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二国会議改め懇親会のススメ 2
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私がつらつらと考えているうちに楽しそうに私たちに手を振ってシュリさんとラムセスさんと一緒に退室しようとした。
したのだが……
「がんばることはないのだけれどな」
「「え~」」
は!?
……王さまの余計な一言により、子供達はピタリと足を止めて抗議の声をあげたのだ。
「なんでだ!?皆でがんばってよいことしようなってことじゃないの!?」
「そうだよ!!フゥおじいちゃんたちと、ランとリーンがニコニコ出来るようにってがんばってお話しするんでしょ!?」
ピュンッと音がしそうな早さで戻ってきたアルゴスくんとマルケスくんが二人がかりで王様に抗議活動を始めてしまった。
どこからか「ぁ~」と小さな音で『やっちまったな』を諌めるそれが聞こえた。
子供たちの抗議活動と一気に流れた冷たい空気には王様もさすがに失言したと気付いたようで、ディーバさんへ視線を投げ、私へと「助けて!!」なアイサインを寄越してきた。
多分、王様としては「肩の力を抜いて気のおけない仲間のような感覚で話すから『がんばることはない』」と言いたかったのだろうとは思う。
思うけど、正直、「そりゃねーぜ。王様ぁ」って言いたい。
大人の心の中など知るよしもなく、ましてや、言われたことに裏があるなど思いもしない、それこそエリゴスさんのように、人に裏表なんてあるわけない!!とすら思ってそうな心をもつ純粋な子供達にそんな言い回しが通じるワケがない。
「アルゴス様、マルケス様。これは殿下がお二人にお勉強のためにわざとしてくれたことですぞ??」
「…っ!?」
仕方無いな~と思っていれば、意外にも二人を諌めたのはオーシャンのフリストさんだった。
こちらとしてはフォローがありがたいのだが、オーシャンの方々は言葉にならない悲鳴めいた息を吸う音があちらこちらから聞こえた。
さらにオーシャンの方々フリストさんの行動にはよほど驚いたのか、ポカンと口を開けてこちらを見ていた。
フォレスト側??
ディーバさんですら呆れたように額を手で抑え、左右に力なく振ってるよ。
「「お勉強~??」」
「はいですじゃ」
だけど、幸いなことにというかなんというか、子供達は大人の機微には気付かずに居た。
「えー??ウッソだ~!!」と表情にアリアリと書いたアルゴスくんは王様の膝に手は置いたまま、マルケスくんは眉根をよせてヘニョリと眉尻を下げてフリストさんへ問いかけた。
「そうです。お二人はへなちょこ大人にならないために現在、勉強をされているとか??」
「「はい!!そうです」」
軽いとは言え、お互いに腹の読み合いが楽しいと感じる舌戦を繰り広げただろうラインさんがフリストさんの言葉をついだ。
ん!?でも、どう言うこと!?
彼がなぜ我々の、いやアルゴスくんとマルケスくんへ「お勉強」という言葉を使ったのか判らず首を捻る。
でも、舌戦をした彼の印象からすれば、考えなしに口にしたとは思えない。
となれば、なにか目的があるからこそのこれだろうけど、簡単に三つ上げられる。
1、オーシャンへ帰国してからの子供たちへの教育のノウハウを見て盗むため。
2、私やフォレストへ恩を着せて便宜を図ってもらおうとしている。
3、最悪な、やってやったんだからとネチネチいろんな意味でゆすろう!!
この3つだ。楽観的すぎるのが1なら、3は末長く悪い意味でまとわりつかれる。骨の髄まであちらが旨味と感じるアレコレを吸いつくされる。
ランくんとリーンくんのことを考えているなら良いのだが、子供達がいるからと演技した!!とも考えられるため、お腹のなかで何かを企んでいるということも念頭に置かなければいけない。
めんどくさいけど、仕方無い。
子供たちの明るい未来のためにも!!
「今のはお二人に考えをすぐ口にするのではなく、少し考えてから話しなさいと言うことを教えてくださったんです」
「「お~!!」」
おっわ~。スッゴクまともなこと言ってるけど、これ、2か3ってのも考えられるな~。
あ"ー!!もう!!モヤモヤする!!
ラインさんのニッコリ笑顔は彼の人となりをほぼ知らないせいで、要らぬ神経を使う。
そう。裏があるのではないか??
裏がありそうに見えてないのではないか??
全てをそのまま受け入れるほどバカではないし、かと言って疑いまくるのもな~。と判断材料が乏しいがゆえにモヤモヤが爆発してしまうのだ。
「考えて??」
「お兄ちゃん、ほんと??」
「はい。そうです」
私の情報分析という名目のグダグダ思考はアルゴスくんとマルケスくんのかわいらしい声と、ラインさんの「いっさい裏はありません」といいたげな満面の笑みと共にぶったぎられた。
嘘くさー!!
私に向けてもニッコリ笑うけど、これ!!絶対うそでしょ!!
ニコッじゃないのよ!!どこへ向けてのアピール!?
まぁ、子供達は笑顔に気を許したのか、彼の方へ近寄ってったけど。
うさんくさいのは変わらないと断言したくなったわたしのそれは、皆の思いだったようで、子供達以外のほとんどの人間の顔がひきつっている。
したのだが……
「がんばることはないのだけれどな」
「「え~」」
は!?
……王さまの余計な一言により、子供達はピタリと足を止めて抗議の声をあげたのだ。
「なんでだ!?皆でがんばってよいことしようなってことじゃないの!?」
「そうだよ!!フゥおじいちゃんたちと、ランとリーンがニコニコ出来るようにってがんばってお話しするんでしょ!?」
ピュンッと音がしそうな早さで戻ってきたアルゴスくんとマルケスくんが二人がかりで王様に抗議活動を始めてしまった。
どこからか「ぁ~」と小さな音で『やっちまったな』を諌めるそれが聞こえた。
子供たちの抗議活動と一気に流れた冷たい空気には王様もさすがに失言したと気付いたようで、ディーバさんへ視線を投げ、私へと「助けて!!」なアイサインを寄越してきた。
多分、王様としては「肩の力を抜いて気のおけない仲間のような感覚で話すから『がんばることはない』」と言いたかったのだろうとは思う。
思うけど、正直、「そりゃねーぜ。王様ぁ」って言いたい。
大人の心の中など知るよしもなく、ましてや、言われたことに裏があるなど思いもしない、それこそエリゴスさんのように、人に裏表なんてあるわけない!!とすら思ってそうな心をもつ純粋な子供達にそんな言い回しが通じるワケがない。
「アルゴス様、マルケス様。これは殿下がお二人にお勉強のためにわざとしてくれたことですぞ??」
「…っ!?」
仕方無いな~と思っていれば、意外にも二人を諌めたのはオーシャンのフリストさんだった。
こちらとしてはフォローがありがたいのだが、オーシャンの方々は言葉にならない悲鳴めいた息を吸う音があちらこちらから聞こえた。
さらにオーシャンの方々フリストさんの行動にはよほど驚いたのか、ポカンと口を開けてこちらを見ていた。
フォレスト側??
ディーバさんですら呆れたように額を手で抑え、左右に力なく振ってるよ。
「「お勉強~??」」
「はいですじゃ」
だけど、幸いなことにというかなんというか、子供達は大人の機微には気付かずに居た。
「えー??ウッソだ~!!」と表情にアリアリと書いたアルゴスくんは王様の膝に手は置いたまま、マルケスくんは眉根をよせてヘニョリと眉尻を下げてフリストさんへ問いかけた。
「そうです。お二人はへなちょこ大人にならないために現在、勉強をされているとか??」
「「はい!!そうです」」
軽いとは言え、お互いに腹の読み合いが楽しいと感じる舌戦を繰り広げただろうラインさんがフリストさんの言葉をついだ。
ん!?でも、どう言うこと!?
彼がなぜ我々の、いやアルゴスくんとマルケスくんへ「お勉強」という言葉を使ったのか判らず首を捻る。
でも、舌戦をした彼の印象からすれば、考えなしに口にしたとは思えない。
となれば、なにか目的があるからこそのこれだろうけど、簡単に三つ上げられる。
1、オーシャンへ帰国してからの子供たちへの教育のノウハウを見て盗むため。
2、私やフォレストへ恩を着せて便宜を図ってもらおうとしている。
3、最悪な、やってやったんだからとネチネチいろんな意味でゆすろう!!
この3つだ。楽観的すぎるのが1なら、3は末長く悪い意味でまとわりつかれる。骨の髄まであちらが旨味と感じるアレコレを吸いつくされる。
ランくんとリーンくんのことを考えているなら良いのだが、子供達がいるからと演技した!!とも考えられるため、お腹のなかで何かを企んでいるということも念頭に置かなければいけない。
めんどくさいけど、仕方無い。
子供たちの明るい未来のためにも!!
「今のはお二人に考えをすぐ口にするのではなく、少し考えてから話しなさいと言うことを教えてくださったんです」
「「お~!!」」
おっわ~。スッゴクまともなこと言ってるけど、これ、2か3ってのも考えられるな~。
あ"ー!!もう!!モヤモヤする!!
ラインさんのニッコリ笑顔は彼の人となりをほぼ知らないせいで、要らぬ神経を使う。
そう。裏があるのではないか??
裏がありそうに見えてないのではないか??
全てをそのまま受け入れるほどバカではないし、かと言って疑いまくるのもな~。と判断材料が乏しいがゆえにモヤモヤが爆発してしまうのだ。
「考えて??」
「お兄ちゃん、ほんと??」
「はい。そうです」
私の情報分析という名目のグダグダ思考はアルゴスくんとマルケスくんのかわいらしい声と、ラインさんの「いっさい裏はありません」といいたげな満面の笑みと共にぶったぎられた。
嘘くさー!!
私に向けてもニッコリ笑うけど、これ!!絶対うそでしょ!!
ニコッじゃないのよ!!どこへ向けてのアピール!?
まぁ、子供達は笑顔に気を許したのか、彼の方へ近寄ってったけど。
うさんくさいのは変わらないと断言したくなったわたしのそれは、皆の思いだったようで、子供達以外のほとんどの人間の顔がひきつっている。
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