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二国会議改め懇親会のススメ 1

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「「じゃあね~。お仕事頑張ってね~」」
「はい。ありがとうですじゃ。じいもがんばります」
みんなでおいしい食事を摂った後、アルゴスくんとマルケスくんが言えば、フリストさんも「懇親会と宣言したし良いか!!」と思ったのか、はたまた子供たちの可愛いらしさに負けたのか、本心のだと丸わかりな笑顔で二人へ胸の前で小さく手を振っていた。
「ふふ~。ありがと!!じいちゃん!!」
「ありがと~。フゥおじいちゃんも頑張ってね~」
「はいですじゃ!!」
フリストさん……。
これは正しく、子供達におとされたなと思っていれば、オーシャン側の方々に肩を優しく抱かれて「良かったですね」的な状態になっている。
それにしても、マルケスくん、「フゥおじいちゃん」って。
良いな~。あれ、絶対に「じ~じがいっぱい居るから分けなきゃ!!」って付けた愛称だよね~。
もしつけてって言ったら、私にはなんてつけてくれるんだろ。
そんなこんなを考えていれば、アルゴスくんの手を握っていたシュリさんと、同じくマルケスくんに着いていたラムセスさんに「良かったですね。さぁ」と促されていた。
おお~。スマート!!
「行きますよ!!」と強く言われたり、腕を引っ張りあげるような強いものだと、やられなくなるためにはどうすれば良いかと考えて、痛みや恐怖回避のためだけの《大人にとって都合の良い子供》になる危険がある。
それを理解しているからこその声掛けだと思った。
私は躾と調教は全く違うと思っているし、良い子と大人にとって都合の良い子も同じように違うものだと思っている。
だが、躾と調教を間違えると、大人にとって都合の良い子に簡単になっていくだろうと信じている。
良い子と大人にとって都合の良い子の違いとは??とはとても大きなテーマになってしまうが、ものすごく大雑把なまとめ方をするならば、《良い子とは属するコミュニティに受け入れられるように一人で見極めることが出きるように育った人間》になると思う。
ん??余計に判らない??そうだよね。
なら、例え話をしよう。
狩猟をしながらほぼ自給自足をして育った小さな集落に住む人間が、「土地開発でここが選ばれたから、遊んで暮らせるほどの大金と引き換えに街へ降りてくれないか。働き口も斡旋しよう。その代わり、住む場所もここの仲間もバラバラな場所に住んでもらう」と言われたとしよう。
そして、応じた人間はほとんどが、街中に住む場所も金も働き口もあるのに馴染むことは出来なかった。
もともと住んでいた場所へ帰りたいと嘆き暮らした。これはなぜか??
これは小さいけれど出来上がっていたコミュニティを解体され、集落では常識と思っていたそれが「非常識だ」と眉をひそめられ、否定されるからだ。
水道、電気は引いていてあったとしても、電化製品も炊飯器や冷蔵庫、他の場所への緊急連絡のために電話があるだけで、本当に必要最低限のものだけで、薬も薬効成分があると知っている草や樹木を使う。なんなら狩りとった動物などの一部も使う。
それだけではどうにもならないときには街へ薬を買いに行ったり受診したり。
山の中を行くなら車より自分の足、自転車などで充分。
お互いの畑の物も食べたければ一声かけて自分の収穫物を持っていって、正しく物々交換が出来る。
どちらかと言えば戦後の日本に近いような時代遅れとすら吐き捨てられそうな世界だが、それで良いと暮らしている彼等。
顔も家族構成もほとんど判りきっている場所では、大声を出そうが空気やガス抜き兼用のトイレの窓を開けたまんまで用を足そうが許される。むしろ、閉めたままで排泄すると「ガスにやられてないか??」と心配される。
なぜ許されるのか、大声は安否確認に、排泄の窓明けは先にも書いたがガス抜きの為にと理由があるからだ。
更に重ねるなら、お互い様だから、匂いも我慢さえしておけば、後々に排せつ物を処理すれば立派な肥料になると知っているから。
だが、それを新天地で「これが自分達の常識だ!!」と無意識か意識的にかやってしまえばどうだろう。
とたんに「変態だ!!なんだ!!あいつは!!」と元から居た住人に眉をしかめられるのである。
《所変われば品変わる》、《郷に入っては郷に従え》の本当の意味を理解していないから。
大きな声を出せば騒音、排泄時の匂いや音を堂々と聞かせるのは悪臭、騒音問題、変態行為ととられても仕方ないなどとはつゆ程も思わないのだ。
それが当たり前と育ってきたから。
だが、移り住んだ場所はそのようなご当地ルールは通用しない場所で、与えられた仕事も産まれた時から電化製品はもちろん、携帯電話やスマホ、パソコンを使いこなしている人間からすれば出来て当然なものばかり。
パソコンの立ち上げからしても時間がものすごくかかってしまう上、文字通りゼロからの出発だからほとんどなにも出来ない。
元からいる人間からすれば、「自分がやった方が早い!!給料泥棒じゃン!!マジでジャマ!!」と足手まといと感じてしまう。
繁忙期なんて時に教えを乞われても「は!?なんで出来ないの!?」と吐き捨てて、それを取り上げられ終わってしまう。
街に降りてきた人間は出来ないから教えを乞うているのに、出来て当たり前と思っている人間からは「なんでこんなめんどくさいことを!!体だけだね!!大きいのは!!」と面と向かって、または影でこそこそ言われるのだ。
お互いの育ってきた環境と常識が違うからこそのすれ違いだが、それがお互い判らないし苛立ちを産む。
そして、「何が悪い!!俺たちの住んでるところではこれが常識だ!!」とささやかれるそれが嫌で叫んだら、とたんにそこに住んでいた全員の評価がこう下されるのだ。
《あそこの出の人間は常識知らずのくせに、回りに怒鳴り散らす集団だ》と。
今の例はニュースで良く言われている移住者問題に通ずると思う。
お互いの常識を移住者側、地元民が知ってて当然!!と主張し合うから、「◯◯の住人は優しくない!!」「◯◯から来た人間は常識を知らん!!」とぶつかってしまうのだ。
話を戻そう。
私は、そんな悲しいすれ違いと偏見にさらされないように生きる術と、郷に入っては郷に従えの真の意味を覚えて身につけて育ったのが「良い子、良い人」であると思っている。
「大人にとって都合の良い子供」は、他人の顔色を伺い、頷き、与えられたものだけを享受し、自分の考えを捨て、自分への痛みを産み出されないためにはどうすれば良いかだけに特化した考えをもつ、人形や……叱られるかもしれないが奴隷のような人だと思う。
奴隷も生き人形もマスターに指示されたことを実行するだけだから、調教とは、徹底的に痛め付けて自尊心を失わせることから始め、「マスターの言うことは絶対だ」と教え込むからだ。
これが、躾と調教、良い子と大人にとって都合の良い子の違いだと結論付ける。
そして、私はアルゴスくんとマルケスくんが自分の考えを持ち、行動できる人間に成長できるように、本当の意味での良い子となっていくために、私自身学びながら導いていこうと。
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