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二国会議 二日目 5

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 口先だけでない証拠に、皆、押さえきれない沈痛な表情だけれども、決して声が大きくならないように、言葉が強くならないように抑えながら紡いでいる。
 謝罪の席での叫びや大声は実は逆効果だ。大きな声に感情をのせる事で、「自分の主張を通そうとしている」ととらえられるからだ。さらに言うなら、泣いてしまうのも悪い効果を生む。
 そもそも、人間と言うのは、怒鳴りだしたり泣き出すと、関わりあいたくない、慰めよう、などの感情をもつ。つまり、謝罪の席にて怒鳴ろうものなら、「謝らないどころか怒鳴るのか!?なんで自分達が怒られんだ!?」と大抵はなる。
 ならば、慰めようという意識が働くなら、泣くのは効果的ではないか?と思うだろうが、謝罪の席にて泣かれたら、「泣きたいのはこちらだ」となるのが普通ではないだろうか?よって、私は謝罪の席にて感情をのせた大声、つまり怒鳴り声と泣く行為は向かないと断じている。
 これが、謝罪の席での出来事ではなく、日常のちょっとしたハプニング、自分に過失がない、もしくはお互い様、といった場合なら泣くのも有りかもしれない。例えば、子供が人とぶつかりびっくりして泣いたといった、「仕方ない」もしくは「当然だ」と共感や納得出来れば慰めようと動くが、そうでなければ反感や嫌悪を生んでしまう。
 フリストさんの場合は、監督者として自分に罪はないのに頭を下げたので、感極まっても反感を抱く者は出なかったと思う。
 どうにか、実行犯の謝罪を引きずり出すことには成功したが、色々な意味で風呂敷を広げすぎた感は否(いな)めない。回りの状態も拾っておこうとさりげなさを装(よそお)って皆様に視線を投げれば、王様が目元と口元を緩め、小さく頷いてくれた。
 あれ?王様が納めてくれるってこと?だとしたらラッキー。
 正直、どうしようかと思っていたからこそ、ありがたく王様にパスしてしまう。
 この借りは近いうちに必ず返そ。じゃないとなんか落ち着かないし。小心者な庶民なんです。
 王様に貸し借りはなしにしておきたい。そうでないと本当に落ち着かない。そんな私を尻目に王様が口を開く。
「フリスト。貴方は十分すぎるほどに謝罪した。貴方の謝罪はフォレストも受け入れる」
 以前にフリストさん自身から、「自分に様とつける必要はない」と言われたせいか、王様が敬称無しで彼に言葉をかけた。
「はい。……はい!」
 それだけでお互い充分だった。
 しっかりと王様の手を包むように握って何度も頷くフリストさんを席に促し、に優しい眼差しを送っていたのが嘘のように、我が国のトップは実行犯達を実に鋭い視線で射た。
「お前たちは自分たちが仕出かした事の責任をとる気はあるのか?」
 うっわ。本気のブリザード。
 思わず、身をすくめたくなるような殺気めいた雰囲気に飲まれないようにするだけでいっぱいいっぱいになりそうだ。だが、痛くもない腹を探られないように、さらには内心を隠すためにアルカイックスマイルを発動させる。
「勿論です」
 「フリストにここまで責任を感じさせておいて、自分たちで始末をどうつけるつもりか?」と暗に匂わせる王様に、ただただ平伏するだけかと思われた彼らは意外にもきちんと答える。
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