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事実と憶測のすりあわせのお時間です。 9
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「私からは以上です」
「ありがとうございますですじゃ!!」
言って頭を下げたラムセスさんへ感極まったのだろうフリストさんが、ものすごい勢いで手を叩いている。
オーシャンの方々も、「これが真実!!」とばかりに手を叩いている。
一安心と、視線を子供たちにずらせば、え!?どしたの!?
なんとアルゴスくんがしょんぼりとした顔をしていたのだ。
え??ほんとにどした!?
「ママ、ごめん。俺、悪い子だから、今知りたい。教えてもらっても良い??」
「アルゴス、なんで悪い子??」
「お話、ケーチョーできないから」
なぬ!?傾聴できないってしてたよ!?アルゴスくんもマルケスくんも!!
ただ、今回はわいた好奇心と疑問がそれを上回っただけで。
視線を回せば、この場の全員が「子供たちを優先して」と思ってくれているのか、大きく一つ頷いてくれた。
始祖様もリオさんもだ。
みんなの優しさに嬉しくなって、アルゴスくんとマルケスくんをギュッと抱き締める。
「皆様、少しだけ私たちにお時間、頂けますか?」
「もちろんですじゃ」
「ああ。我々も聞いて良い話なんだろう?」
フリストさんは勢いよく、王様はなぜか遠慮がちに聞いてくるので「もちろんです」と答えてから、外交用の物言いではなく、あえて二人へいつも通りの接し方にする。
「はい。では……。アルゴスくんが判らなかったのは、ラムセスさんの武術のお話からじゃないかな??」
「そうっ!!」
「はい。そうなの!!ラムセスがね??イールとイースに『では!!』って実験したらバーンって飛んでったの。て、動物のキャー!!がいっぱいだったのも見たけど、なんでかは判らなかったの」
「そう。で、ママのお話、頑張って聞いてるけど、やっぱり頭がボカンってなったのは俺がバカだから??」
「実験を見てたのに判らなかったんだ」とヒックヒックとしゃくり上げながらいうアルゴスくんの言葉を即座に否定する。
「違うよ。ごめんね。オトナのお話だったから、難しいだけ。アルゴスくんはおバカじゃないよ。おバカっていうのはね??自分の気持ちに蓋をして、判らないのに判った!!って言ってへなちょこオトナになるのも平気ってことだよ」
「そうだよ!!アルゴス!!判らないのを聞くこともお勉強って前にママが言ってたでしょ!?判んないですっていう勇気あるから、アルゴスはバカじゃないよ」
「ん。ありがと。ママ、なんでラムセスは、バーンって飛んでったの??」
「殺気、かな??殺気なんですね??あのね??ラムセスさんは実験の時に『イールとイースをやっつける!!』って、本気で思って向かっていったんだって」
ラムセスさんに「ぶつけたのは殺気ですか??」と聞けば、口パクで「そうです」と返された。
そして、『まだまだなんだか判りません』と大きく顔に書いてあるアルゴスくんに向けて、お手てかして??と言った。
「じゃあ、実験、しよ??アルゴスくん、私の手に全力でパンチして??」
「痛くない??」
「多分、痛い。でも、これがラムセスさんがやった実験の意味だよ」
「マルケスくんは私の手にゆーっくりさわってみて??」
「「んん??はい!!」」
立ち上がって二人へ向けて手を左右に広げて別々に指示を飛ばせば、お互いに顔を見合わせて、それでも元気に声を返してくれた。
「「行くよ~」」
痛~!!痛い、けど、こういうことだよ??アルゴスくん。
バチン!!という音と共に来た痛みに、顔をしかめてしまった。
マルケスくんは「ゆっくり」という指示を忠実に守ってくれているようでまだ触れていない。
……んだけど、もう、アルゴスくんもマルケスくんも、私の言いたいことが判ったようで、ニコニコ笑顔になっていた。
私の教えたかったのは「イールとイースは跳ね返しただけという事実を身をもって体験することで、何故ラムセスさんが吹っ飛ばされたのかを理解してもらおう」ということ。
百聞は一見に如かず。ということわざ通り、いや、もっとパワーアップさせて、見て、聞いても判らないなら、自分が体験しよう!!との思いがこもっている。
「ありがとうございますですじゃ!!」
言って頭を下げたラムセスさんへ感極まったのだろうフリストさんが、ものすごい勢いで手を叩いている。
オーシャンの方々も、「これが真実!!」とばかりに手を叩いている。
一安心と、視線を子供たちにずらせば、え!?どしたの!?
なんとアルゴスくんがしょんぼりとした顔をしていたのだ。
え??ほんとにどした!?
「ママ、ごめん。俺、悪い子だから、今知りたい。教えてもらっても良い??」
「アルゴス、なんで悪い子??」
「お話、ケーチョーできないから」
なぬ!?傾聴できないってしてたよ!?アルゴスくんもマルケスくんも!!
ただ、今回はわいた好奇心と疑問がそれを上回っただけで。
視線を回せば、この場の全員が「子供たちを優先して」と思ってくれているのか、大きく一つ頷いてくれた。
始祖様もリオさんもだ。
みんなの優しさに嬉しくなって、アルゴスくんとマルケスくんをギュッと抱き締める。
「皆様、少しだけ私たちにお時間、頂けますか?」
「もちろんですじゃ」
「ああ。我々も聞いて良い話なんだろう?」
フリストさんは勢いよく、王様はなぜか遠慮がちに聞いてくるので「もちろんです」と答えてから、外交用の物言いではなく、あえて二人へいつも通りの接し方にする。
「はい。では……。アルゴスくんが判らなかったのは、ラムセスさんの武術のお話からじゃないかな??」
「そうっ!!」
「はい。そうなの!!ラムセスがね??イールとイースに『では!!』って実験したらバーンって飛んでったの。て、動物のキャー!!がいっぱいだったのも見たけど、なんでかは判らなかったの」
「そう。で、ママのお話、頑張って聞いてるけど、やっぱり頭がボカンってなったのは俺がバカだから??」
「実験を見てたのに判らなかったんだ」とヒックヒックとしゃくり上げながらいうアルゴスくんの言葉を即座に否定する。
「違うよ。ごめんね。オトナのお話だったから、難しいだけ。アルゴスくんはおバカじゃないよ。おバカっていうのはね??自分の気持ちに蓋をして、判らないのに判った!!って言ってへなちょこオトナになるのも平気ってことだよ」
「そうだよ!!アルゴス!!判らないのを聞くこともお勉強って前にママが言ってたでしょ!?判んないですっていう勇気あるから、アルゴスはバカじゃないよ」
「ん。ありがと。ママ、なんでラムセスは、バーンって飛んでったの??」
「殺気、かな??殺気なんですね??あのね??ラムセスさんは実験の時に『イールとイースをやっつける!!』って、本気で思って向かっていったんだって」
ラムセスさんに「ぶつけたのは殺気ですか??」と聞けば、口パクで「そうです」と返された。
そして、『まだまだなんだか判りません』と大きく顔に書いてあるアルゴスくんに向けて、お手てかして??と言った。
「じゃあ、実験、しよ??アルゴスくん、私の手に全力でパンチして??」
「痛くない??」
「多分、痛い。でも、これがラムセスさんがやった実験の意味だよ」
「マルケスくんは私の手にゆーっくりさわってみて??」
「「んん??はい!!」」
立ち上がって二人へ向けて手を左右に広げて別々に指示を飛ばせば、お互いに顔を見合わせて、それでも元気に声を返してくれた。
「「行くよ~」」
痛~!!痛い、けど、こういうことだよ??アルゴスくん。
バチン!!という音と共に来た痛みに、顔をしかめてしまった。
マルケスくんは「ゆっくり」という指示を忠実に守ってくれているようでまだ触れていない。
……んだけど、もう、アルゴスくんもマルケスくんも、私の言いたいことが判ったようで、ニコニコ笑顔になっていた。
私の教えたかったのは「イールとイースは跳ね返しただけという事実を身をもって体験することで、何故ラムセスさんが吹っ飛ばされたのかを理解してもらおう」ということ。
百聞は一見に如かず。ということわざ通り、いや、もっとパワーアップさせて、見て、聞いても判らないなら、自分が体験しよう!!との思いがこもっている。
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