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第二四話 再び紡ぐ物語

第二四話 一二

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一回休みのウタセは飛ばして、ガザの番になった。
「ものまねのマスじゃん。そういや、シノの真似をしてたんだっけ。それを再開すっか。……ほら、トゥナくん、サイコロを振ってください」
「はーい」
「あんまり似てないですね」
 四を出してトゥナが止まったマスには『豆知識をひとつ』と書かれていた。
「豆知識かぁ。……あ、そうだ!」
 腕を組んでうんうん唸っていたトゥナがぱっと顔を上げた。
「定期考査の勉強をしてたときにクルルちゃんに教えてもらったんだけどね。カモミールの花言葉の由来。……って、シノ姉は知ってるか」
「はい。ですが、トゥナくんのお話は聞きたいです」
「そう? じゃあ……」
 カモミール花言葉はいくつかある。〈清楚〉、〈逆境・苦難に耐える〉、〈あなたを癒す〉などだ。
「オレはカモミールがハーブとして体にいいから〈あなたを癒す〉って花言葉だと思ってたんだけど違ったんだよね。なんでも、リンゴみたいな香りに癒し効果があるからついた花言葉なんだって。テストにも出たんだよ」
「へぇ」
 ガザは感心したような声をあげたが、ソラルとウタセは知っていたようで頷くに留めている。その反応にトゥナは「やっぱり弱かったかな」と苦笑をこぼした。
「それもありますが、トゥナさんはやっぱり真面目だな、と」
「クルルと一緒にテスト勉強してたのは僕も見たよ。夏休みの前だったよね」
「……はっ!」
 ソラルはくつくつ笑いながら、サイコロを投げた。
「五です。反対回りになりますね」
 サイコロはトゥナ手に戻された。トゥナは唇を尖らせたまま、サイコロを振った。
「オレも五が出たよ。えーっと、『好きな食べ物は?』だって」
「そういえば、トゥナくんは好き嫌いがあまりないですよね」
 慈乃の口調を真似たガザの言葉に、慈乃も同意を示した。学び家で出された食事をいつもきれいに食べてくれるのが印象深い。作り手としては嬉しい限りだった。
「ガザ兄の言う通り好き嫌いはそんなにないよ。でも辛いものよりは甘いものの方が好きだな」
「僕とラギとで、たまに甘味巡りするものね」
「この前食べたあんみつは美味しかったよね」
「ねー。また行きたいね」
 ウタセとトゥナが顔を見合わせ、笑い合う。実にほのぼのとした光景に、見ている慈乃の頬も自然と緩んだ。ソラルに促されて、ガザがサイコロを投げる。
「一、ですか。何もないですね」
「次はウタさんの番ですよ」
「やっと回ってきたね!」
 ウタセが意気揚々とサイコロを放った。出た目は六だった。
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