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第二四話 再び紡ぐ物語

第二四話 一

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豊穣祭の翌日は通常の学舎の休日で、二連休となる。子ども達は昨日の疲れも感じさせないほど元気だった。ついこの間まで子ども達の声ですら苦痛で仕方なかったのに、今はすっかり心地よい音に戻っている。慈乃はそのことがどうしようもなく嬉しかった。
(今日からまた働ける。頑張りたい……!)
 家族の笑顔を側で感じたい。そのためには何だって頑張れるような気がした。
(それに、リンドウくんのことも、うやむやにはしたくないわ)
 いままでは逃げることしかできなかったが、今度こそリンドウにしっかり向き合いたいと思った。
 朝の掃除まで終わり子ども達は思い思いの場所へ散っていく。対して慈乃達職員は朝礼のために客間に集合していた。
「うんうん~。やっぱりシノちゃんがいないとね~」
 慈乃の次に客間にやってきたツクシが柔らかに目を細めた。
「今日からまた一緒だね~。よろしくね~」
「はい。よろしくお願いします」
 慈乃が小さく頭を下げると、「入り口で立ち止まんなよ」と声がした。言わずもがな入り口で立ち止まっているのはツクシしかいないので、これは慈乃に対して発せられたものではない。慈乃が頭を上げると、ツクシの背後には顔をしかめたスギナが立っていた。
「ツクシ、邪魔」
「も~、そんな顔してるとシノちゃんに引かれちゃうよ~?」
「ほっとけ。つか、シノ早くね?」
 ミトドリに指定された時間までにはまだ余裕がある。壁にかけられた時計を見上げてスギナは目をまるくした。
「今日からまた仕事ができると思うと、楽しみで……」
「なんだよそれ」
 慈乃が頬を赤らめて答えると、スギナは珍しく噴き出した。慈乃がきょとんとしていると、ツクシが耳打ちしてきた。
「スギナもシノちゃんが戻ってきてくれて嬉しいんだよ~」
 ツクシとスギナと一緒に話していると、ミトドリ達もやってきた。
「やあ、三人とも。早いね」
「張り切ってるねー。あたしも負けてられない!」
「これもシノのおかげかな」
 最後に入室したウタセが慈乃を見て、にっこり笑った。
「私、まだ何もしていませんが……」
「いてくれることに意味があるってことだよ。やっぱり学び家の職員は六人そろってないとね」
 笑みを深めるウタセに、慈乃ははにかんで頷いた。
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