120 / 126
120話 作戦会議 その2
しおりを挟む
智司の話題の移行……そのことに敏感に反応を示したのはレドンドであった。元より、智司の館を守ることにかけては、誰よりも優れているという自負がある。それだけに、大きなプライドも持ち合わせているのだ。
「智司様……如何いたしましょうか?」
「そうだな……レドンドは今まで通り、広範囲の索敵をしつつ、侵入者が居たら排除してくれ。ゴーラは館周辺の見回りを頼む」
「了解、オデ、頑張る」
「ああ、頼むよ」
ゴーラは智司からの期待に応えることを嬉しく思っている。右手に持った棍棒を高く振り上げていた。
「グルルルルル……」
「ああ、ケルベロス達も周囲の索敵だな。それから、ジェシーを含む捕らえた者達の警戒も怠らないように」
「ワンッ!」
ケルベロスたちは「任せろ!」と言い、大きくやる気を見せていた。館内部の清掃が終わったのか、いつの間にかエルメス達も智司の前に現れている。
「あとは……ハズキはしばらく、館の守りに入ってくれ」
「畏まりました。ですが、仮面の道化師としての仕事はよろしいのでしょうか?」
「資金面の問題か。でも蓄え自体は十分にあるだろう?」
「そうですね……確かに資金面としては十分に貯まっております」
「なら、ハズキはしばらく留守番で」
「畏まりました」
智司としてはハズキを心配した形となっていた。彼女はダメージを負っていない為に、すぐに行動をさせても問題はない。だが、イメージ的にすぐに活動をさせるのは躊躇われたのだ。
「アリスと二人で館を守ってくれれば鬼に金棒だろう。アルノートゥンのメンバーが攻めて来たとしても安心だからな」
ハズキとアリス……智司の側近2名が同時に戦うことになれば、それこそ無敵と言えるのかもしれない。そのような事態はまさに天変地異と変わらない……魔神である智司以外では対処のしようがないのだから。
「は~~~い、智司様。ハズキちゃんと一緒に頑張りま~~~す!」
「頼むよ、アリス」
「はい! 任されました!」
智司はアリスの可愛い姿に頬を赤らめながら、彼女の頭を撫でていた。アリスは至福の表情、周囲の女性陣は眉間にしわが寄っている。気付いていないのは智司本人だけだ。アリスはちゃんと気付いており、周囲の女性陣に怪しい笑みを浮かべていた。
「……!!」
ハズキ、エステラ、ミヤビ、レジナ……彼女たちに喧嘩を売ることになったアリスという構図だ。レドンドも雰囲気が変化したことは察知しており、深いため息をついていた。
「よし……とりあえず、本拠地の主戦力はハズキとアリス、レドンドとゴーラが居れば十分だろう。エステラは変装してランシール学園に行ってもらって……」
智司は残っているミヤビとレジナの二人に視線を合わせた。主である智司からの支持を今か今かと待ち侘びている。アリスには負けられない……そんな感情を忍ばせながら……。
「レジナとミヤビの二人はソウルタワーに挑戦してもらいたい」
「えっ、ソウルタワー?」
「ソウルタワーってなんですの……?」
レジナは智司の護衛に戻れると思っていただけに、呆けたような表情をしていた。ミヤビはソウルタワーそのものを知らない為に、意味がわかっていない。ミヤビの為にも、智司はソウルタワーの説明から入るのだった……。
-----------------------------------------
「古代の神々の創りし塔……そんな奇怪な物があるんですねぇ」
「ああ、とりあえず頂上目指して戦ってくれるか?」
「うん、わかった」
ソウルタワーへの挑戦……そちらも並行して進めて行きたいと智司は考えていた。彼女達が攻略した階層までなら、エレベーターで向かうことができるのだから。アルノートゥンのメンバーは900階を超えている。出来るだけ短時間でそこまで到達したいと考えていた。
「まあ、単純に金稼ぎにもなるしね」
「デュラン・ウェンデッタに遭遇してしまった場合、どうしましょか?」
ミヤビは智司に質問した。戦闘能力10万を超える二人だ……デュラン一人が相手であれば、何とかなるというのがミヤビの考えではあるが。
「ミヤビとレジナの共闘であれば、戦っても問題はないかもしれないが……念の為、デュランとの戦闘は出来るだけ回避してくれ。向こうにとっても二人は強敵であることは間違いない。逃げに転じた状態で追って来ることはないだろう」
「わかりました、智司様。仰せの通りに致します」
ミヤビとレジナの二人にはソウルタワーに集中してもらいたかった。智司の意図を理解したミヤビはそれ以上は何も言わない。
主戦力の戦力配分はこれで完了だろうか……智司はエルメス達には通常通り、館の管理を任せ、ランシール学園に戻る決意を示した。
「智司様……如何いたしましょうか?」
「そうだな……レドンドは今まで通り、広範囲の索敵をしつつ、侵入者が居たら排除してくれ。ゴーラは館周辺の見回りを頼む」
「了解、オデ、頑張る」
「ああ、頼むよ」
ゴーラは智司からの期待に応えることを嬉しく思っている。右手に持った棍棒を高く振り上げていた。
「グルルルルル……」
「ああ、ケルベロス達も周囲の索敵だな。それから、ジェシーを含む捕らえた者達の警戒も怠らないように」
「ワンッ!」
ケルベロスたちは「任せろ!」と言い、大きくやる気を見せていた。館内部の清掃が終わったのか、いつの間にかエルメス達も智司の前に現れている。
「あとは……ハズキはしばらく、館の守りに入ってくれ」
「畏まりました。ですが、仮面の道化師としての仕事はよろしいのでしょうか?」
「資金面の問題か。でも蓄え自体は十分にあるだろう?」
「そうですね……確かに資金面としては十分に貯まっております」
「なら、ハズキはしばらく留守番で」
「畏まりました」
智司としてはハズキを心配した形となっていた。彼女はダメージを負っていない為に、すぐに行動をさせても問題はない。だが、イメージ的にすぐに活動をさせるのは躊躇われたのだ。
「アリスと二人で館を守ってくれれば鬼に金棒だろう。アルノートゥンのメンバーが攻めて来たとしても安心だからな」
ハズキとアリス……智司の側近2名が同時に戦うことになれば、それこそ無敵と言えるのかもしれない。そのような事態はまさに天変地異と変わらない……魔神である智司以外では対処のしようがないのだから。
「は~~~い、智司様。ハズキちゃんと一緒に頑張りま~~~す!」
「頼むよ、アリス」
「はい! 任されました!」
智司はアリスの可愛い姿に頬を赤らめながら、彼女の頭を撫でていた。アリスは至福の表情、周囲の女性陣は眉間にしわが寄っている。気付いていないのは智司本人だけだ。アリスはちゃんと気付いており、周囲の女性陣に怪しい笑みを浮かべていた。
「……!!」
ハズキ、エステラ、ミヤビ、レジナ……彼女たちに喧嘩を売ることになったアリスという構図だ。レドンドも雰囲気が変化したことは察知しており、深いため息をついていた。
「よし……とりあえず、本拠地の主戦力はハズキとアリス、レドンドとゴーラが居れば十分だろう。エステラは変装してランシール学園に行ってもらって……」
智司は残っているミヤビとレジナの二人に視線を合わせた。主である智司からの支持を今か今かと待ち侘びている。アリスには負けられない……そんな感情を忍ばせながら……。
「レジナとミヤビの二人はソウルタワーに挑戦してもらいたい」
「えっ、ソウルタワー?」
「ソウルタワーってなんですの……?」
レジナは智司の護衛に戻れると思っていただけに、呆けたような表情をしていた。ミヤビはソウルタワーそのものを知らない為に、意味がわかっていない。ミヤビの為にも、智司はソウルタワーの説明から入るのだった……。
-----------------------------------------
「古代の神々の創りし塔……そんな奇怪な物があるんですねぇ」
「ああ、とりあえず頂上目指して戦ってくれるか?」
「うん、わかった」
ソウルタワーへの挑戦……そちらも並行して進めて行きたいと智司は考えていた。彼女達が攻略した階層までなら、エレベーターで向かうことができるのだから。アルノートゥンのメンバーは900階を超えている。出来るだけ短時間でそこまで到達したいと考えていた。
「まあ、単純に金稼ぎにもなるしね」
「デュラン・ウェンデッタに遭遇してしまった場合、どうしましょか?」
ミヤビは智司に質問した。戦闘能力10万を超える二人だ……デュラン一人が相手であれば、何とかなるというのがミヤビの考えではあるが。
「ミヤビとレジナの共闘であれば、戦っても問題はないかもしれないが……念の為、デュランとの戦闘は出来るだけ回避してくれ。向こうにとっても二人は強敵であることは間違いない。逃げに転じた状態で追って来ることはないだろう」
「わかりました、智司様。仰せの通りに致します」
ミヤビとレジナの二人にはソウルタワーに集中してもらいたかった。智司の意図を理解したミヤビはそれ以上は何も言わない。
主戦力の戦力配分はこれで完了だろうか……智司はエルメス達には通常通り、館の管理を任せ、ランシール学園に戻る決意を示した。
0
お気に入りに追加
1,311
あなたにおすすめの小説
異世界に飛ばされたけど『ハコニワ』スキルで無双しながら帰還を目指す
かるぼな
ファンタジー
ある日、創造主と言われる存在に、理不尽にも異世界に飛ばされる。
魔獣に囲まれるも何とか生き延びて得たスキルは『ハコニワ』という、小人達の生活が見れる鑑賞用。
不遇スキルと嘆いていたそれは俺の能力を上げ、願いを叶えてくれるものだった。
俺は『ハコニワ』スキルで元の世界への帰還を目指す。
勇者を否定されて追放されたため使いどころを失った、勇者の証しの無駄遣い
網野ホウ
ファンタジー
「勇者じゃないと言われて追放されたので、帰り方が見つかるまで異世界でスローライフすることにした」から改題しました。
※小説家になろうで先行連載してます。
何の取り柄もない凡人の三波新は、異世界に勇者として召喚された。
他の勇者たちと力を合わせないと魔王を討伐できず、それぞれの世界に帰ることもできない。
しかし召喚術を用いた大司祭とそれを命じた国王から、その能力故に新のみが疎まれ、追放された。
勇者であることも能力のことも、そして異世界のことも一切知らされていない新は、現実世界に戻る方法が見つかるまで、右も左も分からない異世界で生活していかなければならない。
そんな新が持っている能力とは?
そんな新が見つけた仕事とは?
戻り方があるかどうか分からないこの異世界でのスローライフ、スタートです。
1人だった少年は貴族と出会い本当の自分を知っていく
杜薛雷
ファンタジー
前世、日本という国で暮らしていた記憶を持つ子供リディルは、知識を使って母親と二人、小さな村で暮らしていた。
しかし前世の知識はこの世界では珍しいもの。どこからか聞きつけた奴隷商人がリディルの元にやって来た。
リディルを奴隷にしようとやって来た商人からリディルを守った母親は殺され、リディルは魔物に襲われて逃げた。
逃げた森の中をさ迷い歩き、森を抜けたときリディルは自分の生き方を、人生を大きく変えることになる一人の貴族令嬢と出会う...
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この作品が初めての投稿なので不安しかないです。初めは順調に投稿出来ても後々詰まってしまうと思うのでそこは気長に待ってくれると嬉しいです。
誤字脱字はあると思いますが、読みにくかったらすいません。
感想もらえると励みになります。気軽にくれると有り難いです。
『独りぼっちの少年は上級貴族に拾われる』から改名しました
異世界転移! 幼女の女神が世界を救う!?
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
アイは鮎川 愛って言うの
お父さんとお母さんがアイを置いて、何処かに行ってしまったの。
真っ白なお人形さんがお父さん、お母さんがいるって言ったからついていったの。
気付いたら知らない所にいたの。
とてもこまったの。
隣国に売られるように渡った王女
まるねこ
恋愛
幼いころから王妃の命令で勉強ばかりしていたリヴィア。乳母に支えられながら成長し、ある日、父である国王陛下から呼び出しがあった。
「リヴィア、お前は長年王女として過ごしているが未だ婚約者がいなかったな。良い嫁ぎ先を選んでおいた」と。
リヴィアの不遇はいつまで続くのか。
Copyright©︎2024-まるねこ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる