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120話 作戦会議 その2

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 智司の話題の移行……そのことに敏感に反応を示したのはレドンドであった。元より、智司の館を守ることにかけては、誰よりも優れているという自負がある。それだけに、大きなプライドも持ち合わせているのだ。


「智司様……如何いたしましょうか?」

「そうだな……レドンドは今まで通り、広範囲の索敵をしつつ、侵入者が居たら排除してくれ。ゴーラは館周辺の見回りを頼む」

「了解、オデ、頑張る」

「ああ、頼むよ」


 ゴーラは智司からの期待に応えることを嬉しく思っている。右手に持った棍棒を高く振り上げていた。


「グルルルルル……」


「ああ、ケルベロス達も周囲の索敵だな。それから、ジェシーを含む捕らえた者達の警戒も怠らないように」


「ワンッ!」


 ケルベロスたちは「任せろ!」と言い、大きくやる気を見せていた。館内部の清掃が終わったのか、いつの間にかエルメス達も智司の前に現れている。




「あとは……ハズキはしばらく、館の守りに入ってくれ」

「畏まりました。ですが、仮面の道化師としての仕事はよろしいのでしょうか?」


「資金面の問題か。でも蓄え自体は十分にあるだろう?」

「そうですね……確かに資金面としては十分に貯まっております」

「なら、ハズキはしばらく留守番で」

「畏まりました」


 智司としてはハズキを心配した形となっていた。彼女はダメージを負っていない為に、すぐに行動をさせても問題はない。だが、イメージ的にすぐに活動をさせるのは躊躇われたのだ。


「アリスと二人で館を守ってくれれば鬼に金棒だろう。アルノートゥンのメンバーが攻めて来たとしても安心だからな」


 ハズキとアリス……智司の側近2名が同時に戦うことになれば、それこそ無敵と言えるのかもしれない。そのような事態はまさに天変地異と変わらない……魔神である智司以外では対処のしようがないのだから。


「は~~~い、智司様。ハズキちゃんと一緒に頑張りま~~~す!」

「頼むよ、アリス」

「はい! 任されました!」


 智司はアリスの可愛い姿に頬を赤らめながら、彼女の頭を撫でていた。アリスは至福の表情、周囲の女性陣は眉間にしわが寄っている。気付いていないのは智司本人だけだ。アリスはちゃんと気付いており、周囲の女性陣に怪しい笑みを浮かべていた。


「……!!」


 ハズキ、エステラ、ミヤビ、レジナ……彼女たちに喧嘩を売ることになったアリスという構図だ。レドンドも雰囲気が変化したことは察知しており、深いため息をついていた。


「よし……とりあえず、本拠地の主戦力はハズキとアリス、レドンドとゴーラが居れば十分だろう。エステラは変装してランシール学園に行ってもらって……」


 智司は残っているミヤビとレジナの二人に視線を合わせた。主である智司からの支持を今か今かと待ち侘びている。アリスには負けられない……そんな感情を忍ばせながら……。


「レジナとミヤビの二人はソウルタワーに挑戦してもらいたい」

「えっ、ソウルタワー?」

「ソウルタワーってなんですの……?」


 レジナは智司の護衛に戻れると思っていただけに、呆けたような表情をしていた。ミヤビはソウルタワーそのものを知らない為に、意味がわかっていない。ミヤビの為にも、智司はソウルタワーの説明から入るのだった……。



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「古代の神々の創りし塔……そんな奇怪な物があるんですねぇ」

「ああ、とりあえず頂上目指して戦ってくれるか?」

「うん、わかった」


 ソウルタワーへの挑戦……そちらも並行して進めて行きたいと智司は考えていた。彼女達が攻略した階層までなら、エレベーターで向かうことができるのだから。アルノートゥンのメンバーは900階を超えている。出来るだけ短時間でそこまで到達したいと考えていた。

「まあ、単純に金稼ぎにもなるしね」

「デュラン・ウェンデッタに遭遇してしまった場合、どうしましょか?」


 ミヤビは智司に質問した。戦闘能力10万を超える二人だ……デュラン一人が相手であれば、何とかなるというのがミヤビの考えではあるが。


「ミヤビとレジナの共闘であれば、戦っても問題はないかもしれないが……念の為、デュランとの戦闘は出来るだけ回避してくれ。向こうにとっても二人は強敵であることは間違いない。逃げに転じた状態で追って来ることはないだろう」


「わかりました、智司様。仰せの通りに致します」


 ミヤビとレジナの二人にはソウルタワーに集中してもらいたかった。智司の意図を理解したミヤビはそれ以上は何も言わない。



 主戦力の戦力配分はこれで完了だろうか……智司はエルメス達には通常通り、館の管理を任せ、ランシール学園に戻る決意を示した。


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