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25話 ガールズトーク その2
しおりを挟む「ところで、タイネーブは恋人は居るの?」
「私? ううん、居らへんよ」
「そっか……」
「どないしたん?」
タイネーブが怪訝な表情を見せたアイリーンの顔を覗きこんだ。彼女からすれば、他の候補の男性と付き合っていてほしかったというのが本音なのだ。
しかし、彼女に恋人は居なかった。そうなると、どうしてもシエルテの占い結果が頭を掠めてしまう。
「ところで……タイネーブさんは、アルガス伯爵にお会いするんですよね?」
本日のデートの開始の際、タイネーブの発していた言葉をミランダは思い出していた。
「うん、まあね。ゲシュタルト王国の貴族連中が圧政してるとか噂があるやん。その真偽の確認と事実ならなんとかしたいと思うてるねん。その為に、アルガス伯爵とはお近づきになっておこう思うてな」
屈託のない表情からは裏表のはい話が語られた。ミランダも最初からタイネーブのことは信用しているのか、母国のことを悪く言われても何も言い返さない。
アイリーンといてはゲームと同じ流れになっているようで安心はしていた。元々はバッドエンドを回避するのが目的なのだ。ゲームと同じ流れで進んだ場合、現在はアルガス伯爵側に居る彼女が没落することは考えられないことであった。
しかし、それとは別に、タイネーブがアルガス伯爵に近付くのは少し怖かった。占いの結果もあるからだ。
「すぐ近くに伯爵居るから、会うていうのも変な話やけど……まあ、私はただの冒険者やから、真剣な話の場合は伯爵のお屋敷に出向くのが礼儀やろ。案内してくれる?」
「ええ、わかったわ」
アルガス伯爵にタイネーブを近づけるのは怖かったアイリーンだが、断るわけにもいかなかった。ゲームと同じ流れにした方が無難だからだ。要は彼との仲を進展させていけば何の問題も起こらないというわけだ。彼ら二人はまだまだ他人も同然なのだから。
それに、アルガス伯爵自身はアイリーンに告白をしている。アルガスが浮気をすることは考えられない為に、アイリーンも安心はしていた。
「タイネーブさん。伯爵を誘惑することは禁止ですよ? あなたは美人ですが、伯爵は売約済みですので」
「わかってるて……そんな警戒せんでも大丈夫やよ」
ミランダは容赦なく言ってのけた。タイネーブの彼女に合わせるように返答する。
「ちょっとミランダ! タイネーブがそんなことするわけないでしょ?」
「わかっております。冗談とお受け取りください」
ミランダも舌を出して謝罪した。タイネーブも冗談とわかっているのか、怒っている様子はない。しかし……
「でも、誰とも付き合ってないのも事実やんな……」
タイネーブは二人に聞こえないように、静かに言葉を発していた。
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