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第二話
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――――そして、冒頭に戻る。
とーてーもやばい。非常にやばい。今ならライオンに見つかったシマウマの気持ちが痛いほどわかる。しかも♂と♀である。最早ブラックアウトしたい。
今私はカウンターから一番近い本棚の陰に隠れている。呼吸するのも二十秒に一回で必死に気配殺してたのに何故バレた。空気と同化するのが特技のはずだったのに……。これから何に対してアイデンティティーを見出せばいいの?お先真っ暗だよ、このやろう。
「みーつけた。」
「ヒュッ……ゲホッゲホッ!!!」
「え、ちょ、大丈夫?!」
「ゲホッ……だい、じょ、ぶ、です」
やっちまったあああ!!!突然の登場に変に息吸ったのがまずかった。恥ずかしすぎる!!
「あー、びっくりした。って、背後からいきなり声かけられたらそっちの方がびっくりするか。ごめんね。本当に大丈夫?」
「大丈夫、です。すいません、ありがとうございます」
「ならいいんだけど……。出てきてって言ったのに反応なしだったから、我慢できなくて俺が来たんだけどなあ」
ギクッ。やばい、すっかり忘れてた。ねずみ呼ばわりされてたんだ。ブラックなオーラが見えるのは気のせいですか。
さっきは見えなかったけど、さすが告白されるだけのことはある。かなりのイケメンさんだ。さらりとした黒髪はそこいらの女子よりか艶がある。形のいい眉に髪と同じ黒い、切れ長の瞳。淡く色づいた薄い唇。ま、眩しい……!後光が見える!!
ネクタイの色が赤ってことは二年生か。私は青で一年だから先輩ということになる。敬語で良かった。
「あ、あの、決して盗み聞きをするつもりはなくてですね。私、図書委員をやっていて今日当番だったんです。それでここにいたら、先輩方がいらっしゃったので邪魔しないようにと思い……」
とても言い訳がましいが、事実である。よって、私は悪くない!断じて!
「……ふーん。図書委員なんだ。お疲れ様」
ニコッと笑う先輩の周りに花が見える。美形な人のスマイルはすごいな。破壊力がまるで違う。
「あ、ありがとうございます。先輩は何か本、借り……ますか?」
「いや、普段は滅多に図書室来ないし。今日は仕方なく来ただけだから」
「そう、ですか。じゃあ、私が鍵を締めるので今のうちに出てもらって大丈夫ですか?」
「うん、いいよ。その代わり、君の名前教えてくれる?」
「えっ」
なんで名前。教えたくねえ。これからこの人と関わる可能性ほぼないし。もし関わったらめんどくさい臭いがプンプンする。主に女子関連。絶対に嫌だ。
「す、鈴木 香奈子です」
「かなこちゃんか。俺は花風 響。響く、って書いて響ね。よろしく、かなこちゃん」
「……」
超絶よろしくしたくない。だがしかし、佐藤に抜かりはなかった。私は鈴木でもなければ香奈子でもない。名前くらいどうってことないことかもしれないが、念のためである。まあこんな美男子が村人Dな私と接触する機会は今後二度とないだろう。盗み聞きみたいになったのもながしてくれたみたいだし。これでお別れだ。
「私はカウンターの片付けがあるので。それでは失礼し、ま……?!」
突然、右腕を強い力で引っ張られた。顔を上げると至近距離に先輩の顔が。顔、が……?顔があああ?!!?!
ちゅっ。
「見物料、ね。ご馳走様」
ぺろりと自身の唇を舐めた先輩は、くるりと身を翻し鼻歌交じりに図書室を出て行った。
「なーーーにが見物料だああああ!!!!!!!」
今、ゴングが鳴り響きました。
とーてーもやばい。非常にやばい。今ならライオンに見つかったシマウマの気持ちが痛いほどわかる。しかも♂と♀である。最早ブラックアウトしたい。
今私はカウンターから一番近い本棚の陰に隠れている。呼吸するのも二十秒に一回で必死に気配殺してたのに何故バレた。空気と同化するのが特技のはずだったのに……。これから何に対してアイデンティティーを見出せばいいの?お先真っ暗だよ、このやろう。
「みーつけた。」
「ヒュッ……ゲホッゲホッ!!!」
「え、ちょ、大丈夫?!」
「ゲホッ……だい、じょ、ぶ、です」
やっちまったあああ!!!突然の登場に変に息吸ったのがまずかった。恥ずかしすぎる!!
「あー、びっくりした。って、背後からいきなり声かけられたらそっちの方がびっくりするか。ごめんね。本当に大丈夫?」
「大丈夫、です。すいません、ありがとうございます」
「ならいいんだけど……。出てきてって言ったのに反応なしだったから、我慢できなくて俺が来たんだけどなあ」
ギクッ。やばい、すっかり忘れてた。ねずみ呼ばわりされてたんだ。ブラックなオーラが見えるのは気のせいですか。
さっきは見えなかったけど、さすが告白されるだけのことはある。かなりのイケメンさんだ。さらりとした黒髪はそこいらの女子よりか艶がある。形のいい眉に髪と同じ黒い、切れ長の瞳。淡く色づいた薄い唇。ま、眩しい……!後光が見える!!
ネクタイの色が赤ってことは二年生か。私は青で一年だから先輩ということになる。敬語で良かった。
「あ、あの、決して盗み聞きをするつもりはなくてですね。私、図書委員をやっていて今日当番だったんです。それでここにいたら、先輩方がいらっしゃったので邪魔しないようにと思い……」
とても言い訳がましいが、事実である。よって、私は悪くない!断じて!
「……ふーん。図書委員なんだ。お疲れ様」
ニコッと笑う先輩の周りに花が見える。美形な人のスマイルはすごいな。破壊力がまるで違う。
「あ、ありがとうございます。先輩は何か本、借り……ますか?」
「いや、普段は滅多に図書室来ないし。今日は仕方なく来ただけだから」
「そう、ですか。じゃあ、私が鍵を締めるので今のうちに出てもらって大丈夫ですか?」
「うん、いいよ。その代わり、君の名前教えてくれる?」
「えっ」
なんで名前。教えたくねえ。これからこの人と関わる可能性ほぼないし。もし関わったらめんどくさい臭いがプンプンする。主に女子関連。絶対に嫌だ。
「す、鈴木 香奈子です」
「かなこちゃんか。俺は花風 響。響く、って書いて響ね。よろしく、かなこちゃん」
「……」
超絶よろしくしたくない。だがしかし、佐藤に抜かりはなかった。私は鈴木でもなければ香奈子でもない。名前くらいどうってことないことかもしれないが、念のためである。まあこんな美男子が村人Dな私と接触する機会は今後二度とないだろう。盗み聞きみたいになったのもながしてくれたみたいだし。これでお別れだ。
「私はカウンターの片付けがあるので。それでは失礼し、ま……?!」
突然、右腕を強い力で引っ張られた。顔を上げると至近距離に先輩の顔が。顔、が……?顔があああ?!!?!
ちゅっ。
「見物料、ね。ご馳走様」
ぺろりと自身の唇を舐めた先輩は、くるりと身を翻し鼻歌交じりに図書室を出て行った。
「なーーーにが見物料だああああ!!!!!!!」
今、ゴングが鳴り響きました。
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