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4話 カラオケ その1
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同級生の隆也と美由紀と一緒に、流れでやってきたカラオケボックス。通常の高校生であれば、現代でも定番の遊び場の一つと言えるだろうか。
昔から歌に関してはそれほど上手くもなかった智司。というより、転生以前は勉強もスポーツも得意な物は特になかった。魔神の力に目覚めたことで、劇的なる身体能力を手にした彼ではあるが……
「───♪!!」
「智司……さん」
ハズキはなんとなく様を付けることは避けた方がよいと考え、「さん」付けに変更していた。音楽のことはよくわからない彼女ではあるが、そこまで上手く歌っていないことは理解している。それでも、智司を見つめる瞳に微塵の変化もなかったが。
「なあ、美由紀。どうよあれ」
「へたくそ。録音してやろっと」
隆也と美由紀の二人は智司の歌を聞いて笑い者にしていた。美由紀に至っては、スマホで録音までする始末だ。隆也の方はともかく、美由紀の方はなかなかの美貌を誇っており、ハズキ程ではないがスタイルも悪くない。可愛いければ何をしても許される心境に陥っているのかもしれない。
智司の歌は5分以上続く長いものだった。有名な歌だけにネタにもなりやすい。テーブルにあるフリードリンクを飲みながら、ハズキは聞き入っていた。
「なあなあ、ハズキちゃん!」
馴れ馴れしくハズキの名前を呼び、隣に座って来る隆也。お近づきになりたい欲望は彼女にも伝わっている。
「ハズキちゃんって何歳? 学校はどこに行ってるの?」
「……なぜあなたに答えないといけないのかしら? 智司さんの歌を聴いているの、黙っててもらえる?」
「あんな下手くそな歌、どうでもいいじゃん。それよりもさ……」
「……」
ハズキはそれ以上、男と話そうとはしない。隆也はそれから何度か話題を振るが、完全に居ない物として扱われていた。早くも隆也の計画は頓挫した形となる……。
---------------------
「────♪」
智司は歌を唄いながら、ハズキと隆也のやり取りを見ていた。どう見ても全く相手にされていない隆也の図だが、智司はもやもやとした気持ちを抱えてしまっている。
ハズキが智司以外の男に靡くことなどあり得ない。この確信の根拠は、単純に彼女を信頼しているということもあるが、それ以上に本能が告げていた。
自らが生み出した少女……血こそ繋がってはいないが、肉親以上の絆がある。
そういった確信とは違うところでの嫉妬の感情か……智司はハズキが隆也と並んで座っているだけでも、そんな感情を持ってしまったのだ。相手がハズキだからなのか、まだ彼の中でも答えは出ていない。
智司は隆也や美由紀が昔、自分を虐めていたことなどどうでもよかったが、ハズキと話している隆也はぶっ飛ばしたい衝動に駆られていた。
---------------------
「隆也の奴、阿呆過ぎ。ウケる」
ハズキに陽気に話しかける隆也だが、ほぼ無視の状態。美由紀はそんな隆也を見て笑っていた。ハズキが智司に夢中なのは明らかであり、ただの友達でないことも見抜いている。
隆也と美由紀は付き合っておらず、ただの遊び友達だ。美由紀としては隆也などはどうでもよく、その場を楽しむことを重視している。あんな美人を虜にしている智司に、彼女の興味は移っていた。
見た目としては変化があるようには見えない。顔だって隆也の方が勝っているだろう。となると雰囲気か……ハズキという美少女を惹きつけている魅力は相当なもののはず。美由紀はそれを突き止めようと、智司を見ていた。
昔から歌に関してはそれほど上手くもなかった智司。というより、転生以前は勉強もスポーツも得意な物は特になかった。魔神の力に目覚めたことで、劇的なる身体能力を手にした彼ではあるが……
「───♪!!」
「智司……さん」
ハズキはなんとなく様を付けることは避けた方がよいと考え、「さん」付けに変更していた。音楽のことはよくわからない彼女ではあるが、そこまで上手く歌っていないことは理解している。それでも、智司を見つめる瞳に微塵の変化もなかったが。
「なあ、美由紀。どうよあれ」
「へたくそ。録音してやろっと」
隆也と美由紀の二人は智司の歌を聞いて笑い者にしていた。美由紀に至っては、スマホで録音までする始末だ。隆也の方はともかく、美由紀の方はなかなかの美貌を誇っており、ハズキ程ではないがスタイルも悪くない。可愛いければ何をしても許される心境に陥っているのかもしれない。
智司の歌は5分以上続く長いものだった。有名な歌だけにネタにもなりやすい。テーブルにあるフリードリンクを飲みながら、ハズキは聞き入っていた。
「なあなあ、ハズキちゃん!」
馴れ馴れしくハズキの名前を呼び、隣に座って来る隆也。お近づきになりたい欲望は彼女にも伝わっている。
「ハズキちゃんって何歳? 学校はどこに行ってるの?」
「……なぜあなたに答えないといけないのかしら? 智司さんの歌を聴いているの、黙っててもらえる?」
「あんな下手くそな歌、どうでもいいじゃん。それよりもさ……」
「……」
ハズキはそれ以上、男と話そうとはしない。隆也はそれから何度か話題を振るが、完全に居ない物として扱われていた。早くも隆也の計画は頓挫した形となる……。
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「────♪」
智司は歌を唄いながら、ハズキと隆也のやり取りを見ていた。どう見ても全く相手にされていない隆也の図だが、智司はもやもやとした気持ちを抱えてしまっている。
ハズキが智司以外の男に靡くことなどあり得ない。この確信の根拠は、単純に彼女を信頼しているということもあるが、それ以上に本能が告げていた。
自らが生み出した少女……血こそ繋がってはいないが、肉親以上の絆がある。
そういった確信とは違うところでの嫉妬の感情か……智司はハズキが隆也と並んで座っているだけでも、そんな感情を持ってしまったのだ。相手がハズキだからなのか、まだ彼の中でも答えは出ていない。
智司は隆也や美由紀が昔、自分を虐めていたことなどどうでもよかったが、ハズキと話している隆也はぶっ飛ばしたい衝動に駆られていた。
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見た目としては変化があるようには見えない。顔だって隆也の方が勝っているだろう。となると雰囲気か……ハズキという美少女を惹きつけている魅力は相当なもののはず。美由紀はそれを突き止めようと、智司を見ていた。
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