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それとこれとは別問題だ
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ぐーきゅるきゅるきゅる……ぐぅぅぅぅぅーーーーっ!
「……生きてはいるみたいだけど、どうしたらいいかしら」
とりあえず黒マントの下でプルプルしながら動いてはいるみたいだが、ただ単にお腹が空いて行き倒れてる人なのだろうか。
すると「ご、ごはん……」と小さな声が聞こえてきた。やはり空腹なだけの人のようだ。
「さっき買った携帯食ならあるけど、食べられ「ごぉはぁぁあぁーーーーん!」きゃあっ」
手に持っていた紙袋からさっきのお店で買った携帯食を取り出そうとガサゴソした途端、虫の息だった黒マントの人が私に向かって飢えた獣のように飛びかかってきたのだ。
それはまるで、時間がゆっくりと動いているかのように見えた。
ゆっくりとゆっくりと……少し泥で汚れた大きな手のひらが、私を捕らえようと近づいた瞬間ーーーー。
『ぴぎぃ!』『わん!』「ぎゃぁぁぁぁあ!?」
真っ黒マントの不審者(空腹)は、アンバーとフラムにめちゃくちゃお仕置きされていた。
うーん……。と、私は悩んでいた。
確かに急に襲われそうになり(携帯食を奪われそうになり)驚いたわけだが……。
アンバーがその不審者の足を咥えてぶんぶんと振り回し、フラムがその上半身を炎でこんがりと炙っている現状になんとなくデジャヴを感じつつ、やっぱり止めないとなー。なんて思うわけである。
まぁ、確かに突然襲いかかられて驚いたし、大人の男の人に襲いかかられた恐怖心がないわけではないからしばらくはその状況を見守っていたのだが、不審者なる真っ黒マントの男性の髪型が焦げてアフロになり黒い煙が燻ってきているとなるとこのままではいけない気がするわけだ。さすがに真っ黒焦げにするのはいただけない。
「アンバー、フラム!もう、そのへんで……」
アンバーとフラムを止めようと手を伸ばす。しかし、その手がアンバーに届く前に……アンバーとフラムの体は天高く吹っ飛ばされていたのだ。
「え?!」
私が驚きのあまり声をあげると、さっきまでこんがり炙られていた黒マントが仁王立ちし両手を天に向かって掲げたのである。
「オレのご飯を邪魔する奴らは許さぁぁぁん!!」
そう叫ぶと同時に男の手のひらが光り……その上に探し求めていた陣の模様が浮かび上がった。
そう、あれは……錬金術師が扱うという、“錬成陣”の模様だ!
私はそれを瞬時に確認し、動き出したーーーー。
「ちぇすとぉぉぉぉぉ!!」
「ごふっ?!」
風の魔法で高く飛び上がりアンバーとフラムを両手に抱きしめると、その勢いのまま黒マント男に向かって踵落としを御見舞いしたのである。踵は見事に顔面にクリーンヒットし、男は泡を吹いて気絶したのだった。
まったく!錬金術師だろうがなんだろうが、うちの子になにするのよ?!この子たちの安全が最優先です!
「……生きてはいるみたいだけど、どうしたらいいかしら」
とりあえず黒マントの下でプルプルしながら動いてはいるみたいだが、ただ単にお腹が空いて行き倒れてる人なのだろうか。
すると「ご、ごはん……」と小さな声が聞こえてきた。やはり空腹なだけの人のようだ。
「さっき買った携帯食ならあるけど、食べられ「ごぉはぁぁあぁーーーーん!」きゃあっ」
手に持っていた紙袋からさっきのお店で買った携帯食を取り出そうとガサゴソした途端、虫の息だった黒マントの人が私に向かって飢えた獣のように飛びかかってきたのだ。
それはまるで、時間がゆっくりと動いているかのように見えた。
ゆっくりとゆっくりと……少し泥で汚れた大きな手のひらが、私を捕らえようと近づいた瞬間ーーーー。
『ぴぎぃ!』『わん!』「ぎゃぁぁぁぁあ!?」
真っ黒マントの不審者(空腹)は、アンバーとフラムにめちゃくちゃお仕置きされていた。
うーん……。と、私は悩んでいた。
確かに急に襲われそうになり(携帯食を奪われそうになり)驚いたわけだが……。
アンバーがその不審者の足を咥えてぶんぶんと振り回し、フラムがその上半身を炎でこんがりと炙っている現状になんとなくデジャヴを感じつつ、やっぱり止めないとなー。なんて思うわけである。
まぁ、確かに突然襲いかかられて驚いたし、大人の男の人に襲いかかられた恐怖心がないわけではないからしばらくはその状況を見守っていたのだが、不審者なる真っ黒マントの男性の髪型が焦げてアフロになり黒い煙が燻ってきているとなるとこのままではいけない気がするわけだ。さすがに真っ黒焦げにするのはいただけない。
「アンバー、フラム!もう、そのへんで……」
アンバーとフラムを止めようと手を伸ばす。しかし、その手がアンバーに届く前に……アンバーとフラムの体は天高く吹っ飛ばされていたのだ。
「え?!」
私が驚きのあまり声をあげると、さっきまでこんがり炙られていた黒マントが仁王立ちし両手を天に向かって掲げたのである。
「オレのご飯を邪魔する奴らは許さぁぁぁん!!」
そう叫ぶと同時に男の手のひらが光り……その上に探し求めていた陣の模様が浮かび上がった。
そう、あれは……錬金術師が扱うという、“錬成陣”の模様だ!
私はそれを瞬時に確認し、動き出したーーーー。
「ちぇすとぉぉぉぉぉ!!」
「ごふっ?!」
風の魔法で高く飛び上がりアンバーとフラムを両手に抱きしめると、その勢いのまま黒マント男に向かって踵落としを御見舞いしたのである。踵は見事に顔面にクリーンヒットし、男は泡を吹いて気絶したのだった。
まったく!錬金術師だろうがなんだろうが、うちの子になにするのよ?!この子たちの安全が最優先です!
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