ様に優しく接していればこんな結末にはならなかっただろうに」
俺の事が調べられていたってことか?
目を見開いたまま、ガクガクと震える俺を見て、兄上は呆れたようにため息をついた。
「何を驚いているんだ?当たり前だろう。聖女として迎え入れる方の婚約者なんだ。素行調査されるに決まってるじゃないか」
ということはアミィとの事もわかっているんだろう?そうだ、アミィに連絡をとってもらえばいいんだ!そうすれば、アミィはきっと俺を助けてくれる!
「ヴーッ!ヴゥーッ!」
兄上になんとかこの事を伝えようと必死に訴えたが、その訴えがこの冷酷に成り下がった兄上に伝わる事はなかったのだ。
「お前に言いたいことは山ほどあるが、これでお別れだエドガー。いや、もう名も無き奴隷だな。さようなら、弟だった男よ」
***
あれからどれくらいの時間が経ったのだろう?
鉱山での労働は想像以上に大変だった。
足には重い鎖をつけられ、休むことさえ許されない。食事だって酷いもんだ。石のように黒くて固いパンとまるで泥のような水なんてとてもじゃないが食えたものじゃなかった。
だが、次第にそんな固いパンすらも美味しいと感じるようになった頃、いつもと違う騒ぎが起こったのだ。
「うー……」
騒ぎの中心に近づくと、そこには項垂れたひとりの女が十字に組まれた木に張り付けられていた。
そしてその横にある板には『この者に石を投げつければ褒美にミルクのスープが貰える』と書いてあったのだ。
ミルクのスープ!以前はそんなもの貧乏人が食うものだと馬鹿にしていたが、今ではどんな宝石よりも素晴らしいと感じる。
すでに石を投げつけている奴らに混ざって俺も必死に石を投げた。
「ぎゃあっ!」
やった!顔に当たったぞ!これでスープが貰えると喜び視線を向け……俺は驚きのあまり次に投げようとしていた石を落としてしまう。
なんてことだ……あそこで石を投げられているのは、母上じゃないか?!
なぜ母上がこんなところに?!訳がわからなかったが、もしかしたら俺を助けるためにここへ来て捕まってしまったのではとも思った。
「ヴーッ!ヴーッ!」
急いで母上の元へ駆け寄りその体を揺らす。石は容赦なく投げられていて俺にも当たったが、今は母上が優先だ。
「お、お前は……エドガー……?」
「うーっ!」
母上もすぐ俺に気付いてくれた。あぁ、やはり母上は俺を愛してくれているのだ!俺を捨てたなんて、兄上が言った事はまちがーーーー
「さわんじゃないよ!この役立たずがぁっ!!」
「?!」
見たことの無いような恐ろしい形相の母上がそこにいた。
「お前のせいで捕まってしまった!せっかく伯爵家の財産を裏から自由にしてやろうと思ったのに、計画は丸潰れだ!お前がグズなせいでこっそりと裏でお前を操っていたことまでバレてしまったじゃないか……!
お前のせいだ!お前のせいだ!お前なんか産むんじゃなかった……!」
母上はいつも優しかった。離れて暮らしていても、いつもお前の事を考えているよと、お前はとても素晴らしい人間なのだから何をしても許されるんだよと、優しく教えてくれたのに……。
俺は頭が真っ白になり、フラフラと母上から離れた。時折石が当たり血が吹き出たが歩き続け……そして気づくとひときわ大きな石を担いで母上に投げつけていた。
あはぁ、今夜はご馳走だ。
目隠しをされ手足を拘束される。荷馬車に詰め込まれたまま目的地に着くまでの長い距離を揺られ、何度も体をぶつけては呻いて訴えたが、付いてきてくれているはずの兄上はひと言も俺を心配する言葉など発しなかった。
ドサリと荷馬車から投げ捨てるように落とされ、頬に乾いた土を感じる。痛みと共にやっと目的地についたのだとわかった。
「ヴーッ!ヴゥーッ!」
目隠しを取られた。すると目の前に兄上がいて感情の無いような瞳で俺を見下ろしていたのだ。
俺は兄上に潰れた声で必死に俺の無実を訴えた。
「エドガー、よく聞け」
だが兄上は冷めた視線を向ける。それは今まで見たことの無いほどの冷たい目だった。
「お前のせいで、子爵家は終わりだ。いいか?あの馬鹿女の残した負債のせいで子爵家は傾きかけていた。それを伯爵が娘の婚約者の家の為だと支援してくれていたんだ。“これからも周りから辛辣な言葉をかけられるであろう娘を守ってくれるんだからこれくらいたいしたことない”と、税を上げなくて済むように物流の仕事まで回して下さっていた。
ただ、ロティーナ嬢の心の支えにさえなってくれればそれ以上は望まないと、勉強も出来ない後ろ楯もないお前を受け入れてくれたんだ。
それなのにお前は……お前が敬愛している母親はな、2度と子供たちと接触しないという条件で負債を子爵家に押し付けたんだぞ?浪費癖も酷かったが、“自分は子爵夫人だ”と領地での暴挙もさらに酷かった。父上はなんとか心を入れ替えて欲しいと説得したがとても無理で、だからお前が産まれた後すぐに離縁したんだ。
勘違いしないように言っておくがあの女から言ったんだからな?“負債を全て引き受けてくれるなら2度と子供たちなどには会わない”と。
わかったか?お前は母親に借金のカタに捨てられたんだ。そんなお前があの女の毒に染まり今度はロティーナ嬢を傷つけた。
返済はいらないと言われたが、きっと父上は今まで支援された金を返すつもりだ。なにがなんでもな。お前が作った借金に慰謝料も合わせれば途方も無い額になるだろう。
そして、その原因を作ったお前もお前をこんなクズにしたあの女も決して許さない。
だが、お前は運が良いよ。本当ならあの場でアレクサンドルト伯爵に八つ裂きにされていただろうに、伯爵はロティーナ嬢にそんな汚い物を見せたくないから我慢なされたんだ。
いいか?ロティーナ嬢は、いや、ロティーナ様は“聖女”だ。この国よりもはるかに大きい異国の聖女としてお勤めをされるんだ。もうお前のような者が視界にすら入れることは許されないお方になったんだよ。
例え偽りでも、ちゃんと婚約者として振る舞っていればお前は今まで聖女を守っていた騎士として栄誉を与えられていたのに残念だったな。
あの日、父上はその話で呼び出されていたんだ」
え?
兄上が何をいっているのかイマイチ頭に入ってこなかった。
母上が俺を捨てた?多大な負債を子爵家に押し付けた?
いや、だって母上は泣く泣く俺を父上に奪われたって……本当は引き取りたかったって……。
ロティーナが本物の聖女?俺は栄誉ある騎士になれたはずだった?
どうなってるんだ?訳がわからない。
「まぁ、実はお前が伯爵領で暴挙を働いていたと言う証拠や資料を使者の方が持ってきたのでどのみち騎士にはなれなかっただろうが……せめてロティーナ様に優しく接していればこんな結末にはならなかっただろうに」
俺の事が調べられていたってことか?
目を見開いたまま、ガクガクと震える俺を見て、兄上は呆れたようにため息をついた。
「何を驚いているんだ?当たり前だろう。聖女として迎え入れる方の婚約者なんだ。素行調査されるに決まってるじゃないか」
ということはアミィとの事もわかっているんだろう?そうだ、アミィに連絡をとってもらえばいいんだ!そうすれば、アミィはきっと俺を助けてくれる!
「ヴーッ!ヴゥーッ!」
兄上になんとかこの事を伝えようと必死に訴えたが、その訴えがこの冷酷に成り下がった兄上に伝わる事はなかったのだ。
「お前に言いたいことは山ほどあるが、これでお別れだエドガー。いや、もう名も無き奴隷だな。さようなら、弟だった男よ」
***
あれからどれくらいの時間が経ったのだろう?
鉱山での労働は想像以上に大変だった。
足には重い鎖をつけられ、休むことさえ許されない。食事だって酷いもんだ。石のように黒くて固いパンとまるで泥のような水なんてとてもじゃないが食えたものじゃなかった。
だが、次第にそんな固いパンすらも美味しいと感じるようになった頃、いつもと違う騒ぎが起こったのだ。
「うー……」
騒ぎの中心に近づくと、そこには項垂れたひとりの女が十字に組まれた木に張り付けられていた。
そしてその横にある板には『この者に石を投げつければ褒美にミルクのスープが貰える』と書いてあったのだ。
ミルクのスープ!以前はそんなもの貧乏人が食うものだと馬鹿にしていたが、今ではどんな宝石よりも素晴らしいと感じる。
すでに石を投げつけている奴らに混ざって俺も必死に石を投げた。
「ぎゃあっ!」
やった!顔に当たったぞ!これでスープが貰えると喜び視線を向け……俺は驚きのあまり次に投げようとしていた石を落としてしまう。
なんてことだ……あそこで石を投げられているのは、母上じゃないか?!
なぜ母上がこんなところに?!訳がわからなかったが、もしかしたら俺を助けるためにここへ来て捕まってしまったのではとも思った。
「ヴーッ!ヴーッ!」
急いで母上の元へ駆け寄りその体を揺らす。石は容赦なく投げられていて俺にも当たったが、今は母上が優先だ。
「お、お前は……エドガー……?」
「うーっ!」
母上もすぐ俺に気付いてくれた。あぁ、やはり母上は俺を愛してくれているのだ!俺を捨てたなんて、兄上が言った事はまちがーーーー
「さわんじゃないよ!この役立たずがぁっ!!」
「?!」
見たことの無いような恐ろしい形相の母上がそこにいた。
「お前のせいで捕まってしまった!せっかく伯爵家の財産を裏から自由にしてやろうと思ったのに、計画は丸潰れだ!お前がグズなせいでこっそりと裏でお前を操っていたことまでバレてしまったじゃないか……!
お前のせいだ!お前のせいだ!お前なんか産むんじゃなかった……!」
母上はいつも優しかった。離れて暮らしていても、いつもお前の事を考えているよと、お前はとても素晴らしい人間なのだから何をしても許されるんだよと、優しく教えてくれたのに……。
俺は頭が真っ白になり、フラフラと母上から離れた。時折石が当たり血が吹き出たが歩き続け……そして気づくとひときわ大きな石を担いで母上に投げつけていた。
あはぁ、今夜はご馳走だ。
9
お気に入りに追加
765
あなたにおすすめの小説
辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~
サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
釣り合わないと言われても、婚約者と別れる予定はありません
しろねこ。
恋愛
幼馴染と婚約を結んでいるラズリーは、学園に入学してから他の令嬢達によく絡まれていた。
曰く、婚約者と釣り合っていない、身分不相応だと。
ラズリーの婚約者であるファルク=トワレ伯爵令息は、第二王子の側近で、将来護衛騎士予定の有望株だ。背も高く、見目も良いと言う事で注目を浴びている。
対してラズリー=コランダム子爵令嬢は薬草学を専攻していて、外に出る事も少なく地味な見た目で華々しさもない。
そんな二人を周囲は好奇の目で見ており、時にはラズリーから婚約者を奪おうとするものも出てくる。
おっとり令嬢ラズリーはそんな周囲の圧力に屈することはない。
「釣り合わない? そうですか。でも彼は私が良いって言ってますし」
時に優しく、時に豪胆なラズリー、平穏な日々はいつ来るやら。
ハッピーエンド、両思い、ご都合主義なストーリーです。
ゆっくり更新予定です(*´ω`*)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
【完結】私の婚約者は妹のおさがりです
葉桜鹿乃
恋愛
「もう要らないわ、お姉様にあげる」
サリバン辺境伯領の領主代行として領地に籠もりがちな私リリーに対し、王都の社交界で華々しく活動……悪く言えば男をとっかえひっかえ……していた妹ローズが、そう言って寄越したのは、それまで送ってきていたドレスでも宝飾品でもなく、私の初恋の方でした。
ローズのせいで広まっていたサリバン辺境伯家の悪評を止めるために、彼は敢えてローズに近付き一切身体を許さず私を待っていてくれていた。
そして彼の初恋も私で、私はクールな彼にいつのまにか溺愛されて……?
妹のおさがりばかりを貰っていた私は、初めて本でも家庭教師でも実権でもないものを、両親にねだる。
「お父様、お母様、私この方と婚約したいです」
リリーの大事なものを守る為に奮闘する侯爵家次男レイノルズと、領地を大事に思うリリー。そしてリリーと自分を比べ、態と奔放に振る舞い続けた妹ローズがハッピーエンドを目指す物語。
小説家になろう様でも別名義にて連載しています。
※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる