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朝食の前に 2

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 感動に浸っていたのだろうマンティスさんは、ハッと我にかえると宥めるランティスさんの手をいささか乱暴に振り払った。いつもの事なのかさしたる感慨も見せずに、ランティスさんは椅子に座りなおす。
「知っている者も居るかと思うが、昨夜、何者かにアルゴスとマルケス、ミーナとアレスが襲われた」
 一段落ついたと判断したのか王様が言った瞬間、明らかに空気が変わる。
 王様が言うってことは何かわかった?
 当事者たるこちらとしては情報が手に入るならと背筋を伸ばす。
「先に言っておくが、拷問などの手荒な扱いは一切していない」
 王様の言葉に、皆が頷いた。私としても、襲われたとはいっても未遂であるし、ターゲットが誰であったのかも分からない為に甘いと言われようがなんだろうが、痛め付けての情報入手は勘弁願いたい。
「結論から言うと、賊はオーシャンの人間で狙いはミーナだった」
 王様が告げると皆が私に視線を集中させた。いきなりの発言にバクバクする心臓を宥め、口を開く。だが、自分でも驚くほどに出てきた言葉はおかしなものだった。
「以前、始祖様より、国同士の争いはないと伺っておりますが、状況が変わったのでしょうか?」
 これないわ!!なに!?私は国の中枢を担っているのよ発言は!!
 無いわナイナイ!!
 聞きようによっては「私は誘拐されても国レベルで実用価値があるんですよね?」と言ったも同然の発言は、「お前は何様だ!?」と激高されかねない高飛車さだ。皆さまの顔を見ることが出来なくて俯いた。
「ああ。ミーナ誘拐を企てのはあちらの次代を気にする者らしい」
「「どういう事です!?」」
 何故か重なるアレスさんとシュリさんの声に弾かれたように顔を上げると、予想に反して、王様は困ったような顔をしていた。
「恥ずかしい話だが、私たちが出来なかった躾もミーナと接する事でアルゴスもマルケスも目を見はるほどに一気に吸収して成長した。それを目の当たりにした使者殿が暴走したようだ」
 つまり、「教育係り」と紹介された私にオーシャンの子供たちの躾をさせようと目論んだのか。
「勝手過ぎ!!どうやって聞き出したかは知らないけど、許したの!?」
 よほど腹がたったのか敬語もへったくれもなく叫ぶシュリさんに、ディーバさんが口を開く。
「賊からは私が魔術で聞き出し、全員、牢に入れました。首謀者にはまだ直接聞いてません」
「ぬるい!!なんで痛め付けないの!?ミーナ様は恐怖に震えたのよ!?」
 いや、確かにビックリしたけど、アレスさんが華麗なアクションを見せてくれたから、そっちに上書きされて震えはしなかったな~。
 一体、シュリさんの頭の中の私はどれだけか弱いのかと思っていると、アレスさんも小さくうんうんと頷いていた。シュリさんはともかく、一緒に居たアレスさんは私が震えてはいなかったことを見ているはずだ。
「アレスさん、改めまして守っていただき、ありがとうございます」
「いえ。当然の事をしたまでです」
「そうよ!!でも、アレスもぬるいわ!!私なら蹴り倒してやったのに!!」
 はっと我にかえり頭を下げた私に、優しい笑顔でアレスさんが返してくれた。
 だが、そこにシュリさんが噛みついた。
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