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62話 最強の冒険者 その1
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「さてさて、デュランよ。本日は朝まで飲むとしようかの。竜族を倒した祝いじゃ」
「好きにしろ」
デュランとシャルムの二人。智司の近くのテーブルに腰をかけた。
「アルノートゥン……やっぱ雰囲気からして違うな……」
「ええ、そうですね……気配だけでも伝わってきます」
ナイゼルとサラの二人も、アルノートゥンのメンバーが異常に強いことは看破していた。彼らはまだ知らないが、レッドドラゴンを倒すという偉業を達成している連中なのだ。
「どうかな? 智司くん?」
「ええ……」
智司はこの時、無意識の内に右腕が震えていることに気付いた。左腕で抑えるとすぐに止まったが、彼としても信じられないことだ。とてつもなく強い……智司の第一印象はそのようになっていた。ヴィンスヘルムの実力はレジナから聞いたばかりだ……まさか、人間でこれ程の実力者が居るとは……。
「……お頭よりも、強いのか……?」
ネリスもアルノートゥンのメンバーを見るなり、困惑を隠せないでいた。ジープロウダ内の話ではあるが、人類最強と言われているジオン・ラーデュイ。目の前の二人はそれ以上にも感じられていた。
「サラ、どないや? 天網評議会序列1位と比較して」
「評議会序列1位のランファーリ様は、召喚獣を生み出すことで有名な方です。比べることはできません。しかし個人としての能力であれば……負けているかもしれませんね」
大雑把な判断ではあるが、サラはそう言った。それほどまでに、アルノートゥンの二人の威圧感は凄かったのだ。
-----------------------
「サトシ様……あの人間は、危険」
「レジナ……お前もそう思うか?」
「うん。二人共強い」
智司は一旦、酒場の外へと出た。そこでレジナと会話をしている。
レドンドクラスの実力を誇るレジナもアルノートゥンの二人の強さを危険と判断していた。智司も先ほど、無意識の内に手が震えていた。人間状態では勝てる未来が見えない。
「サトシ様。あの人間は……この先、大きな障害になる」
的を射ているレジナの発言。智司はまだ知らないが、デュランは800階層のエリアボスである、レッドドラゴンを倒しているのだ。その経験を経て、彼はさらに強くなっている。
今までの中でもダントツで、危険人物と言えるだろう。間違いなくネロよりも強い。智司は出会ったことはないが、そのような確信を持っていた。
「すぐに始末しよう」
「いや……それは得策じゃない」
理由もなく戦いを挑むのは、智司としてもやりたくはない。侵入者として攻めて来た者達には情けをかける意味合いは薄いが。今後、脅威になる可能性があるというだけで戦いを挑むわけにはいなかい。相手の真の実力もわかっていないのだ。
「それにあの二人はレジナでも勝てるかわからない相手だ。まだ敵対はしていない以上、様子を見よう」
「……わかった」
レジナは素直に智司の足下へと消えて行った。レジナを宥めることは出来たが、あの二人とは今後戦う可能性も高い……その時の為にも情報を多く得るに越したことはない。智司はここで出会えたことをむしろチャンスと踏んでいた。
カシムもアルノートゥンとの挨拶は奨励しているほどだ。智司は彼らと知り合っておくことは非常に重要と考え、その為の行動を起こすことを決意した。
「好きにしろ」
デュランとシャルムの二人。智司の近くのテーブルに腰をかけた。
「アルノートゥン……やっぱ雰囲気からして違うな……」
「ええ、そうですね……気配だけでも伝わってきます」
ナイゼルとサラの二人も、アルノートゥンのメンバーが異常に強いことは看破していた。彼らはまだ知らないが、レッドドラゴンを倒すという偉業を達成している連中なのだ。
「どうかな? 智司くん?」
「ええ……」
智司はこの時、無意識の内に右腕が震えていることに気付いた。左腕で抑えるとすぐに止まったが、彼としても信じられないことだ。とてつもなく強い……智司の第一印象はそのようになっていた。ヴィンスヘルムの実力はレジナから聞いたばかりだ……まさか、人間でこれ程の実力者が居るとは……。
「……お頭よりも、強いのか……?」
ネリスもアルノートゥンのメンバーを見るなり、困惑を隠せないでいた。ジープロウダ内の話ではあるが、人類最強と言われているジオン・ラーデュイ。目の前の二人はそれ以上にも感じられていた。
「サラ、どないや? 天網評議会序列1位と比較して」
「評議会序列1位のランファーリ様は、召喚獣を生み出すことで有名な方です。比べることはできません。しかし個人としての能力であれば……負けているかもしれませんね」
大雑把な判断ではあるが、サラはそう言った。それほどまでに、アルノートゥンの二人の威圧感は凄かったのだ。
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「サトシ様……あの人間は、危険」
「レジナ……お前もそう思うか?」
「うん。二人共強い」
智司は一旦、酒場の外へと出た。そこでレジナと会話をしている。
レドンドクラスの実力を誇るレジナもアルノートゥンの二人の強さを危険と判断していた。智司も先ほど、無意識の内に手が震えていた。人間状態では勝てる未来が見えない。
「サトシ様。あの人間は……この先、大きな障害になる」
的を射ているレジナの発言。智司はまだ知らないが、デュランは800階層のエリアボスである、レッドドラゴンを倒しているのだ。その経験を経て、彼はさらに強くなっている。
今までの中でもダントツで、危険人物と言えるだろう。間違いなくネロよりも強い。智司は出会ったことはないが、そのような確信を持っていた。
「すぐに始末しよう」
「いや……それは得策じゃない」
理由もなく戦いを挑むのは、智司としてもやりたくはない。侵入者として攻めて来た者達には情けをかける意味合いは薄いが。今後、脅威になる可能性があるというだけで戦いを挑むわけにはいなかい。相手の真の実力もわかっていないのだ。
「それにあの二人はレジナでも勝てるかわからない相手だ。まだ敵対はしていない以上、様子を見よう」
「……わかった」
レジナは素直に智司の足下へと消えて行った。レジナを宥めることは出来たが、あの二人とは今後戦う可能性も高い……その時の為にも情報を多く得るに越したことはない。智司はここで出会えたことをむしろチャンスと踏んでいた。
カシムもアルノートゥンとの挨拶は奨励しているほどだ。智司は彼らと知り合っておくことは非常に重要と考え、その為の行動を起こすことを決意した。
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