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3話 デート その1

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 ひょんなことからデートをすることになった二人。冒険者パトリックと、侯爵令嬢兼、冒険者のエルザだ。二人はバルト王国の王都の中央通りを歩いている。

 本格的なデートと言えるかは不明ではあるが、周囲からはカップルと認定されている節があった。

 金髪のロングストレートが魅力的なエルザ・マッカーシー17歳。隣を歩くパトリック・ジーンも17歳の少年だ。彼は白髪の髪を短く切っており、目は細く繊細な印象を与えているが二枚目な高身長の持ち主ではあった。なかなか美男美女カップルということが出来る。


「でもさ、エルザって侯爵令嬢なんだよね?」

「……そうだけど?」

 二人はホットドックを買って歩きながら食べていた。今現在は照れ臭さはなくなり、いつもの二人に戻っている。


「冒険者として街中をうろうろしててもいいの? 護衛とかも居ないみたいだけど」

「私は魔法使えるし、実力的には信頼されてるから。万が一の緊急回避アイテムもあるし」

「そっか、ならいいんだけど」

「それに……侯爵令嬢って言っても所詮は女だしね。そこまで重要視はされていないわ」


 エルザは少しだけ寂しそうな表情をした。彼女のマッカーシー家は何人かの令嬢がおり、エルザの姉も二人いる。そういう意味でも、彼女自身の重要性は薄くなっているのだ。

「ミュヘル第二王子と婚約出来た時はびっくりしたけどね」

 王族であり、王位継承権第二位の存在。そんな上の存在に認められた時、彼女はとても舞い上がっていた。しかし、それも今では破談になり現在に至っている。


「こういうことを聞くのは野暮だけどさ」

「なに?」

「エルザは王子のことが好きだったの?」


 ホットドックを食べているエルザの脚が止まった。予想外の質問をされたからだ。


「……好きというわけではなかったと思う。憧れてはいたけど……そんなに付き合いもなかったし」


 マスターのギルシャは王子には曰くがあると言っていた。エルザ自身はその事実を知らないが、彼女が婚約破棄をされたことは、彼女の幸せにも繋がっている。


「そっか。よかったよ」

「えっ? なにが?」

 パトリックは思わず出てしまった言葉を訂正するように口を塞いだ。しかし、もう遅い……エルザからの追及は必至だ。


「ちょっと、パトリック! 今のどういう意味か説明してよ。よかったって何が? ねえ」

「あ~~……。と、とにかく装備見に行こうよ! うん!」

「話し逸らしてもダメだからね? ちゃんと答えてくれるまで、終わらないんだから!」

 自然と上機嫌になっているエルザの追及はその後も続いた。最早、周囲からはカップル同士のじゃれ合い以外には見えていなかったという。
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