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第二四話 再び紡ぐ物語

第二四話 五

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スイセンとテオ、ウルフィニ、クルルとホノとは別れて、慈乃はウタセとともに二階へ向かった。目的はもちろんリンドウに会うためだ。慈乃はひとりで行くつもりだったのだが、ウタセもまだリンドウにあいさつできていないからといって行動を共にすることになった。ウタセは言わなかったが、慈乃だけ行かせるのは心配だという思いもあるのだろう。
 二階のラウンジにはヒイラギとアスキ、ヨルメイがいて、絵本の読み聞かせが行われていた。漏れ聞こえるヒイラギの声から、慈乃の作った絵本だとわかった。通りすがりにちらりと見たアスキとヨルメイは物語に集中していた。
「アスもヨルもすっかり物語に夢中だね」
「そうですね。気に入ってくれたなら嬉しいです」
 左手のラウンジ、ガザとアヅの部屋、空き部屋も通過していく。廊下に面したボードにはテオやウルフィニが描いた絵やアヅが学舎で作った工作作品などが飾られていて賑やかだった。微笑ましい思いでそれらを眺めていた慈乃だったが、空き部屋の隣に位置するリンドウのひとり部屋を前にして緊張と不安が襲ってきた。
顔を強張らせた慈乃に、ウタセが笑いかけた。
「今のシノなら、きっと大丈夫だよ」
「ウタくん……」
 力強くウタセに頷かれて、慈乃は心を決めた。僅かに震える手で扉をノックした。
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