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124話 ヴァンハイム王国 その1

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 新進気鋭の王国、ヴァンハイム……王国という体裁を持ってはいるが、国王そのものは存在していない。6将軍が王国の頭目であり、その中のリーダーが事実上のトップとなっていた……。


「リングス……アルビオン王国の者達が動き出したようだね」


「そうか……意外と早いようだな。我々に対する挑戦は尊敬に値するが」


 リングスと呼ばれた男は筋肉質な二の腕をむき出しにしており、二枚目の表情は険しくなっていた。白髪の短髪が特徴であり、すれ違った貴婦人の9割は思わず振り返るだろう外見をしている。


 リングス・カルカロフ……彼が6将軍の中のリーダーを務めている人物だ。冷静沈着な態度が目立つ、まさにリーダーに相応しい風貌をしていた。


 そんなリングスに話しかけている男は同じく6将軍の一人であり、参謀的な役割を担う人物だ。名前をヴェノム・マッカーシーという。丸いサングラスを掛けた細身の男であり、身長は軽く2メートルを超えていた。かなりアンバランスな体格をしている。


 片手には黒い本を持っており、読書を楽しんでいるようだった。


「ヤハハハハ、アルビオン王国の敵将は……天網評議会序列2位のネロのようだね」

「天網評議会か……」


 ヴェノムの言葉に、リングスは僅かな反応を見せる。天網評議会序列2位という肩書きは、冷静な彼の関心を買ったようだ。



「ヴェノム……」

「ああ、心配はないさ。既に6将軍の内のジルドとガウェインを向かわせている」


「アルビオン王国……北の大陸では、さらに強い者たちがいるようだが」



 6将軍のリーダーであるリングスの問いかけに、参謀であるヴェノムは怪しく笑っている。黒いサングラスを右手で軽く上げながら左手に持った本を読んでいるようだ。


「目先のネロ以外にも、排除すべき輩がいるというのか?」

「そうだね、リングス。我らに敵成す勢力は、案外多いかもしれない……」


 ヴェノムはリングスからの質問に、不適な笑みを浮かべていた。


「天網評議会率いる、アルビオン王国を初め、北の大陸には最強の冒険者チームのアルノートゥン、そして魔神の軍勢と呼ばれる勢力……我らが進むべき道は平坦ではないかもしれないね」


 ヴァンハイム王国の参謀役であるヴェノムの情報網には、既に魔神の軍勢の情報も入っているようだった。6将軍のリーダーであるリングスもそれに関しては敬意を示していた。


「ヴェノム……貴様が、リーダーをやった方が良いかもしれんな」

「まさか……我はそういうものには向いていない。あくまでも、参謀役が適任なのさ」


 そう言いながら、ヴェノムはかぶりを振る。


「アルビオン王国のネロか……どれほどの実力者か、見させてもらおう」


 ヴァンハイム王国の6将軍の内の2人と、その軍勢は既に派遣されている……アルビオン王国のネロとの衝突は間近に迫っていた……。
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