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運命の出会い 6
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「我々は女の腹からは産まれないのだ」
はい!?
え!?は!?女性の腹から生まれ落ち落ちないって、この世界では男性が出産するの!?
面白そうに見つめる王様の態度から、私が表情をコントロール出来ていない事を悟る。
営業時には自分の表情を完璧にコントロールしていると自負しているだけに、思っている以上に疲れている事を痛感させられる。腹の探り合いの最中に表情がストレートに出る事は命とりだ。迂闊な発言で痛くもない腹を探られない為にもと、敢えて口をつぐむ。
黙り込んだ私に対し、理解が出来なかったと思ったのか、別の思惑があるのか、ディーバさんが補足説明してくれる。
「我々、獣人は母なる森より生まれるのです。獣人の誕生は各代の王へと森より予言を頂けるので、お迎えにあがる事が出来ます。また、母なる森へは獣人以外は踏み入る事が出来ませんので、民が掠ったり己の子供と交換したりなどの行為はありません」
小さく頷いた私に、ディーバさんは続ける。
「次代には成人した狼の姿をとれる王族の中から森が選びますので継承争いなどはあまりありません」
男性が出産するわけではないらしいと、どうでも良い事に安堵すると、ディーバさんの説明で引っ掛かった物を問うてみる。
「お話の中で、継承争いはあまり無かったとおっしゃいましたが、断言では無かった所を見ると過去には継承争いがあったと言うことでしょうか?」
「よく気付いたな。あったぞ?」
ニヤリと笑った王様曰く、血生臭い歴史は王が王妃を置いていた時代のみだという。
それはそうだろう。自分のお腹を痛めて命がけで産んだ正真正銘の王の子供が、獣人ではないから次代と認めないと言われたら、普通、女性なら誰でも憤慨するだろう。
そんな歴史から学んで、王は王妃、妾妃などの子供を産み落とせる、又、象徴となる女性という存在を日常生活に差し支えるメイドさんなどを除き、側に置かなくなったのだという。
「歴史を知っていれば口にするはずのない王妃様を尋ねた私を騙りではないと判断されたと?」
「ああ。この世界の者は皆、知っている。知らぬのは強いて言うなら物喋れぬ赤子くらいだな」
「だから私を・・・・」
いや、それだけでは確信する材料としては弱い。
国を守る王が、この世界の常識を知らなかったというだけで判断を下すとは思えない。
「しかし、常識を知らない振りをしている可能性も捨てきれませんよね?」
「確かにな。正直、ディーバが報告を上げにくるまでは騙りだと断定していたのだ。だが、駆け込んできたディーバがミーナからは嗅いだ事の無い香りがすると言う。我々は鼻が効く。その我々をごまかすなど不可能だ。そこにきてミーナの名前だ」
「私の名前が何か?」
「耳にし、確かに理解したと思い口にしても、誰も発音出来なかったのだ」
匂いで判断するとはさすが獣人だなと感心すると同時に、身体に力が入らなくなってきている事に気付かされる。
でも、まだだ!!まだまだ、判断材料が足りない!!
まだ倒れる訳にはいかない!!持ちこたえろ!!私の身体!!
当然だが、私の異変に気付かぬのか、素知らぬ振りをしていのか、王様が続ける。
「皆の見ている前で子供達を叱ったろう?次代を叱る事は即、死に繋がると民ならば理解している。だからこそ、騙りなどではなく、ミーナは子供達に召喚されたと確信したのだ」
あ"~。
確かに接見の間でデスフラグを建てまくったなと思い出す。
「だから安心して良い。我々はミーナが騙りなどとは思ってない」
「ありがとうございます」
柔らかく微笑む王様に、椅子から立ち上がって頭を下げると立ちくらみに襲われる。
ヤバいっ!!
ふわりと揺れた体を誰かが抱き留めてくれた。
「随分と気を張っていたようだ。寝かせてやれ」
意識を手放す瞬間、王様の優しい声が聞こえた気がした。
はい!?
え!?は!?女性の腹から生まれ落ち落ちないって、この世界では男性が出産するの!?
面白そうに見つめる王様の態度から、私が表情をコントロール出来ていない事を悟る。
営業時には自分の表情を完璧にコントロールしていると自負しているだけに、思っている以上に疲れている事を痛感させられる。腹の探り合いの最中に表情がストレートに出る事は命とりだ。迂闊な発言で痛くもない腹を探られない為にもと、敢えて口をつぐむ。
黙り込んだ私に対し、理解が出来なかったと思ったのか、別の思惑があるのか、ディーバさんが補足説明してくれる。
「我々、獣人は母なる森より生まれるのです。獣人の誕生は各代の王へと森より予言を頂けるので、お迎えにあがる事が出来ます。また、母なる森へは獣人以外は踏み入る事が出来ませんので、民が掠ったり己の子供と交換したりなどの行為はありません」
小さく頷いた私に、ディーバさんは続ける。
「次代には成人した狼の姿をとれる王族の中から森が選びますので継承争いなどはあまりありません」
男性が出産するわけではないらしいと、どうでも良い事に安堵すると、ディーバさんの説明で引っ掛かった物を問うてみる。
「お話の中で、継承争いはあまり無かったとおっしゃいましたが、断言では無かった所を見ると過去には継承争いがあったと言うことでしょうか?」
「よく気付いたな。あったぞ?」
ニヤリと笑った王様曰く、血生臭い歴史は王が王妃を置いていた時代のみだという。
それはそうだろう。自分のお腹を痛めて命がけで産んだ正真正銘の王の子供が、獣人ではないから次代と認めないと言われたら、普通、女性なら誰でも憤慨するだろう。
そんな歴史から学んで、王は王妃、妾妃などの子供を産み落とせる、又、象徴となる女性という存在を日常生活に差し支えるメイドさんなどを除き、側に置かなくなったのだという。
「歴史を知っていれば口にするはずのない王妃様を尋ねた私を騙りではないと判断されたと?」
「ああ。この世界の者は皆、知っている。知らぬのは強いて言うなら物喋れぬ赤子くらいだな」
「だから私を・・・・」
いや、それだけでは確信する材料としては弱い。
国を守る王が、この世界の常識を知らなかったというだけで判断を下すとは思えない。
「しかし、常識を知らない振りをしている可能性も捨てきれませんよね?」
「確かにな。正直、ディーバが報告を上げにくるまでは騙りだと断定していたのだ。だが、駆け込んできたディーバがミーナからは嗅いだ事の無い香りがすると言う。我々は鼻が効く。その我々をごまかすなど不可能だ。そこにきてミーナの名前だ」
「私の名前が何か?」
「耳にし、確かに理解したと思い口にしても、誰も発音出来なかったのだ」
匂いで判断するとはさすが獣人だなと感心すると同時に、身体に力が入らなくなってきている事に気付かされる。
でも、まだだ!!まだまだ、判断材料が足りない!!
まだ倒れる訳にはいかない!!持ちこたえろ!!私の身体!!
当然だが、私の異変に気付かぬのか、素知らぬ振りをしていのか、王様が続ける。
「皆の見ている前で子供達を叱ったろう?次代を叱る事は即、死に繋がると民ならば理解している。だからこそ、騙りなどではなく、ミーナは子供達に召喚されたと確信したのだ」
あ"~。
確かに接見の間でデスフラグを建てまくったなと思い出す。
「だから安心して良い。我々はミーナが騙りなどとは思ってない」
「ありがとうございます」
柔らかく微笑む王様に、椅子から立ち上がって頭を下げると立ちくらみに襲われる。
ヤバいっ!!
ふわりと揺れた体を誰かが抱き留めてくれた。
「随分と気を張っていたようだ。寝かせてやれ」
意識を手放す瞬間、王様の優しい声が聞こえた気がした。
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